心・心理・あり方書評

仕事ができる人のうまい「頼み方」

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松橋良紀さん著、「仕事ができる人のうまい「頼み方」」という本を読んだのでご紹介。

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世の中には大別すると、2つのタイプの人が存在する。

人に何かを頼むのがうまい人とへたな人の2種類だ。

頼むのがうまい人とへたな人では、人生における成果に大きな開きが出る。

人間がたった一人で成し遂げられることには限りがあるからだ。

コミュニケーション心理トレーナーとして28冊の本を出版されている松橋さんの新刊。

僕自身のコミュニケーションスキルをさらに向上させたくてこの本を手に取った。

さっそく紹介しよう。

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自分ひとりの力で出来ることなど、たかが知れている

世界一の大富豪だったアメリカの実業家アンドリュー・カーネギーは、自らの墓に以下の墓碑銘を刻ませた。

「 自分よりも優れた人々を周りに集める方法を知っていた者、ここに眠る」。

そして「経営学の神様」と呼ばれるピーター・ドラッカーも、カーネギーの墓碑銘に対して以下の言葉を残している。

「”自分よりも優れた人々を周りに集める方法を知っていた者、ここに眠る”。これほど成果を上げるための優れた処方はない」。

成功者に共通する点は、優秀な人を見抜いて抜擢し、任せていくこと。

頼むのが上手なのだ。

いっぽううまくいかない人はすべてを自分でやろうとして失敗する。

どんなことでも、自分の周りにすでに結果を出してうまくいっている人がいるはずだ。

身近にいなかったとしても、ノウハウが書かれた本が出ているだろうし、ブログやYouTubeになっているものも多い。

うまくいく人は、結果を出している人に教えを乞いマネをするところから始める。

成功法則があるならそれを徹底的に模倣すれば最短ルートだからだ。

いっぽううまくいかない人は、すべてを自力で最初からやろうとして挫折する。

著者の松橋さんは以下のように書いている。

「 成果が出ない人に限って、自力でイチから発明しようとします。すでに世の中には成功ノウハウが蓄積されているのに、それに頼らずにイチから自力でノウハウを作り上げようというのは、時間を捨てているのと同じです」。

ひとりで何もかもやろうとするのは得策ではないことは多くの人が理解していることだろう。

でも人に頼むのが苦手だったり頼めない人がいるのも事実。

どのような頼み方をすると良いのか、本書のなかからピックアップしてご紹介したい。

アサーティブ・コミュニケーションを使う

本書では「うまい頼み方」が何種類も紹介されているので、詳しくはぜひ本書を熟読いただきたいのだが、この記事ではそのなかの一つ「アサーティブ・コミュニケーション」を紹介したい。

「アサーティブ」とは日本語にすると「断定的」「自己主張」「断言する」などになる。

だからアサーティブ・コミュニケーションを直訳をすると「断定的なコミュニケーション」や「自己主張するコミュニケーション」などとなる。

この言葉をそのまま受け取ると「一方的で押し付けるようなコミュニケーションなのか?」と心配になるかもしれないが、そうではない。

実は英語のアサーティブ(assertive)の概念にピッタリ当てはまる日本語はない。

そしてアサーティブという考え方は、日本人がとても苦手なコミュニケーション スキルである。

日本人は「和を尊ぶ」文化が根付いており、自己主張をする人をよしとしない風潮がある。

概念がないから実行できないのも頷ける。

アサーティブ・コミュニケーションとはどのようなものかを著者の松橋さんは以下のように定義している。

「自分を尊重し、意見を表明する権利を行使しながらも、相手も尊重すること」。

日本人の多くは、このアサーティブ・コミュニケーションが苦手だ。

日本人は自己主張するときに感情的・攻撃的になってしまうか、自己主張できずに我慢してしまうか、または直接相手に言わず人づてに悪意ある噂を流すなど作為的なってしまうことが多い。

