自己実現・自己啓発書評

なぜあの人はいつもやる気があるのか by 中谷彰宏

自己実現・自己啓発書評
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いつも「やる気」がある人、というのがいる。

僕も周囲からは比較的そう見られているようだが、僕なんかとは比べものにならないような、凄い人が周囲にはごろごろいる。

「やる気」というのは「モチベーション」と同じ意味だと思っていたのだが、最近それは違うと感じるようになった。

モチベーションというのは確かに英和辞書を引けば「やる気」「動機付け」と書かれている。

しかし、モチベーションというのは、僕の中のイメージでは比較的短期的な感情の起伏のことを指す。

いっぽうで「やる気がある」というのは、もっと長期的で、しかもあまり上がったり下がったりしない、「人間の基質」のようなイメージで捉えている。

セミナーを受講してやたら張り切っている人が、数日して日常生活に戻ったらあっという間にモチベーションが落ちてしまった、という話は良く聞く。

しかし「やる気がある人」というのは、セミナーを受けたからといって急に行動を変えるのではなく、もっと淡々としている。

自分に有効な部分をセミナーからさっと抽出して取り入れ、いつも通りの生活のレベルをサッと上げてしまい、こっそりバージョンアップしてしまう人だ。

では、「やる気がある人」というのは遺伝など先天性のもので、後からは身につけられないものなのだろうか?

いや、そんなことはないだろう。

僕自身もサラリーマン時代にはなかなかやる気が持てず、ずいぶん苦しんだのだ。

そんなことを考えていたときに、素敵な本を読んだ。

中谷彰宏さんの「なぜあの人はいつもやる気があるのか」という本だ。

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僕がぼんやりと感じていたことに答えをくれる、直観的で面白い本だった。

さっそく紹介しよう。

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あなたを「いつもやる気がある人」に変える10の秘訣

1. 1つの仕事を徹底的にやること

著者の中谷さんは800冊以上の本を書いてきたという。

800冊の本というと想像を絶する数だが、やる気を維持してきたのは「目の前の1つの仕事に徹底的にこだわる」ことだという。

最初から「800冊を書こう」と考えると、途方もないことで、げんなりしてしまう。

目の前の1冊に全力投球して仕上げることだけを考える。

全力投球してからっぽになる、1冊の本を書き上げると、はじめて次のやる気が生まれてくる。

これは僕自身もいつも感じていることだ。

本は文章の量も多く、書き終えるのは大変な作業だ。

でも不思議と一冊の本を書き上げると、それまで出てこなかったアイデアとやる気が湧いてくる。

始める前からあれもこれもと欲張るのではなく、1つの仕事を徹底的にやり切ることが大切だ。

2. 「徹底的」を習慣化して淡々とやる

あまりにも大事な言葉なので項目を赤字にしてみた。

この一言、「「徹底的」を習慣化して淡々とやる」。

この言葉に「やる気がある人の秘密」がすべて詰まっていると言っても過言ではない。

中谷さんは以下のように書いている。

 

「やる気がある人は、特別なことは何もやっていません」

 

