書評

それでも僕たちが絶対にタスク管理をすべき理由

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「タスク管理」という言葉をご存知だろうか。

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タスク管理という言葉が耳慣れない方でも、「ToDoリスト」や「チェックリスト」などなら聞いたことがあるだろう。

タスク管理とは、「やるべきこと」「やりたいこと」「やること」を書き出して管理する手法全般を差す。

仕事や趣味、買い物、行きたい場所、外出時の持ち物などを頭の中から紙やツールに書き出すことで、「記憶」という人間の限りあるリソースを解放する効果がある。

僕自身サラリーマン時代はごく簡便なタスク管理しかしていなかったが、独立後フリーで活動するようになり、タスク管理の重要性を認識し、全面的に導入。

そのお陰で、本を短期間に集中して出版したり、セミナーを連続開催するなど、一定の成果を上げることができるようになった。

そして僕に「タスク管理」の重要性とテクニックを教えてくれた「巨匠」が二人いる。

それが、佐々木正悟さんと大橋悦夫さんのお二人だ。

独立が決まっていた2010年夏に、僕は初めて大橋さんと佐々木さんが主宰する「シゴタノ!セミナー」に参加させてもらった。

それ以降、何度もセミナーに参加させてもらい、また、お二人の著書も多くを貪り読んで、知識を吸収してきた。

そんなお二人が、ついに満を持して、タスク管理の入門書を出版された。

早速熟読してみたが、素晴らしいの一言。まさに僕が学んできた事柄の多くが惜しげもなく盛り込まれている。

「いつかやりたいこと」を「今からやること」に変換する  スマホ時代のタスク管理「超」入門」という本だ。

早速紹介しよう。

 

スマホ時代のタスク管理「超」入門

佐々木 正悟,大橋 悦夫 東洋経済新報社 2013-01-25
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記憶をクラウドにすべて吐き出せ!

「仕事が忙しすぎて業務が追い付かない」

「何から手を付けていいか分からず不安に押し潰されそうだ」

「いつも頭の中が雑然としてモヤモヤした状態である」

こんな想いを持つことはないだろうか。

もし、あなたがこのような感覚を抱えていて、タスク管理をまだ実行していないなら、今すぐこの本を読んでタスク管理をスタートした方がいい。

「タスク管理」というと難しく感じるかもしれないが、一言でいえば「「やることリスト」に「やること」を全部書き出す」ことに過ぎない。

ここで肝心なのは、「全部」書き出すことだ。

ノートに書いてみたり、iPhoneに入力してみたり、頭の中にとどめたりと、一部だけ書き出すのでは不完全なのだ。

一番の親分となるリストを一つ作り、集中管理する。それが秘訣だ。

アナログの手帳でもOKだが、この本ではクラウドが活用できるパソコンとスマホのタスク管理ツールを使い倒すことを推奨している。

クラウドなら、パソコンに入力したリストをスマホに同期することができ、リストを365日24時間持ち歩くことができるからだ。

「会社のデスクのカレンダーにメモしたまま外出してしまい、メモの内容を思い出せない」

「買い物リストを冷蔵庫に貼り付けたままスーパーに来てしまった」

このようなことを避けられるのはもちろん、オフィスにいようがカフェにいようが、いつでもどこでもすぐに「今やるべきこと」に集中できる。

しかもデジタルツールは「繰り返し」タスクを自動でリピートできるので、都度入力する手間がない。

「可燃ゴミを出す」「家賃を振り込む」など、延々と繰り返されるタスクを毎回書く手間から解放されることは大きい。

それが「スマホ時代のタスク管理」というわけだ。

本書では、タスク管理の最初の一歩から、本格的なタスク管理手法GTDの簡単な解説までを網羅している。

「やるべきことは手帳に書き殴っているだけ」

「コピー用紙の裏紙に書いてた」

上記のような方から、タスク管理を導入したものの、うまく回せていないという方、現状回ってはいるものの、もっと深く突っ込んでいきたいという方までが、すっと腑に落ちる内容となっている。

 

 

 

巨大プロジェクトをラクラク管理して夢を叶えよう!

タスク管理をすることによって、途方もない巨大プロジェクトがラクラク実現できてしまう。

嘘ではない。僕は自分の身をもって体感したのだ。

拙著「ノマドワーカーという生き方」は、紙としては僕のデビュー書籍だ。

ノマドワーカーという生き方

立花 岳志 東洋経済新報社 2012-06-01
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この本のために僕は15万文字ほどの初校原稿を書き、そこから約3万文字を削り、最終的には約12万文字の完成原稿となった。

初校原稿は1月下旬から書き始め、2月末に完成した。1ヶ月ちょっとである。

その間僕は一日中机に貼り付いて目を三角にして書いていたか?