子供のころから学校や家庭で議論をしながら合意形成をしていく教育がされず、正解・不正解がハッキリする暗記・つめ込み型教育しか受けていないことも要因だろう。

たとえば家族の誕生日で早く帰りたいのに仕事が終わらず困っているケースを例にする。

手が空いているように見える同僚がいる場合、アサーティブな頼み方はこのようになる。

「今日家族の誕生日で早く帰りたいんだけど仕事が終わらなくて困っているんだ。もし良かったら手伝ってもらえると助かるんだけど、どうかな」。

相手の返事がOKでもNGでも、この頼み方なら相手が気分を悪くするようなことはない。

しかしアサーティブなコミュニケーションができない人は、以下のような態度をとってしまいがち。

我慢したうえで沸点を越えると突然攻撃的になり、「暇なんだった手伝ってくれたっていいじゃないか!」と相手を責めてしまう。

または頼みたいのに頼めずに我慢してしまい、結局ひとり残業して遅く帰ることになる。

もしくは「ああ、何で俺ばっかりこんなに忙しいんだ。誰も手伝ってくれないなんて冷たいな」と聞こえよがしに言う、など。

お互いがアサーティブなコミュニケーションができると、お互いの意見を言いつつ相手の話も聴く「対話」が成立する。

対話を重ねることで、何らかの落としどころを見つけ、全員がハッピーな結果になるように導くのがアサーティブ・コミュニケーションだ。

頼めない人の深層心理

本書ではうまい頼み方と並んで、頼めない人の深層心理についても深い解説がある。

頼めない人は幼少期に親などとの関係性において抱えることになった自分に対する「禁止令」を持っている。

その禁止令こそが「人に頼ってはいけない」「甘えてはいけない」「自分がやりたいことをやってはいけない」などだ。

子供のころに「甘えることは良くないことだ」と「子どもであるな」であるなの禁止令を抱えてしまった結果、大人になっても他人に頼ったり人にものをたのんだりすることができないままなのだ。

なぜそのような思い込みが作られるのか。

多くの場合、親から「お兄ちゃんでしょ!しっかりしなさい」「お姉ちゃんなんだから、弟の面倒を見なさい!」など甘えることを許されなかったとか。

両親が離婚して片親がいなくなり、自分がしっかりしないといけないと思い込んだ、などがキッカケとなることが多い。

そのような状況にある子どもはちゃんとしている、しっかりしていると親が褒めてくれるケースも多く、そのような経験をすると「自分が頑張ると褒めてもらえる」と考えるようになる。

僕自身もまさに長男であり両親が離婚して片親になったため、「自分がちゃんとしなきゃ」「しっかりしないといけない」という思い込みがあり、人に頼るのが苦手だった。

幸い僕は心の学びを通じて幼少期の自分に寄り添い過去の禁止令を昇華させることができ、今ではすっかり禁止令はなくなっている。

本書では禁止令の解除に関するカウンセリングセッションの様子を詳細に解説しているので、詳しくは是非本書を熟読してほしい。

自分自身の独力で禁止令を解除するのは正直難しいだろう。

それこそ人に頼って、カウンセラーの力を借りて自分の禁止令を解除してもらうのがベストだ。

まとめ

心理学のテクニックを駆使してうまく頼む方法が満載の一冊だった。

後半では頼めない人の深層心理の構造と、頼めない人が抱える禁止令の解除プロセスの解説もあり、とても読みごたえがあった。

僕自身もゲシュタルト療法を学び、自分のカウンセリングセッションでも使うことがあるので、とても共感できたし、リアリティもあった。

うまく頼みたいという方はもちろん、頼めない自分を自覚している人にもおすすめの一冊だった。

人間がひとりで出来ることには限りがある。

ぜひ本書を読んでうまい頼み方を身につけてほしい。

「仕事ができる人のうまい「頼み方」」のチェックはこちらから!

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