僕らは常に他人の視線に晒されながら暮らしている。
同じ他人の視線を浴びていても、その他人の目を気にしてしまう人と、全然気にせず我が道を行く人がいる。
そして日本は昔から、「和」を重んじるという文化があるため、この「他人の目」を気にする傾向が強い。
日本では、親が子供を叱る時に「みっともない」とか「人が見てるでしょ」という言葉を放つ。
これは、物事が本質的に「良い」か「悪い」かではなく、他人の目が届く場所で格好悪いことをすると恥ずかしいでしょ、という教え方だ。
キリスト教国では、人がいないところでも悪いことをすれば、「神様は常に見ている」という教え方をする。
この差は実はとても大きい。
若いうちに徹底的に自分と向き合う経験をした人は別だが、僕を含め多くの日本人は、社会の中で「普通である」ことを、必要以上に重視して生きてしまうことになる。
でも、実はそれは、自分で自分を縛っているだけで、誰の得にもなっていないことが多い。
気にしているだけ無駄なのだ。
とは言っても、長年他人との横並び、「その他大勢」の中で暮らすことしかしてこなかった人には、何から始めていいか分からないだろう。
そんな人にぴったりなご本を読んだ。金光サリィさんの「人の目を気にせずラクに生きるために黒猫が教えてくれた9つのこと」というご本だ。
他人目線から脱出して、自分として生きる方法を、ストーリー仕立てで分かりやすく解説してくれる。
早速紹介しよう。
自分のことを好きになれない人必読!! — 人の目を気にせずラクに生きるために黒猫が教えてくれた9つのこと by 金光サリィ [書評]
自分を縛っているのは自分?
僕自身にも経験があるので分かるのだが、僕らはなかなか自分の生きたいように生きることができない。
でも、実はその選択は自分自身で決断しているものなのだと言ったら残酷だろうか。
もちろん突然の事故や重い病気など、自分ではどうしようもないケースがあることは承知している。当然そういうケースは除いてだ。
たとえば僕自身の場合、20代後半で会社を退職して作家・ライターになりたいと思った時期があった。
でも、当時付き合っていた女性から猛反対され断念した経緯があった。
僕は、僕自身が「やはりサラリーマンとして働き続けよう」と決断したにもかかわらず、心の中で「反対されたせいでできなかった」という、しこりを残してしまった。
同じようなケースは他にもたくさんある。「本当はあの学校に生きたかったのに親が反対したから」「あの時本当はこうしたかったのに」「あの人のせいでこんなひどい結果になってしまった」
でも、これは全部自分が選んでいることなのだ。
人に腹を立てることもそう。落ち込むこともそう。
腹が立つという感情はその場で起こることだが、「怒り続ける」「落ち込み続ける」というのは、自分がそれを選んで実行していることなのだ。
僕らは、自分自身で自分のことをがんじがらめにしてしまっていると知ろう。
あなたの常識は誰のもの?
会社の同僚7〜8人とランチに行こうとしていると想像して欲しい。
あなたは何となく「今日はカレーを食べたいかな」と思っている。
ところが同僚のうちの一人が、「今日はさっぱり和食にしない?」と提案し、2、3人が「いいね、そうしよう!」と反応したとする。
あなたは「あーあ、カレーが食べたかったのにな」と思いながらも、つい「いいね!」と言ってしまっていないだろうか。
人との「和」を大切にしている行為と言えるかもしれないが、ランチを同僚と一緒に食べないと人間関係が気まずくなるケースはまずないだろう。
自分の中に「好き」「やりたい」「いきたい」があるなら、それを大切にして、ストレートに伝えることが大切だ。
人と群れるのではなく、一人の自立した人間として行動しよう。判断を他人に委ねるのではなく、自分で判断しよう。
黒猫を想像してみて欲しい。
黒猫は常に単独行動。他人の視線もするりとかいくぐり、悠然と自分が食べたいときに食べ、眠りたいときに眠っている。
あれはネコだからできること?
