話し方・聞き方・人間関係書評

質問は人生を変える

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マツダミヒロさん著、「質問は人生を変える」という本を読んだのでご紹介しよう。

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先日マツダミヒロさんの「コミュニティをつくって、自由に生きるという提案」という本を読み書評を書いた。

その本は「コミュニティづくりの基礎を学びたい」という理由で読んだ。

その本で初めてマツダミヒロさんを知ったのだが、肩書の「質問家」に興味を持った。

僕はカウンセラーとしても仕事をしており、「傾聴」が大事だが、上手く傾聴するためには的確な質問が大切だからだ。

マツダミヒロさんの他の著作を検索したところ、本書がヒットしたのでさっそく読んでみた。

予想通り素晴らしい本だった。

さっそく紹介しよう。

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相手の「本音」と「本気」を引き出す質問

本書では相手の本音と本気を引き出す4つの質問を提示している。

それが「何を?」「本当に?」「それで?」「どうすれば?」の4つだ。

なぜ質問が大切かと言うと、我々は心の奥で本当に言いたいことを最初から言語化できていないからだ。

表層的に語っている言葉の奥に、本当に伝えたいことが眠っている。

相手が的確に質問をすることで、その奥に眠っている本音が引き出されるのだ。

本書の著者、マツダミヒロさんはビジネスコーチングの仕事をされているそうだ。

コーチングもカウンセリングと同様、相手の潜在意識に潜んでいる本当のメッセージを引き出すのが仕事だ。

本書では大きく5つのテーマで、質問がどのように我々の心の奥に届き、潜在意識の闇に光を当てるかを説明している。

多くの場合、聞き手が的確に質問をしているつもりでも、「相手をコントロールしよう」と考えていると上手くいかない。

組織において上司が部下に質問する場合や、家庭でパートナーが相手だったりすると、自分の意図が出てしまい、相手に気づかれてしまうのだ。

相手がコントロールしようとしていることに気づくと、我々は反発するものだ。

反発してしまうと、相手は「何を言っても無駄だ」と感じ、もう心を開かなくなる。

相手に寄り添い、共感することで、初めて相手は心を開くことができる。

相手の本音や本気を引き出すためには、聞き手は自分の主観を一旦放棄することが大切だ。

「自分との対話」にも質問が有効

質問は誰かとの対話だけでなく、自分との対話にも非常に有効だ。

我々は日々、自分のことを理解しているつもりで生きている。

しかし、実際は自分のことを深く理解できていないことが多い。

たとえば、自分で決めたルールを守れない状況があったとする。

その時、頭ごなしに「自分は自分で決めたことも守れないダメな奴だ」と決めつけてはいけない。

自分で決めたことを自分で守れない時、顕在意識と潜在意識が別のことを感じ、「また裂き状態」になっていることが多い。

そんな時は、自分との対話で質問をすることで、心の奥が見えてくる。

「本当はどうしたいの?」や「何がイヤなのかな?」といった質問だ。

自分との対話をするときは、頭の中で行わず、紙とノートを用意して書き出しながら行う。

頭の中で行うと思考はすぐループしてしまい、対話が深まらない。

些細なことでも紙に書き殴っていくと、やがて本音が顔を覗かせる。

僕自身、朝「今日やること」と自分で決めて書き出したTo Doを、自分で無視することがある。

1日だけならともかく、2日、3日と先送りが続くときは何らかの理由が潜んでいる。

顕在意識では「やろう」「やらなければ」と思っていても、潜在意識側が「やりたくない」と訴えているのだ。

人間の意識のうち、顕在意識は3〜5%、残り95〜97%が潜在意識で構成されている。

したがって、どんなに顕在意識が頑張って「やるぞ」と思っても、97%の潜在意識が「絶対にイヤだ」と言っていれば、物事が動くわけがない。

潜在意識側の本音を引っ張り出したいわけだが、潜在意識は「無意識」とも呼ばれるくらいで、自覚することが難しい。

そんな潜在意識の本音を引き出すのが、「質問」なのだ。

「本当はやりたくないの?」「どうしてやりたくないのかな?」「何がふあんなのかな?」

といった質問で、自分の本音を引き出そう。

そして、「どうやったらやりたくなるかな?」「邪魔しているものがなくなったらできるかな?」など、前向きな質問も付け加えていくことで、障壁を取り除くことができる。

日々自分との対話を深めるのにも質問は有効だ。

「YesかNo」ではなく、「YesかYes以外」

我々は常に直感と思考を並列して使っている。

直感は潜在意識が訴えかけるもので、思考は顕在意識側で頭脳が作り出すもの。

言い換えると、直感は本音であり、思考は後から作り出されるものの場合が多い。

大きなチャレンジに誘われた時、話を聞いた瞬間「やりたい!」と思ったのに、家に帰ってじっくり考えると、だんだん不安になって止めてしまう。

この場合、「やりたい!」とせっかく直感が奮い立ったのに、思考が後から不安な要素を拾い集めて直感を押し潰し、行動を断念してしまったのだ。

直感を活用するには、考えることを手放すことが必要。

直感を使うときに良い質問は「やりたいのか?やりたくないのか?」である。

その場合答えは「YesかNoか」ではない。

答えは「YesかYes以外か」で捉える。

松田さんは以下のように書いている。

「迷いなく「やりたい!」と答えられれば、それは直感的な答えです。

「やりたくないわけではない」というのは、思考で無理矢理答えている状態です。これがYes以外という答えです。Yes以外の答えをNoではないと捉えるのではなく、Noと捉えましょう」。

思考は物事に損得勘定、メリット・デメリットを持ち込む。

「本当はあまり気乗りしないけど、やっておくとお金になる」などが典型的な思考による捏造だ。

思考から導かれる答えは、本当に自分が望む答えではないことが大半だ。

気乗りしていない状態で物事を始めても結果は伴わない。

直感を鍛えて、直感に従うようにしよう。

まとめ

日ごろから傾聴を大切にし、自分との対話も進めているつもりだった。

しかし本書で、質問が持つ本当の力を知ったように思う。

人との対話、そして自分との対話に積極的に質問を活用したい。

そう再認識させてもらった。

質問が持つパワーを知ることができる素晴らしい一冊だった。

オススメです。

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