江戸・東京・町書評

駅がないのに流行り続ける「西麻布式」の秘密 by 角章 〜 大人の街よ永遠なれ!! [書評]

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ブックレビュー2010年の50冊目は角章氏著、「駅がないのに流行り続ける「西麻布式」の秘密」を読了。

これは良い本だ。とても良い。

いきなり脱線してしまうが、この本は六本木交差点すぐのところの「あおい書店」でパッと見てタイトルを気に入り購入した。

アマゾンや楽天ブックスなどのオンライン書店が全盛だが、やはり書店でずらっと並んだ本のカバーやタイトルを見て直感的に買うという楽しみはなくしたくない。
なくしたくないからこそ、僕らは書店にも出かけていって本を買わないといけないということだ。

オンライン書店でばかり本を買っていたら、書店はやっていけなくなってしまう。

というわけで麻布で買った麻布の本。主題に戻ろう。

本書は空間プロデューサーであり、エムザ有明、芝浦ゴールドをはじめとした巨大スペースのプロデュースや、西麻布で多くの飲食店を仕掛けてきた角章(かど・あきら)氏の著作だ。

西麻布の夜の歴史をひも解きつつ、その魅力を分析し、その魅力を日本全国に伝播させるための秘訣を伝授してくれる。

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駅がないのに流行り続ける「西麻布式」の秘密 by 角章 〜 大人の街よ永遠なれ!! [書評]

僕自身西麻布一丁目出身で、まさにバブルと共に自分の青春時代を過ごしたので、バブル期の六本木や西麻布がどんな状態だったかは、ハッキリこの目で見てきたという自負がある。

だが、悲しいかな、バブルの絶頂と言われた1988年は僕はまだ19歳の青二才で、強がって六本木のディスコやバーには通っていたものの、当時の社会人が体験した、本当のバブルを体感できていたわけではなかった。

そして本書の著者である角氏は、青二才だった当時の僕がせっせと通ったお店をプロデュースしていたという。

本書の前半は、六本木や西麻布の夜の歴史をひも解いてくれていて、時代を超えて、バブルの頃のお店の雰囲気が蘇る。

さて、六本木と西麻布は隣り合っているが、その性格はまさに正反対と言っていいだろう。

表通りにびっしりとお店が並び、華やかなネオンが眩い六本木に対して、西麻布は表通りを歩いても看板もあまり見当たらず、裏道に入り込むとひっそりと営業している小さな店が、ぽつり、ぽつりと点在していて、それぞれがそれなりに繁盛している。

外国人も多く年齢層が低い六本木に対し、西麻布は通好みで大人の街という印象を持つ。

そんな西麻布に次々と新しい店舗を仕掛けていった著者の、具体的な事例をベースにした語り口は瑞々しくそして熱気を帯びており、角氏がいかに情熱を注いで西麻布という街を育ててきたかが良く伝わってくる。

文中には「レッドシューズ」、「トゥールズバー」、「ピカソ」など、バブル期の西麻布を代表した店舗の名前も多く挙がり、ちょっとした風俗史といった様相を呈している。

バブルという現象を全肯定するつもりは毛頭ないが、あの頃の日本人は皆自信に溢れていた。

あの頃の豊かな心は、失うべきではないと、強く感じた。

駅がないのに流行り続ける「西麻布式」の秘密 の チェックはこちらから!!

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