いや、まったく逆である。

僕は一番長く作業した日でも、1日90分しか書かなかった。しかもそれは最後の追い込みの数日だけで、1月は1日30分、2月に入ってからも1日60分しか書籍執筆に使っていなかった。

だから僕は、本の原稿を書きつつも、日々通常通りブログも更新し、Dpub 4 in 大阪も開催し、しかもフルマラソンを完走したりできたのだ。

 

 

この本を書くにあたり、僕はプロジェクト管理ツール「OmniFocus」とタスク管理ツール「Toodledo」を使い、全体像を掴んだうえで日々進捗を管理した。

 
OmniFocus 1.10.4(¥6,900)App
カテゴリ: 仕事効率化, ビジネス
販売元: The Omni Group – The Omni Group(サイズ: 19.3 MB)
全てのバージョンの評価: (62件の評価)

 
Toodledo – To Do List 3.0.1(¥250)App
カテゴリ: 仕事効率化, 辞書/辞典/その他
販売元: Toodledo – Jake Olefsky, LLC(サイズ: 12.3 MB)
全てのバージョンの評価: (627件の評価)
+ iPhone/iPadの両方に対応

 

 

この手法は本書の著者のお一人、佐々木正悟さんが名著「クラウド時代のタスク管理の技術」で書籍執筆の手法を解説されていたのを応用して採り入れたものだ。

当初は「1日30分〜60分なんかで本が出来上がるのか?」と不安だった。

しかし、Togglタイマーでログを取りつつ、その日仕上がった原稿の文字数を記録していくと、日々着々と原稿が仕上がっていき、やがて完了のメドが立つようになった。

15万文字といえば、原稿用紙375枚分である。

このような途方もない分量の原稿を、デビュー作において、何の混乱もなく、早朝皆がまだ起きる前の時間帯に30分〜60分だけ書き、1ヶ月ちょっとで仕上げることができたのは、タスク管理を徹底して行ったからだ。

「一冊の本」という巨大プロジェクトを、まずは章にバラす。

次にそれぞれの章を各大項目にバラす。

そして大項目を小項目にバラして、日々一つ一つ、コツコツと書いていく。

 

 

やるべきことの全体像が見えて、その日やるべきことも分かっている。

だから混乱することもないし、不安を感じることもない。

あっという間に原稿は完成し、僕は長年の夢だったデビュー書籍をスケジュール通りに出版することに成功した。

タスク管理とは、正しく使えばこのように、素晴らしい成果を短期間に達成する助けとなる、強力な武器になるのだ。

 

 

 

チェックリストで最短距離を突っ走れ!

タスク管理は、「書籍執筆」などという大げさなことばかりに有効なのではない。

僕の日常は、多くのチェックリストに支えられている。チェックリストも立派なタスク管理の手法である。

例えば「外出時の持ち物リスト」がある。

僕は外で仕事をすることもあるため、普通の方よりも外出時の持ち物が多い。

財布、リップクリーム、ハンカチ、耳栓、読みかけの本などのほか、MacBook Airや予備バッテリー、ケーブル類、モバイルルーター、デジタル一眼などのガジェット類も多い。

これらの持ち物を、毎回不備なく持って出るためには、チェックリストが不可欠だ。

 

 

外出前にはiPhoneのチェックリストアプリdomo ToDo+を起動して、「外出時の持ち物リスト」を起動する。

 

domo Todo+ (sync with Google Calendar™) 4.8.7(¥250)App
カテゴリ: 仕事効率化, ビジネス
販売元: Yutaka Yagiura – Yutaka Yagiura(サイズ: 3.4 MB)
全てのバージョンの評価: (789件の評価)

 

 

そしてリストに載っているモノを順にデスクの上に並べ、リストにチェックを付けていく。

この作業には、「忘れ物がなくなる」という効用があるのはもちろんだが、もう一つ素晴らしい利点がある。

それは、「準備のスピードが猛烈に速くなる」ということだ。

リストを作る前、僕はいつも頭で考えながら支度をしていた。

「えーと、あと必要なのは何だっけ?MacBook Airは持ったほうがいいな。あ、じゃあバッテリーも持っていかなきゃ。ケーブルもいるよね」という具合だ。

考えながら都度持ち物を探し、時々悩み、あっと気づいて追加で持つものを思い出すなど、非常に効率が悪い支度をしていた。

だが、今ではリストが完璧なので、一切考えることはない。ただ機械的に上から順に持ち物をバーッと並べ、リュックやウェストバッグの所定の位置に詰めるだけ。

もし持ち歩くものが変化して追加で持つものができたり、持つ必要がなくなるものが生じたら、リストを変更すれば良い。

これでバッチリである。

 

 

僕は「出かける時リスト」以外にも、多くのチェックリストを作って管理している。

「朝一のライフログ取得リスト」「出張時持ち物リスト(ガジェット編)」「出張時持ち物リスト(ランニング編)」「マラソンレース持ち物リスト」などなど。

リストがあれば、「忘れない」「迷わない」「余計なことをしない」というメリットがあり、「最大速度で最短距離を突っ走る」ことができる。

一日の「やること」に、繰り返し実行できることは数多い。

それらを記憶に頼っている人と、最短距離を突っ走れるリストを活用している人では、スピード感と確実性に大きな差が出るのは当然だ。

是非チェックリストを活用してもらいたい。

 

 

 

カタログの商品全部を買う人はいない!サムデイリストを活用せよ!

