通販でAmazonを利用している方は多いだろう。
この記事は2012年12月に公開した記事を2020年4月に手直ししたものだが、この記事を書いた後も何度かAmazonのサポートの素晴らしさに感激することになった。
冷たい対応という印象が強い外資系企業だが、Amazonのサポートの丁寧さと迅速さは突出していると感じる。
Amazonは機械的で冷たいという印象が……。
Amazonというと無機質で冷たいというイメージを持っていた。
対応は全部Webかメール、サイトを隅まで見ても、本社所在地すら書いていないし、電話番号も載っていない。
Amazonのサイトは買い物するには便利だけど、会社としてはあまり好きじゃない。
それが僕のAmazonに持っていた印象だった。
しかし、先日「ワンクリック」という、Amazon創業者でCEOでもあるジェフ・ベゾス氏の伝記を読んで、Amazonに対する印象がかなり変わっていた。
「ワンクリック」に関しては書評も書いていますので興味があれば参照してください。
そして今回、Amazonのサポートの姿勢を生で体験することになり、僕の中のAmazonに対するイメージが完全に変わった。
そう、僕は感激したのだ。
購入して3ヶ月のヘッドセットが壊れた
ランニングの時に使うために9月末に購入したモトローラ製のBluetoothヘッドセット、S10-HDが壊れた。
電源ボタンを押してもまったく反応しなくなり、充電してもLEDが点灯しないのだ。
スポーツタイプのBluetoothヘッドセットは壊れやすいものが多く、製品選びが難しい。
そしてモトローラ製品は嫌になるくらい偽造品が多く、本物の純正品を購入するのが難しい。
今回モトローラS10 HDを購入する際には、偽造品に当たらないよう、ちょっと値段が高くてもいいからAmazonからの直接販売を選んで購入した。
以前マーケットプレイス経由で購入したら偽造品が届いたことがあったからだ。
間違えてAmazonに連絡
購入して3ヶ月で壊れてしまったヘッドセット。正規品なので保証書も入っている。
修理または交換してもらおうと連絡を取ることにした。
ここで僕は勘違いをして、Amazonのサポートにメールを送ってしまった。
「偽造品に当たらないようにAmazon直販で買った」という印象が強すぎたのだ。
Amazonは購入後30日までの初期不良品は交換すると明記しているが、今回の場合は初期不良ではない。
3か月間は普通に動いていたモノが壊れたのだから、メーカーのモトローラにサポート依頼のメールを送るべきだったのだ。
でも僕は勘違いしたまま、何の疑いもなくAmazonにメールを送った。
そうそう、この段階で一つ「へー」と思ったのが、サポートとの連絡方法にメール以外に「電話」が表示されたこと。
てっきりAmazonは人件費がかさむ電話でのサポートは選べないようになっていると思い込んでいたので意外だった。
僕は記録を残したかったのでメールを選択。
こちらが僕が最初に送ったメールの内容。12月28日の12時22分に送信しているのが分かる。
即届いた折り返しメール
メールを送ったのが12月28日の12時22分だった。
すると、13時丁度にはもう返事が来た。年末のこの時期にこのスピード感。
それだけでも予想外だったのだが、幾つかの点でこのメールは素晴らしかった。
間違いを指摘しつつも無償交換を提案
そもそも僕が相談すべきはメーカーであってAmazonではなかった。
3ヶ月使った製品なので、初期不良の交換期間は過ぎている。その旨メールに説明が書かれていたのだが、「今回に限り無償交換対応します」とある。
普通なら「交換期間は過ぎていますのでメーカーに連絡してください」で済むはずだ。
保証期間内なので、僕はメーカーに問い合わせれば保証を受けられる立場なので、困ることはない。
しかし、あえて交換対応する必要がないのに交換対応を申し出てくれた。
これにはビックリした。
担当者名がちゃんと書いてある
外資系やネット系のサービスでサポートを受けると、メールでのやり取りに担当者名が書いてないことが多い。
「○○サポートチーム」みたいな署名しか入っていないことが多い。
僕は担当者名が書かれていないサポートのメールが嫌いだ。
責任の所在がハッキリしないし、何より人間と人間がやり取りしている実感がなく、何となく機械的に扱われているような気持ちになる。
Amazonは機械的対応の権化みたいな会社だと思っていたのだが、署名欄にちゃんと担当者名が入っていてビックリした。
この点にこだわる人は少ないかもしれないが、僕は相手の担当者さんの名前が分かると嬉しい。
返信のメールにも「○○さま」と、名前で呼びかけることが出来て安心だ。
何度かメールのやり取りをして、途中で担当者が交代した。シフト制なのだろう。
でも交代後のメールにも、「交代しました」という案内と「前担当者から引き継ぎました」と状況の説明があり、新担当者さんの署名も入っていた。
これは信頼感を増す、良い対応だなあと感心した。
メールフォームではなく「返信」で送信可能
以前別の外資系のサービスでサポートのやり取りをしたのだが、先方からのメールは僕のアドレス宛に届くのだが、返信ができず、都度その会社のWebのメールフォームから入力しないといけないことがあった。
毎回「サポートNo」を入力し、「ご担当者さま」と書き(相手の名前が分からないため)、「先ほどの件の続きです」みたいなことを書いていたのだが、とてもストレスが溜まった。
顧客である我々がサポートを受ける立場なのに、こちらの便宜よりも企業のシステム化が優先されているからだ。
