このところ何件も続けて、バイト中の若者がバカなことをしている写真をTwitterで公開して炎上、お店がフランチャイズから外されたり閉店したりという騒ぎになっている。
こちら高知県のローソンの事例が多分一番本部の対応が重い。
フランチャイズ契約を解除されて困るのはバカなことをやったバイト君本人ではなくお店のオーナーだろうが、下の2ちゃんまとめサイトによると、冷凍庫に入った店員はオーナーの息子との情報もある。
ローソンの冷凍庫に入った事件で高知鴨部店のFC契約が解除される – なお、まにあわんもよう@なんJ
何と日経新聞にまで載ってしまった。
ローソン店員、アイス冷凍庫に横たわる 写真公開で店は休業に :日本経済新聞
そしてこちら丸源ラーメンのアルバイト店員が商品のソーセージを加えて写真撮影しTwitterに投稿、そして炎上した。
丸源ラーメン門真店 ソーセージをくわえるバカッター店員の犠牲に | 知ったかぶりの境界線
ラーメン店員が店の冷凍庫でソーセージをくわえた写真、Twitterに 「丸源ラーメン」が謝罪 – ITmedia ニュース
これらのニュースや騒動を見ていると、どうも違和感を感じる。うまく書けるか分からないが、その違和感を形にしてみよう。
彼らがやっていることは完全にバカで無意味なことである。僕がそのお店のお客だったら、店員が寝そべった冷凍庫のアイスは食べたくないと思うだろうし、商品を交換しろ!と腹を立てるかもしれない。
チェーン本部のフランチャイズ解除や消毒のための閉店などの厳しい対応も、全国紙にまで載ってしまったからには仕方がないこととも思える。
でも、何だか割り切れないのは、僕が自分が高校生だった頃のことを考えると、どうも若者たちの行為と、社会と企業が加えた「制裁」のバランスが悪いように思うからだ。
僕らが高校生の時には、携帯もデジカメもTwitterもなかった。
僕も高校時代に飲食店でアルバイトをしていて、友人とともに多少ヤンチャなことをしたこともあった。
ヤンチャなことをして店長にバレて大目玉を食らったが、「二度とするなよ(怒)」という店長の叱りの言葉と、全然力の入っていないゲンコツ一つで僕は無罪放免となった。
店がフランチャイズ解除になることもなかったし僕と友人の写真と本名、それに学歴などが世界中に晒されることもなかった。
僕たちがしたヤンチャな行為の影響範囲は、ごく僅か、友達数人と店長までという、ごく限られた距離にしか伝播しなかったからだ。
僕が高校生だった25年前にはそれが当たり前だった。近所の悪ガキは近所だけで有名で、隣町に行ったら隣町の悪ガキがいて、同じようにその街だけで有名だった。
ある特定の街のちょっとヤンチャなガキの悪戯を、全国区で晒し者にすることは事実上不可能だったのだ。
よっぽどとんでもない事件を起こして新聞沙汰にならない限り、僕らの行為はローカルに処理されるだけだった。
でも今は、iPhoneをはじめとするスマートフォンとSNSを組み合わせると、ヤンチャをした本人が、自らの醜態を全世界にばらまくことができてしまう。
そして、そういう無自覚な行為を監視して楽しんでいる人もネットには多く存在する。
投稿した本人は「友達だけに向けて発信したつもり」でも、その醜態はあっという間にネットの住人に発見される。
そうなればもう時間の問題。SNSが持つ圧倒的な伝染力で、決定的瞬間の写真はあっという間に拡散し、そして炎上する。
バイト先の店名が特定され個人の本名が探し出され過去の投稿から違法性のあるモノが見つけられ、うっかりすると通っている学校や恋人の名前までが晒されることになる。
しかしここで注意するべきは、それら個人情報のほとんどは、本人が無自覚にSNSやブログなどに公開しているものである点だ。
非公開のモノを晒されてるのではない。あくまでも本人が喜々として投稿した「万引き」「未成年喫煙」「飲酒」などの行為が公開されるだけなのだ。
SNSの伝染力は、国家の政権をひっくり返すこともできるほど強いものだ。
本人がその影響力を「知らなかった」と言って済む時代ではなくなったのだ。
自動車を運転して人をはねておいて、「こんなにスピードが出るなんて思いませんでした」という言い訳が通用しないのと一緒だ。
SNSに自分の醜態を晒せばそれは確実に拡散される。たとえ友人限定などに設定をしていても、コピペしたりすれば簡単に拡散できる。それは間違いないのだ。
若者たちには是非この点を自覚してもらいたい。
若い時には自分の「悪さ自慢」をしたくなる時期もある。いかに自分が突っ張って尖っているかを、バカな行為をすることで示したい時もある。
それは30年前も今も同じだ。
だから今回騒動になっている炎上した若者たちを、僕は「バカ」とは言い捨てにくいのだ。
25年前の僕たちと彼らとは、やっていることのレベルは大差ない。
尾崎豊も歌っている。「盗んだバイクで走り出す」と。「15の夜」というタイトルだから、無免許運転で、しかもバイクの窃盗の歌なのだ。
問題は、今の若者には、自分では制御しきれないほどの威力を持つ「スマートフォン」と「SNS」という飛び道具があるということだ。
飛び道具は使い方を間違えば致命的なことになる。それは拳銃でも自動車でも原発でも何でも同じだ。
人間の力を遥かに越えた力を持つツールは、使い方を知らずに手にしてはいけないモノなのだ。
尾崎豊が現代に生きていて、15歳の彼が盗んだバイクの前でVサインをして、「盗んだバイクで走り出すなう!」などと投稿したら、すぐに拡散されて逮捕されてしまう。歌になる暇もないだろう。
可哀相だが、現代の若者たちには強くなってもらうしかないのだろう。
スマホとSNSの怖さと威力を正しく知り、うまく使いこなしつつ、バカをして欲しい。
若いうちは、多少はバカなことをしてもいいと僕は思っている。
でも、現代の環境では、その行為を世界に晒してしまうと、その代償は行為自体とはかけ離れた重いモノとなってしまう。
今回のTwitter炎上案件のニュース記事を読んでいて、「損害賠償を求める可能性」という言及があり、僕は悲しくなった。
チェーン本部が該当店舗の閉店を決め、損失を、写真を公開した若者に損害賠償請求することを検討しているという。
バイトが冷蔵庫に入った写真で炎上したステーキのブロンコビリー、当該店舗退店を決定 当人へは損害賠償請求を検討 – ねとらぼ
対応が厳し過ぎるかどうかは僕には判断できない。
若者が冷凍庫に入ったという行為とお店を閉鎖することのバランスがおかしいように感じるが、それはあくまでも第三者であり本件には無関係な僕個人の主観だ。
チェーン運営会社が「閉鎖すべき」と判断したなら、それだけ重大なことなのだろう。
そんな時代になったということなのだ。若者は、自分でちょっと尖ったことをやろうと思った時に、決して撮影してはいけないし、SNSに投稿してもいけないのだ。
SNSは正しく使えば非常に強力なコミュニケーションツールである。とにかく強力な武器なのだ。
武器は正しく使うべし。強力な武器ならなおさらだ。
そして若者よ、学んで強く生きて欲しい。
バカな若者を応援する、元バカな若者より。
ps. 写真は高校時代の部活の合宿の時のモノ(左から2番目が僕)。
あれからもう25年か。バカばっかりやってたなあ(笑)。
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著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。