タスク管理の中で、僕が実践していなかったことで、最近始めたのが、「サムデイリスト」の活用だ。

サムデイリストとは、「いつかやりたいこと」「欲しいもの」「行きたい場所」などを、どんどん追加していくリストだ。

いわば「自分の願望のカタログ」である。

いつか叶えたいことなので、期限はない。だから遠慮なく思い付きでどんどん入力していくことができる。

サムデイリストはできるだけちょくちょく見返した方がいい。そしてどんどん追加もしていく。

そして週に1度の週次レビュー(僕の場合は週次スタート)の際に、このサムデイリストから、翌週に実行するものを決めて、日付を入れるのだ。

 

 

サムデイリストには、2つの効用がある。

一つは、「やりたいこと」「なりたい自分」「叶えたい夢」を繰り返し見ることで、カラーバス効果が高まり、その願望に対するアンテナが自分の中に立つことだ。

例えば「パリに1ヶ月滞在したい」というリスト項目を見続けていれば、自然とパリの家具付きアパート情報や、生活に関する情報に目が行くようになる。

また、目にするだけでなく口に出して「パリに短期でいいから住んでみたい」と他人に言ったりSNSに書き込んだりすることで、周囲の人たちから関連する情報が集まってくる。

頭の中にモヤモヤした形で留めているだけよりも、実現の可能性がずっと高まるのだ。

 

 

もう一つの効果は、自分の願望を常に一覧できるようになることで、願望や欲望のブレが抑えられるのだ。

例えば衝動買い。

ちょっと素敵なブランド物の洋服が欲しいと思っていたのに、たまたま見たブログで紹介されていたガジェットを通販で衝動買いしてしまい、洋服を買うお金がなくなった、というような経験がある方も多いだろう(僕もだ)。

このような衝動買いには、「サムデイリスト」が効果的だ。

欲しいものは即買いせずに、一旦全部サムデイリストに追加する。

サムデイリストには、もともと以前から欲しいと思っていたモノたちが順番待ちをしている。

その順番待ちリストの中に、「今欲しい」と思ったモノを追加して眺めるのだ。

すると、「今欲しい」と思ったものは、以前からずっと順番を待っていたモノたちよりも優先して買うべきものかどうか、冷静に判断できるようになる。

 

 

サムデイリストは自分が欲しいモノ「カタログ」である。「カタログに載っているものを全部買う人はいない」と著者のお二人は書いている。まさに名言である。

このリストを作るようになってから、僕はガジェットと本の衝動買いが随分抑制できるようになった。

 

 

 

まとめ

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見よ!この付箋の数を!!

 

 

ここのところ「日刊」に書いていたとおり、僕はタスク管理について、色々試行錯誤中だ。

2011年後半に構築した「立花流タスク管理システム」が一年半の時を経て古くなり、今の僕に合わなくなってきたのだ。

一旦タスク管理を止めてみたり、一部を復活させてみたり、ツールを変えたりと、色々試しているところだ。

そんなタイミングでこの本を読むことができて、本当にラッキーだった。

自分の既存のシステムの問題も浮き彫りになったし、改善のポイントも掴めてきた。

近日中に新バージョンの立花流タスク管理システム・バージョン2」が完成するだろう。

楽しみになってきた。

 

 

「人間の脳はかなりいい加減にできている」というのが僕の持論だ。

脳に頼ると気が変わったり、気が乗らなかったり、気が塞いだりして、本来やりたかったはずのことを「やりたくない」などと言い出すことが良くある。

だからこそ、「考える自分」と「実行する自分」を分ける手法が有効なのだ。

計画して実行し、ログを残す。そしてログを分析して改善点を見つけ、改善を加えた計画を立てる。

これを繰り返すことで、僕らは短期間に大きな成果を上げることができるし、夢に向かって一歩ずつ進むこともできる。

この本は「入門」と書かれているが、実に奥が深く充実した内容となっている。

「タスク管理には興味あるけど、どうやって始めたらいいか分からない」という人や、「タスク管理を始めたけどうまくいかず挫折した」という人に、超オススメである。

大げさに考えず、こぢんまりとスタートし、徐々に育てる。

そんな感じで始めてみて欲しい。

スマホの隣にこの一冊を。超オススメです!!

 

スマホ時代のタスク管理「超」入門

佐々木 正悟,大橋 悦夫 東洋経済新報社 2013-01-25
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クラウド時代のタスク管理の技術―驚くほど仕事が片付いてしまう!

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