ところが今回のAmazonとのメールのやり取りは、届いたメールにそのまま返信すればOKだった。
どうやら案件ごとに固有のメールアドレスが振り分けられるシステムになっているようで、乱数が含まれた長いアドレスだった。
これだと、サポートとのやり取りがすべて履歴に残るし、顧客として余計な手間がかからずにスムーズだ。
良く考えられた仕組みだと感じた。
交換品がなんと即日到着
上にも書いたとおり、最初の返信が届いたのは13時だ。
しかしそのメールには、交換品の到着は「28日予定です」と書かれている。
最初僕は間違いかと思った。
年末の最後の平日営業日である。物流も通常よりはスローになっているだろう。
ところが実際にその日の夕方には交換品が宅配便で届いたのだ。
Amazonにはまったく非がなく僕の勘違いだったにも関わらずこの対応にはビックリした。
上が最初にAmazonから届いた返信。タイムスタンプは13時丁度。
最初の返信で既に交換品を発送しており、到着がそのメール発信当日であると書かれている。
末尾の署名欄にはお名前が入っている(モザイクでぼかしてある部分)。
そして「Amazon.co.jp は、お客様からのご意見により、地球上で最もお客様を大切にする会社を目指しています」の文字。
発送通知はこちら。金額が0円になっている。
そしてその日の18時には交換品が僕の手許に届いていた。最初のメールを送ってから6時間経っていない。
故障品の返品は後送可、しかも着払い
良くあるメーカーなどの故障品の交換などは、故障品を送り、先方で状況を確認してから交換品を発送するのが一般的だ。
だが今回のAmazonの対応は、最初の返信と同時にすでに交換品の発送手続きを掛けており、通常通り発送番号がメールに記載されていた。
そして故障品の発送は、交換品受取りよりも後でも構わないとのこと。しかも着払いで良いとのこと。
サポートから届いたメールにURLが記載されていて、そこをクリックするとこの事案固有のバーコードが記載されたページの印刷画面がブラウザで開く。
そしてそこに故障品の返送先の住所と宛名ラベルまでが用意されている(ヤマト便では使えなかった)。
交換品が入れられていた段ボール箱に故障品を入れて印刷したバーコードを同梱して着払いのヤマト宅急便で返送。お金もストレスも全然かからない。
まとめ
Amazonのサポート担当の方からのメールの署名欄には以下の記載がある。
「Amazon.co.jp は、お客様からのご意見により、地球上で最もお客様を大切にする会社を目指しています」
今回の件を体験する前だったら、上の言葉を読んだとしても「嘘ばっかり」か「ポーズだな」と感じたことだろう。
でも、今回はじめてAmazonのサポートとやり取りをして、「こいつらは結構本気かも」と唸らされた。
何度も言うが、そもそも僕は勘違いしていたわけで、Amazonは一言「間違いですよ。それはメーカーに連絡してください」で済んだ話しなのだ。
それをここまで至れり尽くせりで対応してもらえると、安心を通り越して感激してしまう。
ここまでしてもらえるなら、楽天やマーケットプレースなどで多少安い価格で同じ商品が販売されていたとしても、Amazon直販の方が絶対安心という信頼感を持つだろう。
というか実際僕は過去に楽天やマーケットプレース経由での購入で何度か嫌な思いをしてきたので、今後はできるだけAmazon直販に集約させよう、と考えてしまったし、現にこうしてブログまで書いているわけだ。
あと、この件をリアルタイムにTwitterやFacebookに書き込んでいたところ、「それはサポートが相手が立花岳志と知って特別な対応をしたのでは?」という意見があった。
でも僕はそれはないと考える。
なぜなら、もし相手が僕がブロガーだと知ったうえで僕だけを特別扱いにしたなら、こうして僕がブログを書くことを想定したはずだ。
そして僕以外のユーザーの皆さんが、「立花が書いていたのと全然違う!」と感じるような貧弱なサポートを受けたとしたら、Amazonとしては完全に逆効果になってしまう。
担当者の方が僕を認識していたかどうかは分からないが、あくまでも通常のAmazonのサポートの範疇であったと僕は思う。
ただ、僕はAmazonのヘビーユーザーであることは間違いなく、Amazonプライム会員でもあるので、プライム会員とそれ以外の違いや、年間購入額によるサポート対応の違いなどはあるかもしれない。
本件だけを見ればAmazonは金銭的にまったく利益を出していない。それどころかサポートの人件費、交換品の原価と送料、故障品の送料、故障品を受け入れた後の人件費などがかかっていて、大赤字だ。
でも、今回の対応で僕が唸ったように、サポートの対応に感激する人が増えることで、Amazonの信頼性が増し、売上が伸びていくことで、サポートにかかる費用などは楽に回収できるという戦略なのだろう。
だとすると、多くのネット系の会社は、Amazonの見た目だけを真似ていて、経営の神髄をほとんど理解していないことになる。
Amazonの今回の対応には単純に感激したのと同時に、多くのことを学ぶきっかけにもなった。
僕も人を感激させられるらような仕事をしたいな、と思った次第。
しかしAmazonおそるべし。
参考図書
変更履歴
2012年12月30日 オリジナルコンテンツを公開しました。
2020年4月12日 リンク切れなどを修正し、2020年の補足を追記してアップデートしました。
著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。