勝間和代さん著、「自分をデフレ化しない方法」を読んだ。
良い。とても良い。
勝間さんの著書はここ一年ぐらいの間に出版されたものはかなり仕上がりが良くなってきているように感じることが多く、本書も非常に良くまとまっているのだが、この本の凄いのは何と言っても迫力である。
著者が大きく両手でバツを作り、ニコリともしていないという表紙写真、赤の背景というインパクトのある作りの通り、気合の乗った脱デフレへの提言書となっている。
ただ、タイトルからすると、いかにも自己啓発書的なのだが、本書がメインで扱っているのは日本をどうやってデフレから脱却させるかという提言であり、「デフレ時代にどうやって生き延びるか」という自己啓発書ではない。
このタイトルはちょっと釣っぽくなっていてあまり良くないと思う。
詳しく紹介しよう。
自分をデフレ化しない方法 by 勝間和代 〜 行動せよ!渾身の名作!!
さて、個人的に本書に強く惹かれたのは以下の3点。
1. デフレが何故いけないのかを、一般人にも分かるように噛み砕き説明できている点。
2. デフレの原因が何なのかについて、具体的に解説し、バブル期から現在に至るまでの日本の金融政策で何が起こってきたのかを俯瞰している点。
3. デフレから脱却して日本が再び活力を取り戻すための明確な指針を提示している点。
当たり前のことだが、本書に書かれている著者の解説を鵜呑みにしてはいけない。デフレや金融危機は単純な一つのファクターで発生するものではなく、複数の要因が複雑に絡み合った結果として起こるものだからだ。
だが、本書が提示している内容は、僕ら一般人が感じてきたこの20年間の怒りや絶望の原因としては、とても腑に落ちるものだし、また噛み砕き誰にでも分かりやすく書かれている。
また、デフレを単なる経済問題として捉えるのではなく、「社会から感謝と希望が減ってしまっている状態」とし、デフレ脱却が我々の「感謝と希望を取り戻す取り組み」と定義し、デフレを経済専門家が考えるべき難しい問題から、国民一人ひとりが声を挙げるべき身近な問題に転換させることに成功している点も素晴らしい。
そしてここからが非常に重要なのだが、本書では、どうすれば日本がデフレから脱却できるかを、明確に提言している。
もちろん専門家から見れば稚拙な点やおかしな部分というのもあるのだろう。だが、この閉塞感の強い現状の中で、「こうすればデフレからすぐに脱却できるんだ」という言葉を投げかけているという意味で、本書は稀有な存在と言っても過言ではない。
経済の専門家でないと分からないことや解決できないことも世の中には多々あるだろう。
でも、日銀や政治家の人々が、日本という国の舵取りに対する責任を全うできていないことは確かだ。
それに対して国民が大きな声を上げて日本を正しい方向に導かないと、本当に取り返しのつかない段階まで来ていると僕は感じている。
そして勝間氏は昨年11月に菅直人副総理を訪ね、デフレ脱却の重要性とその方法についての提言を行い、そしてその二週間後に、日本政府はデフレ宣言を出した。
勝間氏の行動と政府の動きに関連性があるかどうかは分からないが、「いま日本はデフレなんだ」という認識を政府が持ったことが、デフレ脱却に向けての大きな一歩になったのではないかと思っている。
「給料が上がらない」、「仕事が見つからない」、「結婚できない」、「子供が作れない」。これらの身近な問題を解決するためのキーワードは「デフレ脱却」なのだ。
本書を読んで思いを新たにした。
以前も書いたが、勝間氏さんを批判している人が山ほどいることは承知している。
だが、彼女を批判している人々の発言よりも、彼女の提言を僕は信じたい。
彼女は信じ、提言し、行動している。
そして僕は彼女の提言を支持する、という行動を起こすことでデフレ克服のために活動の第一歩としたい。
皆でデフレを終わらせよう。
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著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。