ブックレビュー2010年の79冊目は、タラ・ハント氏著、「ツイッターノミクス」を読了。
ツイッターノミクス by タラ・ハント 〜 来るぞ C to C の時代! ウッフィーを増やせ!! [書評]
本書をレビューするには、最初に幾つか注記しないといけない点がある。
まず第一に、本書はツイッターについて突っ込んで言及している本ではないということ。
そもそも原書のタイトルは”The Whuffie Factor”「ウッフィー・ファクター」であり、ツイッターノミクスではない。
では何故日本語タイトルが「ツイッターノミクス」になったのか。
僕なりの結論はこのエントリーの最後に書いた。
そして第二に、原書タイトルの一部にもなっている「ウッフィー」とは何かだ。
ウッフィーとは、コリイ・ドクトロウ氏が自身のSF小説「マジック・キングダムで落ちぶれて」の中で、貨幣が一切存在しない社会において、貨幣の代わりに流通する「ソーシャル・キャピタル」を表す単位として登場したものなのだそうだ。
ソーシャル・キャピタルとは、「その人に対する評価の証」と説明されている。
人に喜ばれるようなことをしたり、手助けをしたりすればその人のソーシャル・キャピタル、つまりウッフィーは増え、逆に人からの信頼を失うようなことをすればウッフィーは減る。
そして本書の著者タラ・ハント氏は、このウッフィーこそが、現代のWeb 2.0時代を生きるための最重要ファクターであり、ネットの世界で成功したい企業や人は、ひたすらウッフィーを増やすよう、減らさぬように行動することが必要であると説く。
本書は個人としてWeb 2.0を有効に使いこなしたい人にも勉強になる本ではあるが、最も参考になるのは、ネットを使って自分のビジネスを成功に導きたいと願う人達だろう。
デルやアップルを始めとした多くのアメリカ企業に於ける成功例と失敗例をもとに、Web 2.0の世界で絶対にやってはならないこと = ウッフィーが減ること、そして是非ともやるべきこと = ウッフィーが増えることを説明してくれる。
日本人が執筆したTwitterのビジネス本にも繰り返し書かれているが、Web 2.0時代のネットビジネス成功のキーは、「信頼」なのだ。
人と人がダイレクトに繋がるという意識を企業側が持ち、信頼関係を作っていくことでのみウッフィーは増えていく。
そしてその信頼関係が出来る前に企業側が一方的に売り込みを行っては、ウッフィーはどんどん減っていってしまう。
つまり、B to B (企業対企業)、 B to C(企業対個人)ではなく、C to C(中の人対個人)の時代がやってきているのだ。
デジタルなネット時代の人間関係は機械的で味気ないと思っている人もいるようだが、実はWeb 2.0の時代ほど、人と人が密接かつダイレクトに繋がれる時代はない。
そしてその先端を走る飛び道具がツイッターなのである。
ツイッターこそが、もっとも簡単かつダイレクトに人と人を結びつけることができるWeb 2.0ツールであり、Twitterからブログやメルマガ、販売サイトへと人々は流れていくものなのだ。
だからこそ、ウッフィーを扱う本書の日本語版タイトルは「ツイッターノミクス」とされたのだろう。
僕はそう仮定してみた(もちろん「ウッフィーの時代」などの邦訳だと何が何だか分からないという事情もあっただろうが)。
ネットの中の人として生きたいなら、本書から学ぶことは膨大にあるだろう。
読んでおいて損はない、マスターピース。
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https://www.ttcbn.net/no_second_life/archives/62986
https://www.ttcbn.net/no_second_life/archives/61067
著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。