先日から使い始めたタスク管理サービス、Nozbe。
この手のアプリやサービスは機能が豊富な分とっつきにくいことが多いので、導入にあたって入門書があると嬉しい。
本書「Nozbeクリエイティブ仕事術」は、Nozbeから「公式ガイド」に認定されている。
だが、本書はいわゆるトリセツではない。
トリセツを遥かに超える、素晴らしいGTDガイドに仕上がっている。
Nozbeを使い始めた人はもちろん、Nozbeを使わない人でさえも楽しめ、そして勉強になる。
そんな本だ。
[公式ガイド] Nozbe ノズビー クリエイティブ仕事術
倉園 佳三 インプレスジャパン 2011-03-10
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ツールではなく自分を中心に据えろ
この本は「公式ガイド」という立場を採っているが、Nozbeの機能を網羅的に説明した本に留まっていない。
「はじめに」で著者倉園氏が説明しているとおり、GTDの各ステップをNozbeの機能に当てはめて説明する形を採っている。
そのため、本書をしっかり読み込むことで、GTDの手順を実践の舞台でしっかり身につけることができてしまう。これは素晴らしい。
仕事術”GTD” (Getting Things Done) の考案者、デビッド・アレン氏の著書「ストレスフリーの整理術」は、申し訳ないが、決して読みやすい本ではない。
そして内容は時として抽象的で、「こういう時は具体的にどうすればいいのさ?」ということが書いてない部分も多い。
そのため、自分なりにGTDを実践していくと、何となく上手く腑に落ちない、もっさりした気分が残って部分が出てくる。
ところが倉園氏は、Nozbeという具体的なツールを使いつつ、GTDの各ステージにおいて、僕たちが何をするべきかを見事に説明してくれている。
しかも、一番僕達が知りたい、「迷った時はどうすればいいのさ」や、「いつまでも居残るタスクをどうやっつけるのか」といった悩みにも解決法を与えてくれている。
つまり、本書はNozbeが中心にあるのではなく、GTDを実践したいと願う僕達人間を中心に据えて書かれているのだ。
こんな素晴らしい実践書はなかなかない。感動した。
都合が悪いことも敢えて書く姿勢
Nozbeは立ち上がって日が浅いサービスだ。
従って、現在進行形で改良が加えられつつある部分や、使ってみると使い勝手が悪い部分が結構残っている。
倉園氏は、それらNozbeの使い勝手が悪い部分、まだ上手く機能していない部分、バグなどについて、遠慮なく本書で書いている。
有名な例として、Nozbeの繰り返しタスクの扱いには問題がある。
繰り返しタスクを処理しないまま翌日になってしまうと、未処理タスクを処理済にしてもタスクがうまく繰り越してくれないなど、使い勝手が悪い。
この部分についても、普通のトリセツ的ガイドであれば、お茶を濁してしまうところだが、倉園氏は「他のアプリを使おう」ハッキリ書いていて爽快だ。
また、バグがある部分への注意喚起もとてもありがたい。こういった部分を隠すのではなく、きちんと問題提起してくれていることが、大きな安心に繋がるものだと個人的には思う。
日次レビューと週次レビューをバッチリこなせ!
本書の真骨頂は、Nozbeを利用したGTDの日次レビューと週次レビューの2つの章だ。
Nozbe自体に「日次レビュー」や「週次レビュー」という機能があるわけではない。
あくまでも、僕達が自律的に「レビューをやるぞ」と決めて、Nozbeを操作するのだ。
NozbeはWebサービスであるという特性もあって、EvernoteやDropbox、Googleカレンダーといった外部サービスとの連携が進んでいる。
これら外部サービスとNozbeをいかに連携させるのか、そして何をするのかという部分が徹底的に解説されているのが本当にありがたい。
日次レビューや週次レビューの時に、Googleカレンダーと連携していると、どう便利で、何ができるのか。
新しいプロジェクトを作る時にEvernoteにどのような資料を入れるのか、そしてEvernote側ではどのようにノートブックを作って管理するのか。
これらを手取り足取り教えてくれる。
日次レビューと週次レビューを確実に、しかも気持ち良く回すためには、慣れも必要だし多くのコツがある。
その深い部分を、徹底的に分かりやすく噛み砕いてくれている。本当に凄い本だと思う。
まとめ
さて、僕は本書については強く感動したし、今年読んだ本の中でもベスト3に入ると思っているのだが、Nozbeは決して万能ではない。
Webサービス故の限界もあるし、動作が重かったり(最近サーバを移転してだいぶ軽くなった)、バグもまだある。
僕はNozbeとOmniFocusを併用しているのだが、当分Nozbeへの全面移行はできないと感じているし、OmniFocusの方がずっと優れていると感じる部分も多々ある。
それらについては、別エントリーで具体的に書こうと思っているので、そちらをお待ちいただきたい。
ただ、GTDに関して実践的かつ分かりやすくまとめた書籍がまだまだ少ない現状で、ここまで分かりやすく説明してもらえたことは、本当にありがたい。
本書に出会い、それまではかなり我流で強引に処理していたGTDが、大分スマートに実行できるようになったように感じている。
Nozbeの機能をマスターしたいのと、GTDについてしっかり定着させたいので、僕は本書を章ごとに毎日繰り返し読み、内容をしっかり把握するようにした。
もしあなたがGTDに興味があるならば、一度本書を読みつつ、Nozbeの無料版を操作しつつ、試してみてはどうだろうか。
頭の中に詰まっていたことが全て書き出されてクリアになるあの感じは、一度味わうと忘れられないものだ。
オススメ!!本気でオススメ!!
[公式ガイド] Nozbe ノズビー クリエイティブ仕事術
倉園 佳三 インプレスジャパン 2011-03-10
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はじめてのGTD ストレスフリーの整理術
デビッド・アレン 二見書房 2008-12-24
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著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。