3. 従順な羊ではなく、野良猫になれ
キムさんは韓国生まれで日本に国費留学し、その後アメリカやヨーロッパの大学で学び、現地で暮らした経験を持つ。
そんなキムさんの目から見ると、日本の企業で働く人々は、あまりにも「従順な羊」でありすぎるという。
本来自由に動き回れる野良猫であるべき人たちまでが、会社組織に縛られ、従順な羊に意識的になろうとしている。
それは何故か。一つは野良猫として生きるための努力が不足していたこと。そしてもう一つは権威に対する意識を必要以上に大きくしてしまったことが挙げられるだろう。
「努力が不足していた」というのは、組織から出て一人で生きていくための心の準備、そして自身のスキルアップといった活動がされていないことを指す。
そして「会社に逆らったら生きていけない」「会社が作ったルールには従わなければならない」という意識が必要以上に大きくなってしまっているのも要因だ。
しかし、いまや企業はいつ潰れるか分からず、従業員は解雇される可能性も高まっている。会社は永続的に存在できなくなっているのだ。
そんな時に、従順な羊として働いていた人たちは、一斉に行き場をなくすだろう。
これからは自己をしっかり確立し、自由に動き回れる「野良猫」を目指すべきだ。
出ていくかどうかは別として、いつでも企業から出ていけるだけの準備をし、意識を高めておかなければならない。
4. 他者の目を気にしない。評価を過大評価しない
自分の道を進むためには、自分を信じなければならない。
だが、自分を信じることを阻害する最大の要因は他者の目だ。
家族の視線、恋人の意見、会社の同僚の出す空気、上司の評価、友人たちとのノリ、隣近所の付き合い。
他者の意見や声に耳を傾けることは大切だ。だが、その声が大きくなりすぎると、自分への自信が失われ、前に進むことができなくなってしまう。
自信過剰になれとか、他人の意見を聞くなと言っているのではない。
自分を信じたうえで謙虚になり、未熟さを認める必要があるのだ。順番が逆になってはいけないのだ。
キムさんは、通常我々は他人への意識が8割、自分への意識が2割で生きていると指摘している。
この比率を逆転させるのだ。8割のアテンションを自分に、そして2割を他者へと。
この比率を逆転させられると、多くの問題は自分との対話で解決できるようになり、まだ起こってもいないことへの不安や恐れなどに悩まされることが激減するのだ。
人間褒められると嬉しいものだ。だが、他者の評価を気にし過ぎては、人生を媚びることになってしまう。自らの内面との対話を重視しよう。
5. 言葉は、量ではなく重さで勝負せよ
人に伝えたいことがあるとき、無闇にベラベラと喋り続けてはいけない。
伝えたいことは、量よりも重さで勝負すべきだ。
他者でも伝えられることは、あえて語る必要はない。
ポイントを明快にして、他の人でも言えることは敢えて削ぎ落としていく。
そしてもう一つ大切なことは、話したいことがハッキリしない時は、人間は沈黙すべきということだ。
話したいことがないのにベラベラと意味のない会話を続ければ、結果として軽い人間と見られ、評価を下げてしまうだろう。
時として沈黙がもっとも雄弁である場合もある。
言葉に重みを持たせるのは、沈黙なのである。
6. 群れから離れよ
気の合う友人や仲間と一緒に過ごす時間は心地が良い。
自分のことを知り、支持してくれる人たちに囲まれていれば安心だ。
だが、その状態では自分が安定してしまい、成長できなくなっていることも知るべきだ。
群れの中にいるのは安全だが、危機意識が低下しているのだ。
だから、自分が群れの中に入っていることを発見したら、意識的に群れから距離を置くべきだ。
絶縁しろと言っているのではもちろんない。同じメンバーとばかり一緒にいる状態が危険だという話しだ。
様々な年齢や方向性の人たちと会うこと。そしてもう一つ大切なのが、自分と向き合う一人の時間をきちんと持つこと。
自分との対話により常に危機意識を持ち、成長へと結びつけていくのだ。
【次のページ】最終決定を他人のものにするな。それはどういう意味??
著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。