堀江重郎氏著、「ホルモン力が人生を変える」を読了。
泌尿器科医であり日本における男性の健康医学の権威である堀江氏による男性のための男性ホルモン入門書。
男性ホルモンに対する理解がまったくない状態で読み始め、最初は具体例が少なく信憑性がイマイチだなあと感じたのだが、読み進めるに従ってその僕の感想は大きな間違いであったことが分かる。
あまりにも繊細で複雑で、しかもまだ研究途上にある事項を、その道の第一人者である同氏が、初心者に分かりやすく飽きさせず理解させるために、かみ砕いてくれていたのだということがやがて理解できる。
「中年」「男性ホルモン」とくれば、短絡的に「ED」「バイアグラ」「エロおやじ」「加齢臭」といった単語が頭に思い浮かぶが、そんな笑い事ではないことが分かる。
近年日本人男性から男性ホルモンが減少しているという報告がなされており、その原因として仕事や家庭におけるストレスが挙げられているが、男性ホルモンが減少した結果、誘発されるのは「ED」のような生易しいものではなく、「鬱病」であったり「癌」であったり「糖尿病」であったりするのだ。
定年を迎えた男性の多くが無気力状態に陥って家庭に閉じこもり、その面倒を見ることに業を煮やした妻から「熟年離婚」を迫られるケースの話などを聴いたことがある人もいると思うが、このようなケースにおいても、男性ホルモンの減少が大きく関係していると著者は説き、それが「男性版更年期障害」であると説明する。
このような症状は、まだ一般的に男性ホルモンの減少により発生するケースがあることが本人にも医師にも十分認知されておらず、従って内科、神経科などを転々として解決せず、最後に泌尿器科にやってきてようやく男性ホルモン値の低下という診断を受け、テストステロンの補給による治療で快癒するケースも少なくないという。
詳しくは本書を読んでもらうとして、著者が示している男性ホルモン値を上げる10カ条を紹介しておこう。
・男性ホルモンの大敵、交感神経の緊張を和らげよう
・積極的に副交感神経を活性化しよう
・食事を大切に
・忙しいときこそ短時間でエクササイズ
・良い睡眠をとろう
・仲間を大切に
・無理しておしゃれをしよう
・凝り性になろう
・大声で笑おう
・目標を持とう、冒険しよう、わくわくしよう
以上である。決して特別なことを言っているわけではなく、ごく当たり前のことを推奨しているだけなのだ。だが、堀江氏がこのような当たり前のことを敢えて推奨しなければならないということは、今の日本の男性たちがこれらのことを実践できていない状況にあるという事実の裏返しなのだろう。
60代になってから読むより、当然早い方が良い。男性ホルモンの減少が顕著になるケースが増加する40代男性は、本書を読んでいかに男性ホルモン値をキープするかを、真剣に考えるべきだと感じさせられた。
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