そんなことはない。僕ら人間も彼ら黒猫と同じように、自分の思うように生きることができるのだ。
そのためには、世の中に溢れている「当たり前のこと」「常識」を疑うことから考えよう。
「和食はヘルシーだよね」「これってエコだよね」。僕らは深く考えずに当たり前のように言っている。
でもそれは本当?世間の一般論に流されるのではなく、一つ一つを自分なりに判断して消化していこう。
気が進まない飲み会には無理に参加したり「仕事が忙しくて」などの言い訳をするのではなく、「今日はやめとく」で良いのだ。
他人に合わせなくなったあなたと距離を置く人々のことを、あなたは本当に大切に思っているだろうか?
週に何度も愚痴を言うばかりの飲み会に、本当に出たいと思っているだろうか?
一つ一つを判断して決断する癖をつけよう。
受身にならずに自分で自分の価値観を作っていこう。
自分で自分を作っていこう
「セルフイメージ」という言葉をご存知だろうか。
セルフ = 「自分」、イメージ =「 姿、情景」という言葉のとおり、自分が思い描いている自分のことだ。
他人が自分をどう思っているかよりもずっとずっと大切なのが、このセルフイメージなのだ。
以前の僕を含めた多くの人は、セルフイメージが低すぎて自分を落としてしまっている。
「私なんて大したことできない」「どうせうまくいかない」「いつも失敗ばかり」「異性にモテない」。
僕らはそれら悪いセルフイメージを持ち、それを口に出してしまう。
つい友達に「また今回も資格試験ダメだったよ。もうどうしようもない」「私は本当に本番に弱い。緊張して頭が真っ白になっちゃう」など。
これら低いセルフイメージを言葉に出すと、その言葉が耳から脳に入り、どんどん自分にそのイメージを植え付けてしまい、結果としてセルフイメージ通りの人間になってしまうのだ。
だからこそ、セルフイメージは、「なりたい自分」を描き、それを書き出し、日々口にし続けることがとても大切だ。
「自分探し」という言葉が良くある。でもこの言葉自体根本から定義を改めるべきなのだ。
自分は探すものではなく、「作っていく」ものなのだ。
作り方は簡単だ。捨てたい自分を、なりたい自分で上書きするのだ。
たとえば、「私は人前で緊張してしまう」という捨てたいイメージは、「私はみんなに話を聞いてもらうのが好きだ」というように。
最初はうまくいかないかもしれない。効果に疑問を感じるかもしれない。
でも、「信じる」のも自分の選択。「信じない」のも自分の選択。
試してみて欲しい。その効果に驚くことになるだろう。
夢は叶えよう。欲しいものは手に入れよう
あなたは自分の夢リストや欲しいものリスト、会いたい人リストを持っているだろうか。
自分が行きたい場所、手に入れたいもの、やってみたいこと、会いたい人、食べたいものなどを、どんどん書き出していくのだ。
10や20では全然足りない。500でも1000でも書き出していくのだ。
やりたいことや欲しいものを具体的に書き出し眺めることによって、潜在意識にあった心のアンテナが活性化して、意味ある偶然の一致、いわゆる「シンクロニシティ」が多発するようになる。
「自転車が欲しい」でももちろん構わないが、より具体的に書くといい。
どのメーカーのどのタイプの何色の自転車なのかをイメージする。そしてその自転車に乗って颯爽と駆け抜ける自分の姿をイメージする。
イメージが具体的になればなるほど、その夢は叶う可能性が高くなる。
それは自分の中のアンテナが、あなたが欲しいものにあなたを引き寄せていくからだ。
夢を夢のままで終わらせないために、まずは心の中にある「欲しい」「行きたい」「やりたい」「会いたい」を是全部書き出してみよう。
まとめ
この本で「黒猫思考」と読んでいる思考法を身につけることで、今まで「うまくいかない」「どうせ私なんて」と思っていた人に、多くの変化が訪れるだろう。
その変化は最初は小さいものかもしれないが、耳を澄まして、遠くの小さな音を聴くように、その変化に敏感になって欲しい。
最初は小さな変化でも、自分を信じて進んでいくことで、やがてその力はどんどん大きくなり、やがては人生をまったく別のものへと変えてしまうだろう。
この本は、とても分かりやすいストーリー仕立てで、なりたい自分になる方法を解説してくれている。
今の自分に不満がある。こんな自分は好きじゃない。自分のセルフイメージが低くて辛い。
そんな人は是非一度読んでみて、そして実行してみて欲しい。
きっとその効果にあなたは驚くことになるだろう。
楽しいご本です。オススメ!
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著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。