心理カウンセラーの根本裕幸さん著「忙しすぎて辞める人。暇すぎて病める人。」という本を読んだのでご紹介。
帯の「暇が人をメンヘラにする」という言葉が何とも刺激的。
僕も一時期は毎日忙しすぎて「この状態から脱却したい」と願っていた。
今ではすっかり自分の時間をコントロールできるようになってご機嫌だ。
しかし暇になりすぎるのもまた問題。
現代人は時間に追われる状態に慣れすぎていて、自分の時間ができることに順応しにくくなっている。
本来自分の時間を持てることは素晴らしいことのはず。
ユニークな視点の素晴らしい一冊だった。
さっそく紹介しよう。
「暇」があれば我々は悩む
「暇」であるとは本来は時間にゆとりがあって良いことのはず。
しかし実際多くの人は時間に余裕があっても、それをプラスに活用できない。
逆に時間にゆとりがあることを「暇」で「退屈」と捉えてしまうことが多い。
どんなときに暇をネガティブに捉えるかというと、「やりたいこと、夢中になれることがない」ときや、「やるべきことがあってもやる気がないとき」などだろう。
夢中になれることがあれば、時間があれば没頭できるわけだから、暇で退屈ということにはならない。
そして、やりたいことが特になくて時間が余ると、我々は余計なことを考え始める。
それは、あれこれ「悩む」ことである。
我々は仕事や家事など時間に追われているときには、悩むことは少なくなる。
やるべきことが目の前にあるから、それに対応することに集中しているからだ。
しかし、暇があると、くよくよ色んなことを考えては思い悩むようになるのだ。
著者の根本裕幸さんはこのように書いている。
「あれこれ考え込んだり悩んだりするのは「暇」だからかもしれません。つまり、悩むだけの「暇」があるのです」。
我々はわざわざ暇を見つけては、その時間に悩むという選択をしている。
この本の帯にあるとおり、「暇が人をメンヘラにする」のである。
なぜ我々はわざわざ悩むのか
さまざまな理由で我々は暇な時間を有効に活用できず、わざわざ思い悩むという選択をしてしまう。
時間を有効に使って思う存分やりたいことをやれば良いのだが、そもそも「やりたいことが見つからない」「やる気が出ない」という人も多い。
夢や目標を見つけられない人には、ずっと誰かの期待に応えるために生きてきたり、感情より思考を優先させて生きてきたなどの共通項がある。
また、夢を叶えてしまって燃え尽き状態にある人や、ストレスレベルが高く心身に不調を抱いているケースなども見られる。
いずれにしても、自分の「やりたい」が見つからない人は、自分軸ではなく他人軸を中心に生きてきたケースが多い。
期待に応え続ける、プライドが高い、理想主義、自分が間違っているという思い込み、低い自己肯定感などは、周りの目を気にしすぎる、他人との比較を自分の価値と思い込む「他人軸」状態だ。
他人軸状態だと、自分の存在価値が他人に依存するため、解決できない問題を悩み続けることになる。
他人をコントロールすることなどできないが、何とか相手を自分の思うように動かそうと心を砕いたり、相手を振り向かせようと必死になったりする。
それら正解のない問題、答えの出ない問いに振り回され悩み続けても、答えが出ることはない。
本来自分を変えることができるのは自分だけだが、自分の感情を感じるのが怖いため、目先を逸らすために解決しない悩みを持ち込んでいるケースもある。
自分軸で生きることを無意識に避けるために、一人で深刻に思い悩み、他人軸の中に嵌り込んでしまうのだ。
答えの出ない悩みの中でループしても物事は解決しない。
他人軸のループから脱出して自分軸で生きる人生に転換することが大切だ。
自分軸で生きる
自分軸で生きる人生にシフトするためには、まずは自分の「感情」を感じることから始めよう。
多くの人は「やらねば」「やるべき」と思考で考えて行動する癖がついてしまい、自分の感情を感じることができなくなっている。
身近な話しだと、「今日のランチに何が食べたいか?」を自分に聞いてみることから始めると良いだろう。
ランチに何を食べるかというシンプルな問いに対しても、「時間がないからコンビニで」とか「昨日食べ過ぎたから軽く」など、「思考」で「こうするべき」「こうしなければ」と考えて判断しがちになっている。
「何を食べたいのか」「どのお店に行きたいのか」という、「したい」「やりたい」を感じたうえで、「でも昨日の夜も食べ過ぎたから今日は軽めで」と、理性で自分の行動を制御するのなら良い。
きちんと自分の感情を一旦受け入れること、受容して感情が表に出てくることを許可することが大切だ。
また、心と身体は繋がっていることを忘れている人も多い。
睡眠不足や慢性的な運動不足などは、心のコンディションを悪くする。
日中に運動をすることで睡眠の質が上がり、睡眠の質が上がるとメンタルのコンディションが改善する。
心と身体をメンテナンスすることで、日々気持ち良く過ごす時間を増やすことができる。
心身の調子が良いときに現れる「こうしたい」という感情を大切にし、好きなことを少しずつでも実行していく時間を作っていく。
他人との比較ではなく、自分が本当にやりたいことをやって生きる道へと進むことができるようになるのだ。
そして、人生のあらゆる面で「自分らしさ」を追求することを「ライフワーク」と定義し、ライフワークを実践していければ、人生における「暇な時間」はすべてライフワークの実現に捧げることができるようになる。
毎日体調も良くやりたいことがたくさんあり、そのやりたいことを実現するための時間がたっぷりある。
その状態を実現できたら、もう「暇で退屈」な時間などはなくなり、解決しない問題に思い悩むこともなくなるのだ。
まとめ
現代人の多くは時間に追われている。
「自分の時間がほしい」と願いつつも、実際に時間ができても「やりたいことが分からない」となってしまい、有効に活用できないばかりか、せっかくの時間を持て余し、悩むことに使ってしまう。
その悪循環に陥る理由を心理的に深堀りし、他人軸から自分軸へとシフトさせてくれる素敵な本だった。
やりたいことが山ほどあって時間もふんだんにある。
そして自分には「やりたいことを全部やる力がある」と信じることができれば、誰もが「暇で退屈」などという状態にはならず、自分のライフワークを生きることに懸命になるだろう。
素晴らしい一冊でした!!
オススメです!!
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著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。