僕自身41歳で独立・起業をしたわけで、決して早い独立ではない。
でも、独立は、早すぎるよりは遅い方がいいんじゃないか、と最近改めて思うので、ちょっと書いてみる。僕の「独立論」だ。
先週四角大輔さんの「自由であり続けるため20代で捨てるべき50のこと」を再読した。
自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと四角大輔 サンクチュアリ出版 2012-07-12 売り上げランキング : 4747
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僕が去年書いた、この本の書評はこちら↓。
「自由であり続けたい人」が捨てるべき10の古い価値観 | No Second Life
この本の最後の方に、「むやみな自由願望を捨てる」という項目がある。
ここで四角さんはしっかりした戦略なしにカーッと熱くなって会社を辞めることは、「準備もなしにフルマラソンに挑戦するのと同じ。途中で倒れるのは間違いない」と書いている。
僕もまったくその通りだと思う。
独立するには実力が必要だ。力をつけるための準備をしっかりしていないと、後悔する可能性が高くなる。
独立で必要な「実力」には二つの「力」があると僕は思う。
まず一つ目は食い扶持を稼ぐための力だ。
自分の例で言えば、僕はブロガーなわけだが、「独立して人気ブロガーになろう」と思ったのではない。
順番が逆だ。
サラリーマンをやりながらコツコツとブログを書き続けていたら、人気が出たので、さらなる飛躍を求めて独立したのだ。
ブログを開設したのが2008年12月で独立が2011年4月だから、2年4ヵ月ほどは二足のわらじ状態で頑張ってきたわけだ。
自分のブログにまだ全然人気がないのに勢いで退職してしまえば、手に職がなく、稼ぐ手段もない状態で定期収入を失うことになる。
その状態が長く続けられないことは、誰の目にも明らかだろう。
稼げないのに独立したら、収入がなくなり、生活はすぐに破綻するのだ。これは明確すぎるくらい明確なことだ。
「独立してから何をするか決めよう」などという状態で独立しては絶対にいけない。
自分は何をして食っていくのか、しっかり稼げるのか、実力はついているのか。そこをしっかりと見極めるべきだ。
これが一つ目。
そしてもう一つは社会人としての総合的な力だ。
独立したら、上司もいないし関係他部署もない。何もかも一人でやることになる。
セミナーを開催するなら会議室運営会社と話しをする必要がある。
価格が高すぎると感じたら交渉しなければならない。
懇親会のセッティングも自分でしなければならない。
支払い方法が妥当ではないと感じたら、しっかり相手に伝えてネゴシエーションをし、自分に有利な条件に変更してもらわなければならない。
資金繰りを常に見て、お金がショートしないように気を配らなければならない。
儲かってくればアシスタントを雇うこともできるだろうし、外注することもできるようになる。
だが、最初は自分の手と頭を総動員して事務・雑務・交渉などをしていかないといけない。
会社に勤めていれば、これらの雑務や交渉事を、イヤでもいろいろと経験させてもらえる。
しかも、年齢が上がり責任が重くなるほど、交渉の難易度も上がり、決断力や話術などが磨かれていく。
会社に勤務している時には気づかないが、そういった一つ一つの経験は、独立したあとには、すべて貴重な宝となる。
それらの宝、言い換えれば武器を持たずに独立するのは危険だ。せっかく会社に勤めているのなら、給料やボーナスをもらいながら自分の社会人としての経験値を上げ、総合力を高めてから独立するべきだ。
これが二つ目の力。
独立して活動を開始したら、あなたはその瞬間から「プロ」と見なされる。
「実はまだ下積み練習中なんです」なんてことを言う人間に、他人は仕事を依頼しない。
半人前では食っていくことができないのだ。
だからこそ、自由が欲しいなら、耐えるべき時には耐えた方がいい。
社会で充分通用する力をつけて、「もう会社にいるのがバカバカしい」という状態に近づけて、はばたくように独立して欲しいのだ。
はばたくように飛び立ったつもりでも、独立すると懐具合は急降下する。
戦略を練ったつもりでも、実際に独立するとポートフォリオは激変したりする。
それぐらい世の中は厳しい。
だから、安易に「仕事がイヤだ」という理由で、準備が整っていないのに独立することには、僕は反対だ。
今すぐちょっとだけ自由の風を浴びて、でも仕事が続かずサラリーマンに逆戻り、しかも前職より仕事も給与もずっとレベルダウン、という道は避けて欲しい。
力がつくまでじっと耐えつつ、朝や夜、休日をフル稼働させて自分を磨く。そして「もう会社にいる必要はない」と自分で自信を持って思えるようになった時、決断して欲しい。
それが本当の意味での「自由」への道だ。
より大きな自由を謳歌するために、是非頑張って欲しい。
「ノマドワーカーという生き方」なんて本を書いているわりに、この手のことをブログに書くことがあまりなかったので、ちょっとだけ書いてみた。
補足:ちょっと言葉足らずな部分があると思い、補足エントリーを書きました。
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著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。