書評

うわっ… 私の副交感神経レベル、低すぎ…? 書評「なぜ、「これ」は健康にいいのか?」 by 小林弘幸

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知っているようで何も知らなかった「自律神経」のこと。

最近すごく気になるようになってきた。

 

 

きっかけは勝間塾の夏合宿で勝間さんがさらっと言った一言だった。

「私、交感神経優位なんですよね」

 

 

で、交換神経が優位な人は、呼吸が浅いとか眠っている時に歯ぎしりするとか、いくつか例を挙げられていたのだが、それが僕にも当てはまったのだ。

「交感神経優位」ってなんなんだろう?僕はその時思った。

 

 

交感神経と副交感神経があって、交感神経は日中活発になり、夜になると副交感神経が活発になる。

リラックスしている時は副交感神経が優位で、仕事やレジャーで活発に活動している時は交感神経優位。

僕が知っていたのはその程度。その時その時で活発になる自律神経系が入れ替わるんだろうと思っていたが、優位とか強いとかがあるなんて、考えたことがなかった。

 

 

気になって調べてみたら、まさに僕の疑問にぴったり答えてくれる素晴らしい本があった。しかも今すごく売れているらしい。

なぜ、「これ」は健康にいいのか?」という本。順天堂大学の医学部教授の小林弘幸先生という専門家の方が書かれた本だ。

 

 

なぜ、「これ」は健康にいいのか? 

小林弘幸 サンマーク出版 2011-04-21
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清原と郷ひろみの違い

 

 

 

マッチョでムキムキにビルドアップされた肉体。

鋼のように強そうというイメージがあるが、意外にもケガが多くしなやかさに欠ける。

 

 

そんなスポーツ選手として真っ先に思い浮かぶのはプロ野球の清原元選手ではないだろうか。

晩年の清原選手はごっつい身体とは裏腹に常にケガとの闘いで、見ていて気の毒なほどだった。

もし彼が大きなケガをせずにフルシーズン出場し続けることができたなら、彼はもっともっと凄い選手として名を残しただろう。

 

 

いっぽう、年齢を重ねても全然老け込まずしなやかに歌い踊る人として、この本では郷ひろみさんを紹介している。

Wikipediaで調べたところ、郷ひろみさんは1955年生まれだから56歳。確かにまったく年齢を感じさせない若々しさだ。

 

 

この違いはどこから来るのだろう。

僕は単に、清原選手は身体が固かったんだろう、とか、暴飲暴食のしすぎだったんだろう、とか、必要以上にビルドアップして体重を増やしすぎたんだろう、くらいに思っていた。

ところが、この違いこそが、副交感神経の作用なのだという。これはビックリ!

 

 

 

 

自律神経の研究は最近になってようやく盛んになってきた学問だそうだ。

自律神経を数値化して計測できる測定機器が実用化されたのが最近で、今までは「多分」としか言えなかったことを数値化して発表できるようになったことが大きい。

 

 

その結果、恐るべきことが分かってきた。

なぜ女性は男性よりも長生きできるのかという究極の問いに対する答えが出てしまったのだ。

 

 

副交感神経の数値が、男性は女性よりも大幅に早く低下することが分かったのだという。

そして、副交感神経のレベルが低下すると、血管の老化が進み、免疫力が低下して、身体が病気になりやすい状態になってしまうのだ。

女性の方が長生きなのは、男性よりも副交感神経が高いレベルにある期間が長いため、と小林先生は説明している。

 

 

何もしないと、僕らの自律神経のレベルは、10年ごとに15%ずつ低下していってしまう。

だからこそ、郷ひろみさんのように若々しい人は、意識的・無意識的に副交感神経を高めるためのトレーニングを常に行っている。

 

 

放っておくと大幅に下がってしまう副交感神経、何とか高めたいものだ。

 

 

 

副交感神経が低いと何が起こるのか

 

 

 

きちんと説明しないといけない。

副交感神経が低下することが良くないと書くと、副交感神経が「善」で、交感神経が「悪」のようなイメージを持つかもしれないが、そうではない。

 

 

交感神経と副交感神経はどちらも高いレベルに維持されていることが望ましい。

ただ、そのバランスが大事なのだ。

交感神経が過剰に優位になってしまう状態。つまり副交感神経が大幅に低下してバランスが崩れることが良くないというわけだ。

 

 

 

 

そしてこの自律神経の乱れは、僕らの身体に大きな変調をもたらすという。

一番大きな問題は、血流が悪くなることだという。

 

 

交感神経が過剰に優位になると、血管が過剰に収縮してしまい、血圧が高くなり、身体の血の巡りが悪くなる。

水を流すホースをつまんで細くした状態だという。

 

 

つまんでいる部分は水の勢いは良くなるけれど、全体でみると管が細くなっているので流れる水の量は減ってしまう。

そして血管では、勢いが良くなった血液に含まれる赤血球は血小板などが凄い勢いで血管を通る時に、血管の内壁を傷つけてしまい、血管がボロボロになってしまうのだ。

 

