2020年7月末で鎌倉の海街に定住して1年たった。
その前は3年弱、2016年10月から東京の六本木と鎌倉海街のデュアルライフをしていた。
通算4年弱の海街での生活になるが、正直デュアルライフと定住ではまったく比べものにならないほど密度の違いを感じる。
期間としてはデュアルライフの方が3倍長かったわけだが、この1年の定住の方が圧倒的に密度が濃い。
その違うについて言葉にしてみようと思う。
デュアルライフではグラウンディングできなかった
デュアルライフで鎌倉と六本木を行き来していた3年間のうち、旅の期間を除くと鎌倉と六本木の比率はだいたい半々だった。
ざっくり3年とすると、そのうちの一年半は鎌倉にいたことになる。
でも、定住してみて分かったのだが、デュアルライフの期間は鎌倉の本当の良さはほとんど分かっていなかった。
なぜなら、僕のエネルギーが鎌倉という土地にしっかり根ざすことが出来ていなかったからだ。
もし仮に一年のうち前半の半年間を六本木、後半の半年間を鎌倉、というようなライフスタイルなら、もうちょっと違ったかもしれない。
でも実際には僕のデュアルライフは「週の前半は鎌倉で週の後半は六本木」を毎週のように繰り返していた。
3日鎌倉で4日六本木。4日鎌倉で3日六本木、という感じだ。
毎週後半に六本木で講座やセッションがあったためそのようなスケジュールにならざるを得なかった。
短期間のこのような行き来を続けていると、文字通り「地に足が着かない」状態が続くことになる。
六本木と鎌倉では土地が放っているエネルギーが全然違う。
どちらが良いとか悪いではなく、とにかく全然違うのだ。
振り子のように短期間で行き来を続けていると、六本木の土地のエネルギーも鎌倉の土地のエネルギーもしっかり吸収することができなくなっていた。
グラウンディングできていない感じ。
土地に根ざしていない感じ。
デュアルライフで、特に毎週のように短期間で行き来するライフスタイルは、中長期的にはどこの土地のエネルギーもしっかり吸収できなくなる、という問題があるように感じた。
その点去年の夏に定住してからは、しっかり鎌倉の海街の土地に根ざし、土地のエネルギーをしっかり吸収して循環できるようになった。
それにともない、身体全体が鎌倉のゆったりしたエネルギーに共振してシンクロできるようになり、鎌倉の心地良さをフルで味わうことができるようになった。
観光客がパッと来ても分からない本当の海街の良さは、この心地良い波動にある。
でも、3年デュアルライフをしても僕にはその波動は分からなかった。
なぜならしっかり土地に根ざしておらず、根無し草のようにフラフラしていたからだ。
「鎌倉にいる」以上に大切な「六本木にいないこと」
鎌倉に定住して何が変わったかというと、当然毎日鎌倉にいるようになったわけだけど、それ以上にインパクトが大きかったのが、「六本木にいない」ということだ。
僕は51年の人生のうちの40年以上を東京都港区の麻布・六本木地区で生きてきた。
首都高の高架が何本も走り、地下鉄が何重にも地面の下を通り、片側4車線の道路と高速道路を常に車が行き交う大都会だ。
人や車もモノも密集する大都会で生きるのが僕には当たり前の人生だった。
デュアルライフになってからも、週の半分は六本木のあの強い密集したエネルギーの中で暮らしていた。
そうすると、結局鎌倉は「ただの息抜き」みたいな感覚でしかなかった。
「あくまでも東京の人間」という意識で暮らしていて、「執筆のため籠もる別拠点が鎌倉」という位置づけ。
つまり鎌倉は出先機関という位置づけに過ぎなかった。
でも定住してからは、鎌倉が唯一の本拠地になった。
そして去年の8月から、徐々に六本木を含む東京に行く機会を意図的に減らしてきた。
たまたまそのタイミングでコロナがやってきたので、東京に行かない口実ができ、尚更引き篭もった。
東京から離れれば離れるほど、東京への足が遠のけば遠のくほど、僕は心が安らかに穏やかになっていくのをリアルに感じた。
海街は人口密度も低く、みんなゆっくり歩いている。
そしてニコニコしていてギスギスした感じがしない。
都心には通勤のため仕方なく来ている人が多いことを初めて感じるようになった。
なぜなら、海街には「わざわざ海街に来た」人がほとんどで、強制されて来ている人はほとんどいないからだ。
コロナになってからその傾向は強くなった。
東京に行くと怖い顔をしている人が多い。しかめっ面の人がセコセコと急いで歩いているように感じる。
海街はみんな穏やかで機嫌が良く、急いでおらずのんびりしている。そしていつも明るい。
東京の人ってこんな怖い顔をしていたっけ。
それが最近僕が東京に出かけると感じる印象だ。
穏やかな海街の波動に包まれて眠る心地良さ、目覚めの爽快さは他のものに替えがたい
東京で夜会食があるとき、去年は何回か東京のホテルに泊まってみた。
でも最近は、なんとか終電で海街に帰るようにしている。
身体のことを考えたら都心のホテルに泊まって翌日帰った方が良いのは分かっている。
でも、都心のホテルの波動が僕には最近ちょっとしんどいのだ。
リッツとかパークハイアットみたいなホテルなら良いんだろうけど。
会食のあとに寝るだけなのにハイアットに泊まるのはもったいない。
で、そこそこのホテルに泊まると地面からの波動が合わなくて、睡眠の質がイマイチなのだ。
もちろん寝具が合わないというのもあるし、あと騒音が気になることも結構ある。
あと、目が覚めたときに都会のごちゃごちゃした空気と景色が飛び込んでくるのも軽くウンザリする。
鎌倉の穏やかなゆったりとした波動に包まれて眠るのは言葉にできないくらい最高だ。
そして目覚めて天気が良い日に、すぐに水着に着替えて海に出る気持ち良さも、ちょっと替えがたい。
なので僕は最近ではどんなに遅くなっても鎌倉に戻り、波の音を聞きながら眠ることを選ぶ。
これもデュアルライフのときには感じ取れなかったことだ。
まとめ
一年間定住してみて思うことは、デュアルライフというのは、家の軒先まで来て入った気になって帰る、程度の暮らしだったということ。
でも、あのときデュアルライフをスタートしなかったら、2019年に鎌倉に定住するという選択を僕がすることはなかった。
そういう意味では、デュアルライフも必要なステップだったのだろう。
そしていま、穏やかでゆったりとした鎌倉の土地の波動に包まれて暮らす心地良さに包まれ、僕は深い心の平安を感じている。
デュアルライフと定住はまったくの別物だと感じている。
東京に再び拠点を持ちたいという気持ちは僕の中にいまでもある。
でも、東京を本拠地にしたいという気持ちは正直あまりない。
海のある生活、海に含まれている生活があまりにも心地良いからだ。
海街をベースに暮らし、刺激と利便性を求めてたまに都会に出る。
それぐらいが今の僕には合っているような気がしている。
この先どう気持ちが変わるかはもちろん分からないが、今のところはそんな感じだ。
著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。