自己肯定感が低い人へのアドバイス
本書の巻末には、乙武さんと、精神科医である泉谷閑示さんの対談が収録されている。
タイトルは「自分を愛せない人への処方箋」である。
泉谷さんによると、自己肯定感とは「健全な自己愛」である。
人間は誰しも健全な自己愛を持って生まれてくる。
ところが、成長の過程で親や友人などに、不当に叱られたり、無視されたり、傷つけられたりすることで自己愛が傷つけられる。
本来は自分を愛していたのに、「あれ?自分はもしかすると愛される資格がない人間なんじゃないか?ここにいたらいけないんじゃないか?」と幼いなりに解釈してしまう。
そしてだんだんと自分を否定するようになり、自己愛が損なわれてしまうのだ。
親のお仕着せと子供の葛藤というのも自己肯定感を失わせる大きな要因だ。
親は必ず言う。「あなたのためを思って!」
親は責任感を伴い子供のことを考えていると思い込んでこの言葉を使う。
だが、実はこれは親のエゴであり、子供から自己肯定感と自主的な判断力を奪うことになってしまうケースが多い。
そんな自己肯定感が低いまま大人になった人が、多く泉谷さんのセラピーを受けに訪れるという。
自己肯定感を高めるためのポイントは、「自分で考える」ことだ。
泉谷さんはセラピーでクライアントに、「あなたが感じる違和感はもっともだ」と全肯定するところからスタートするという。
クライアントは多くの場合、自分で考えることをやめ、思考のループに入ってしまっている。
他人に判断を委ねてしまい、「自分にはできない」「きっとうまくいかない」と自分を信じさせようとしているのだ。
「その他大勢」「世間一般」と自分は違ってもいい。一人ひとり考え方は違って当たり前。
そのことを理解すると、クライアントは漠然とした「常識」や「世間」を恐れなくなり、振り回されることがなくなっていく。
そして「巨大で恐ろしい」何かが、実は取るに足らないものだと分かると、クライアントは自分で考えることができるようになり、力強い自分が現れ始めるのだ。
子供の頃に親や他人から強制され「思考停止」したままの「自分」を取り戻すことが、自己肯定感を高める第一歩なのだ。
まとめ
乙武さんのもとには、「僕も乙武さんのように生きたい」「乙武さんがうらやましい」という声が届くようになった。
それまでは障害者といえば、「かわいそう」「気の毒」「触れないようにしよう」という考えが一般的だったので、さすがの乙武さんも戸惑うそうだ。
だが、周囲がそこまで乙武さんが輝いているように感じるのは、乙武さんが持つ強い「自己肯定感」故のことだろう。
乙武さんの輝きに周囲が吸い寄せられていくのだ。
乙武さんの妻が乙武さんを大学のキャンパスで初めて見かけた時の印象をこのように語っている。
「たくさんの友達に囲まれて楽しそうに笑う人だなあ」
自己肯定感は人を輝かせ、両手両脚がないという障害を乗り越え、周囲に「うらやましい」とまで思わせてしまう。
自己肯定感、恐るべしである。
そして、自己肯定感が低いと悩んでいる多くの方へ。
損なわれてしまった自己肯定感は、なくなったのではない。出せないだけだ。回復させることができる。
カウンセリングやセラピーを受ける方法もあるし、自分でコツコツと育む方法もある。
非常に奥が深い世界で、簡単に一言で説明することはできないし、僕もまだまだ勉強の途上だ。
興味がある方は、まず本書を読んでみてはいかがだろうか。
非常に力強く、そして優しさに溢れた本。
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著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。