 

血流が悪いということは、脳に回る血液も少なくなるし、血圧も高くなる。さらには糖尿病などの原因にもなる。

いいことなんて一つもないのだ。

 

 

だからこそ、副交感神経を高める生活を送らないといけない。

男性の副交感神経レベルが大きく低下するのは30歳!そして女性は40歳だという。

「俺らはまだ若いから関係ない」ではないのだ。今すぐ始めよう。

 

 

 

副交感神経を高める生活習慣

 

 

 

では、僕たちが副交感神経を高めて生きて行くために、するべきことは何なのだろうか?

小林先生の説明を簡単にまとめると、以下の4つが大切ということになる。

 

 

 

時間に余裕を持ちリラックスする

 

 

 

交換神経は「緊張・興奮」状態の時に活発になり、服交換神経は「余裕・安心」な時に優位になる。

だから、僕らは日常生活の中で、なるべく心に余裕を持ち、リラックスするように心がけたい。

 

 

仕事のアポで外出する時などは、大事な用件の時ほど早めに移動する。

30分前に着くように先に移動しておいて、現地でお茶をしたり資料を見返したりしよう。

そうすれば交通機関の乱れや不慮のアクシデントなどへの対応も、余裕を持って行うことができる。

 

 

怒りっぽい人、イライラしがちな人も、「怒り」は交感神経優位のもとなので、怒らずニコニコ笑顔で過ごそう。

医者が笑顔だと患者が早く治るというデータもあるという。

心に余裕を持っていつも笑顔でいられるよう心がけよう。

 

 

 

腸を活性化させる正しい食事

 

 

 

食事というと「栄養」と考えがちだが、小林先生は「腸」に注目している。

きちんと食事を摂ることは、腸の動きを活性化させるためにとても大切だ。

そして腸が活性化されると、血流が活発になり、吸収された栄養が運搬されて身体を巡り、体内環境が良くなるのだ。

 

 

腸が停滞している、いわゆる便秘に近い状態だと、せっかく食べ物から摂取した栄養が正しく吸収されず、汚れた状態で身体を巡ってしまうのだ。

便秘は健康の大敵。ビフィズス菌などの力も借りて、是非改善したいポイントだ。

 

 

 

 

 

夜にゆるやかな運動を

 

 

適度な運動はもちろん身体に重要だが、この本では夜にウォーキング程度の運動をすることを勧めている。

もちろん体力をアップさせたり身体を鍛えたりという別の目的がある場合はこの通りではない。

 

 

朝は交感神経優位な時間帯で寝起きは身体も固く、中高齢者はケガをしやすい時間帯だ。また、統計によると心筋梗塞も多い。

それよりは、デスクワークで一日頭を使ったあとに、30分ほどゆるやかにウォーキングをすると、座ってうっ血していた血流が改善する。

 

 

また、夜は副交感神経優位なので、激しい運動をすると交感神経が高まってしまい逆効果となる。

軽い運動程度心がけるなら、夜に行うのが良い。

 

 

 

ゆったりと深い呼吸

 

 

 

交感神経優位の人は、呼吸が浅く早くなっているケースが多い。僕もそうだ。

また、無意識に呼吸を止めて作業をしてしまっている人もいる。

 

 

「一流の外科医は決して呼吸を止めない」

小林先生はそう書いている。

 

 

1で吸って2で吐くリズム。ゆっくり深く呼吸をして、吐く時を長くするのがポイントだという。

緊張したり焦ったりした時ほど、ゆったりと深い呼吸をすると、緊張も和らぎ、副交感神経が上がってリラックスできるのだ。

 

 

 

まとめ

 

 

 

自律神経系は目に見えないし、自分の意識でコントロールできないものだ。

「交感神経よ下がれ!」と命令することはできない。

 

 

でも、この本にあるように、日々リラックスして心に余裕を持ち、正しく食事をして深い呼吸を心がける。

当たり前のことばかりと思う人もいるかもしれないが、この当たり前が実はなかなかできていないのが現実ではないだろうか?

 

 

時間ギリギリまで作業に追われバタバタとアポに向かって駆け出していく。

僕もついやってしまうことだ。

 

 

誰かがへまをすればイライラするし、思うようにいかないことが重なれば落ち込むこともある。

だからこそ、日々少しずつでも意識して、僕らの意識を変えて行くことが副交感神経を元気にする一番の近道なんだろう。

 

 

 

健康で長寿の人を思い描くと、まさに副交感神経を活性化する生き方をした人たちだなあと実感する。

今からでも遅くない。副交感神経を活性化させて、元気に生きよう!

 

 

なぜ、「これ」は健康にいいのか? 

小林弘幸 サンマーク出版 2011-04-21
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