書評

自分ブランドをしっかり定義しよう 書評「人生を変える自分ブランド塾」 by 中谷彰宏

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セルフ・ブランディング、パーソナル・ブランディングという言葉が盛んに叫ばれるようになったのはここ数年のことだ。

だが、自分自身をブランドとして構築できている人というのは太古の昔から存在したわけで、決して目新しいことではない。

卑弥呼だって聖徳太子だって後白河法皇だって、ブランド人であったのだ。

 

大昔からあった「自分ブランド」だが、何故最近になって急に騒がれるようになったかと言えば、ネット時代、ソーシャルメディア時代になり、一部の著名人や特権階級以外の我々一般人にも、ブランド構築の必要性が生じたためだ。

必要性が生じたと言うと言葉が悪い。

我々普通の人も、ブランド構築による差別化が可能な時代となった、と言うべきか。

そんなセルフ・ブランディングについて、大御所中谷彰宏氏が著した新刊が出たと知り早速読んでみた。「人生を変える自分ブランド塾」である。

 

人生を変える自分ブランド塾

中谷 彰宏 成美堂出版 2011-01
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by ヨメレバ

 

 

恥ずかしながら中谷氏の著作を読むのはこれが初めてだ。文庫サイズでフォントサイズも大きめで200ページ前後、気軽に読める入門書という位置づけだろう。

本書では1トピック2〜3ページで、様々な切り口から「自分ブランド」について著者が想うこと、感じることを並べたエッセイ風の切り口となっている。

特に章立てもなく、ランダムで軽快な語り口は飄々としていて読みやすい。

読み進むに連れて面白いな、と感じたのは、本書はある意味「自分ブランドができ上がった大人」が書いた本だというイメージが滲み出ている点だ。

僕が過去に読んできた本田直之氏や佐々木俊尚氏、それに勝間和代氏らのセルフ・ブランディング本とは明らかに違うノリが本書にはある。

最初はそのノリが何ナノだろう?と戸惑ったのだが、徐々に分かってきた。中谷氏自身がすっかり自分ブランドを構築し終わっていて、しかも構築から時間が経過しているため、良くも悪くも完成してしまっているのだ。

完成しているからスマートだし説得力もある。だか洗練されている分ゴツゴツした生々しさがなく、時間が経っているため少し古くさい。

詰まらないと言っているのではない。あくまでも他の本とはちょっと違う、ということを強調したいのだ。例えば以下の例だ。引用ではなく僕がまとめた一文である。

 

ブランド力のない男性が女性にブランド物をプレゼントしたとしても、喜んでいるのはブランド物を貰ったからにすぎない。

ところが、ブランド力がある男性が100円の消しゴムを女性にプレセントすれば、「○○さんがくれた100円の消しゴムだ」と女性は喜ぶ。

そうなるためにはブランド物をプレゼントする代わりに、そのお金を自分に投資して勉強しなさい。

 

確かにその通りなんだと思う。そこまで自分をブランド化できれば大したものだと思うし、20年前のアイドルなどは、100円の消しゴムで女の子を失神させることができたかもしれない。

ブランド構築のための定義を学ぶ。そしてその教科書は洗練されたブランドを持つ男。

そういう図式で読むとスッキリするだろうか。

色々な意味で従来とは切り口が違うブランディング入門書であった。

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