コツコツ練習で、半年かけて使い物になるようになった!
親指シフトはもともとは富士通のワープロ用の配列だったが、今ではMacやWindowsの普通のパソコンでも使えるようにエミュレータソフトが配布されている。
僕も外出先ではMacBook Airの普通の内蔵キーボードだし、自宅のiMacもいまはアップルの純正キーボードで親指シフトをしている。
2009年の僕も、まずはMacBookにエミュレータソフトをインストールし、配列表をプリントアウトしてキーボードの横に置き、「あいうえお」から練習を始めた。
マックのスペースキーの両側にある「英数」と「かな」キーを、それぞれ「左シフトキー」と「右シフトキー」として使うのだ。
当時のブログにこんな記事がある。
Mac Leopardで親指シフト・NICOLA配列キーボードを使いたい
↑これは練習開始前のエントリー。
NICOLA・親指シフトを始める前に自分のタイプスピードを測定してみた
↑練習開始前に、ローマ字打ちのタイプ速度を測っている。残念ながらエントリー内で紹介しているタイプ速度測定サイトはなくなってしまった。
NICOLA・親指シフトでのタイピングが少しずつ速くなってきている
↑練習真っ最中のエントリー。
最速タイピングメソッド “親指シフト” こと NICOLA、ついに1,300文字/10minを突破!
↑ついにローマ字打ちのスピードを大幅に上回ったという喜びのエントリー。
親指シフトは、かな入力とは配列が異なり、キーボードに文字が印字されていない。
つまり、文字の場所を完全に暗記するまでは、まったく使い物にならないのだ。
40歳を迎える年齢というハンデもあったかもしれない。勝間さんは3日でローマ字打ちより速くなったというが、僕は3日目には、まだ「あいうえお」の場所も覚えられていなかった(泣)。
とにかくキーボードの配列を憶えるために、自分の名前や住所などを、1日30分、会社から帰ったあと夜にコツコツと毎日練習を続けた。
もちろん昼間の仕事やブログにはまったく使えない状態なので、普段はローマ字打ちのままだった。
最初のうちは「使い物になるのかな?」と不安だったが、配列を憶えると徐々にスピードが上がり始め、練習開始から半年後には、ローマ字打ちの80%くらいの速さまで到達した。
蛇足だが、親指シフトの練習を開始する方は、一番最初の日に、ローマ字打ちの打鍵速度を測っておくと良い。
親指シフトの練習が進み徐々に速くなってきたときに、自分がいまローマ字打ちに対してどれぐらいまで速くなってきているのかが分かると、大いに励みになる。
さて、80%の速度まで到達した僕は、会社のWindowsマシンも親指シフト化する決心をした。
Windowsマシンにもエミュレータを入れ、会社でも家でも、親指シフトしか使わないことに決めたのだ。
仕事で使うとさすがに上達が早くなった。そこからは見る見るローマ字打ちの速度を超え、あっという間に約2倍のスピードが出るようになった。
サラリーマンとして多忙な日々を送りながら、朝・昼・夜と3エントリーの更新を続けられるようになったのは、親指シフトの習得なしには考えられない。
そして親指シフトの習得とほぼ同じタイミングで僕のブログエントリーがつぎつぎとヒットするようになり、アクセス数もうなぎ昇りになった。
2009年5月は月間12,000PVだったブログが、2010年5月は月間120,000PVを超えていた。まさに10倍になったのだ。
そしてその後僕のブログは30万、50万、100万とPVを伸ばしていき、ついには月間165万にまで到達することになり、書籍をデビュー作から立て続けに4冊出版することになったのは、皆さんご存知のとおりだ。
あの時親指シフトを習得することを決心していなかったら、いまの僕の人生はない。ハッキリそう言い切れる。
勝間さんが著書で親指シフトに触れているのは、わずか4ページだけだ。
しかし、この4ページが僕の人生を大きく変えることになった。
勝間さんには一生感謝である。
日本人なんだから日本語を打とう!
冒頭に書いたとおり、どんなにタイプが速くても、書いた文章がつまらなければブログのアクセスは増えないし、本も売れない。
タイプ速度やブログのPVは計測しやすいので指標になりやすいが、僕は親指シフトは文章の中身を変える大きな力を持っていると信じている。
理由は2つ。
一つは、ローマ字打ちをしていると、思考のスピードに対してタイプが大幅に遅いため、思っていることを全部は書けない。
思考が渋滞してしまい、結果として、思っていることの半分以下しか表現できないのだ。
しかし、親指シフトは「思考するスピードで打てる」と言うくらいで、思考が渋滞しない。
だから、表現が豊かになるし、複雑なことや面倒なことを整理しながらでもサクサク打てる。
だから、親指シフトで打つと、文章が豊かで内容に深みが出ると僕は思っている。
もう一つの理由は、前述したとおり、アルファベットからひらがなへの変換がないことによるストレス低減効果だ。
たとえば「今日は良い天気ですね」と打つときに、ローマ字変換の人は脳内で「今日良い天気ですね」を一旦「kyouha yoi tenki desu ne」に変換しなければならない。
自分の母国語をわざわざ一旦アルファベットに変換する作業は、脳にストレスを与え、思考が広がらない状態になる。
実際僕はローマ字打ちの時は、打っては止まり、次に打つことを考えてから打つ、というパターンだった。
しかし、親指シフトはもともと日本語を打つので、脳内の日本語→アルファベットという無駄な変換をしなくて済む。
すると、文章を打ちながらでも、どんどん次のことや派生することを考えることができるのだ。
打つことにストレスがないため、どんどん豊かに広がりを持つ文章が書けるようになる。
よく、「手書きはやっぱり違う」「手書きの方が発想が広がる」という人がいる。
また、「iPhoneのフリック入力だとアイデアが出やすい」という声も聞く。
手書きの文章もフリック入力も、どちらも脳内のアルファベット変換がないのが共通点だ。
僕たちは日本人だ。そして母国語は日本語だ。
日本人が日本語をタイプするのに、なぜ一旦アルファベットを介在させなければならないのだろう?
なぜわざわざ、スピードが半分に落ち、脳にストレスになり、思考が広がらないメソッドを、延々と使い続けなければならないのだ?
日本人なんだから、日本語を打とう!
効率の問題を置いておいたとしても、僕は日本語を直接タイプできるメソッドを習得するべきだと思う。
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著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。