まさにその通りで、やる気がある人は、習慣を変えることに専念する。いかに特別でない状態にできるかが習慣化のカギだと知っているのだ。

自分の日常生活を、「自分を変える良い習慣」で満ち溢れるように設定してしまうのだ。

だから淡々としているのだ。

いかに淡々とできるかを工夫することに注力するから、「必死」になる必要がない。

徹底的なことを必死でやると続かない。

たとえば、一度もランニングをしたことがない人が、いきなり10km走ったら、翌日は筋肉痛と疲労で走れないだろう。

しかし「やる気のある人」は、走る距離ではなく、「走る頻度」を徹底的に習慣化する。

1kmでも2kmでもいいから毎日走る。それを徹底すると、徐々に筋肉が作られていき、やがて5km走れるようになり、10km走れるようになる。

必死でやっていないから、淡々としている。

でも淡々としているけれど、やっていることは凄い。

いかに淡々とできるように習慣化するかが、大きなポイントだ。

3. 自分のやる気度はまわりにいる人で分かる

自分のやる気は周囲にいる人を見ると分かる。

「自分の周りはすごい人ばっかりだ」という人は、やる気のある集団に飛び込んでいる。

「自分の周りはロクでもないヤツばかりだ」という人は、自分が選択した結果その人たちと付き合っていることに気づいていない。

やる気がない人は、やる気がある人が嫌いである。

やる気がない人に、やる気かある人のケーススタディを紹介しても意味がない。

「そこまでムリしたくない」とか「別に今のままでいい」などと反発してしまう。

しかし、やる気がある人にとっては、特別なことではなく快適な生き方なのだ。

なので、やる気のある人になりたいなら、自分の周りを凄い人で固めてしまうのが特効薬である。

4. リフレッシュの必要がないときにリフレッシュしておく

これも非常に大事なこと。

僕は41歳になって作家デビューした。決して早くないデビューである。

41歳まではサラリーマンで、営業やマネジメントの仕事をしていたのだが、作家やブロガーは仕事のスタイルがまったく違う。

最初は一日中ブログが書けるのが嬉しくて、朝から凄い勢いで書きまくっていた。

ほとんど休憩もなしにぶっ続けで昼まで原稿やブログを書き、そしてぐったり疲れて午後は具合が悪くなっていた。

そこで学んだことは、疲れてから休憩するのではなく、疲れないために休憩するのだ、ということだ。

今では僕は朝一番の仕事から、25分書いたら5分休憩を入れる、というのを繰り返している。

最初の25分が終わったくらいでは、身体も心もまだ全然疲れていない。

でも、ここでちゃんと休憩を入れておくことで、午後の疲労度が全然違ってくる。

休憩時間に歩き回ったりストレッチしたりしておくことで、午後から夕方まで集中力が続くのだ。

リフレッシュは疲れる前に。一見必要がなさそうなときにこそ有効だ。

5. 変えようとするのではなく変わろうとしよう

できないことを必死でやろうとすると僕たちは行き詰まり、そしてやる気も萎えてしまう。

できないことの代表が「他人を変えよう」とすることだ。

僕たちは他人を変えることは絶対にできない。

たとえあなたの言葉が響いて誰かの行動が変わったとしても、それは変わった本人が「変わろう」と願ったから変わったにすぎない。

変えられるのは自分だけ。つまり、変えるのではなく「変わる」ことしかできないのだ。

この原則が分かっている人は辛くならないのでやる気が継続する。

誰かを変えるのではなく、自分が変わる。

徹底しよう。

6. 笑顔で聞くと話が面白くなる

これも著者の中谷さんに激しく同意である。

僕はセミナーを受講していると、講師の方とやたらと目が合う。

そして後日「タチさんはすごく良く頷いててくれて、聴いてくれているというのが良く伝わって話しやすかった」と講師の方から言っていただく。

なぜなのかな、と最初は不思議に思ったのだが、最近分かってきた。

僕は「このセミナーは素晴らしいに決まっている」と最初から決めて参加しているのだ。

だからニコニコしているし講師の方の話は良く頭に入るし、「ここ大事だよね」というポイントでブンブン頷くので、講師の方と目が合うのだ。

そしてこの現象は、僕が講師をしているセミナーでも起こる。

僕が講義をしていると、毎回必ず何度も目が合う受講生がいるのだ。

その人たちはいつもニコニコしていて、そして僕が「ここ!」というポイントを話すと、ブンブン頷いてくれる。

こういう受講生の方がいると、セミナーは全体的にすごくレベルが上がるし、一体感も生まれる。

ここで1つ言えることは、面白いから笑顔になるのではないということだ。

面白そうな顔で聞くと、アイデアがどんどん浮かび吸収もされるので、話が面白くなるのだ。

これは本当の話で、人間は口角を上げてニッコリしているときには、本を読むスピードも上がるし記憶力も高くなる。

笑顔でいることは、実はすごく大切なことなのだ。

7. 脳に宿題を出してしっかり眠ると答えが出る

本のタイトルを考えるとか、セミナーのテーマを考えるというような重要なアイデアは、なかなか出てこないことも多い。

必死に考えてもアイデアが出ないときは、あっさり諦めて寝てしまうことにしている。

そのときに重要なのは、必死で考え抜くということと、しっかりちゃんと寝るということ。

必死で考えてダメだったことを宿題として脳に命令して眠ると、翌朝起きると「チーン」とベルが鳴るみたいに答えが空から降ってくる。

眠っている間に脳が顕在意識と潜在意識を行ったりきたりして、必死に考えてくれるのだろう。

僕はこの方法で何回も大切なアイデアを思い付くことができた。

朝起きてトイレに行った瞬間に「チーン」と答えが出る快感。

これは病みつきになる。

8. ライバルを応援すると自分のやる気が湧いてくる

ゴルフトーナメントの最終ホール。相手がロングパットを外せば自分の優勝が決まる。

普通の選手ならそんなときには「外せ」「失敗しろ」と念じるところだ。

しかし、タイガー・ウッズは「入れ!」と叫ぶという。

なぜか。

相手のパットが入ってプレーオフになっても、自分が念じたとおりの結果なので精神的ダメージがないのだ。

もし「外せ!」と念じたのに入ってしまえば、その瞬間にやる気がストンと落ちてしまう。

 

「相手のココ一番を応援することで、自分のやる気が継続します」

 

ライバルを心から応援できる人が、やる気が折れない人なのだ。

9. やる気を奪えるのは自分自身だけ

他人を変えることはできないのと同じように、誰もあなたのやる気を奪うことはできない。

たとえイヤな上司であっても、ぶつくさうるさい親であってもだ。

人にやる気を与えることができないのと同じように、やる気を奪うこともできないのだ。

上司が何か言った結果、「やる気がなくなった」という人と、「むしろガッツが湧いてやる気になった」という人がいる。

他人が言った言葉にどう反応するかを決めているのは自分なのだ。

上司に何か言われたときに不満を表明し口角を下げると、脳が活性化しなくなり、「上司が悪い」と言い始める。

そういう言い訳の対象は上司以外にも無限に見つけられるので、やがてこういうこと言い始める。

「あの人のせいで私のやる気はなくなった」と。

これを言い始めたら、あなたのやる気はもうどこかへ逃げていってしまうだろう。

あなたのやる気を奪っているのはあなた自身なのだ。

10. 簡単なことで回数をこなす

やる気の出る人はチャレンジの仕方を分かっている。

それは難しいことをしないことだ。

コツコツ回数をこなすためには、できるだけ簡単なことをすればいい。

簡単だから出来る。簡単だから辛くない。

出来るようになったらちょっとずつレベルを上げて、また淡々とやる。

習慣化できているのでもう辛くない。だからまたレベルを上げる。

やる気がなくなる人は、最初から難しいことにチャレンジしていることが多い。

あと、一度にあれもこれもとたくさんのことを始めようとして、まとめて挫折する。

やる気を継続させるためには、簡単なことから始め、回数をこなして習慣化するのだ。

難しくするとやる気は逃げていく。

だから難易度よりも頻度が大切なのだ。

まとめ

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やる気がある人というのは、結局は感情が乱高下しない人、ということなのだと僕は思っている。

ドーンとモチベーションを上げて無闇に頑張っても、その後ドーンと落ち込んで努力を止めてしまえば何にもならない。

そしてもう一つ、やる気がある人というのは、上昇カーブの設定が上手な人なのだろう。

簡単なことから始めて、いつまでもずっと簡単なことを繰り返していては、上達することはできない。

負荷になりすぎない範囲で、楽しく継続できる範囲で、精一杯ストレッチして難易度をチョコチョコ上げていく。

そのコツを掴める人が、「いつもやる気がある人」なのだろう。

これからもコツコツと、「いつもやる気がある人」になれるよう、楽しく愉快に「徹底的を習慣化して、淡々と」やっていこうと思う。

右脳的で素晴らしい一冊!

オススメです!!

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