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原稿は削って良くなる [日刊たちばな vol.13]

日常

今月下旬に刊行される新刊の最終チェック中。

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快晴の表参道交差点。10kmランの途中。腰はいよいよ良い感じ(^-^)。

 

 

 

原稿は削って良くなる [日刊たちばな vol.13]

新刊は264ページというボリュームなのだが、僕が書いた原稿は430ページ分以上あった。

約半分弱は捨てたことになる。

そんなに書いたかなーと思って初稿や2稿を読み返してみたら、あーあー、確かに書いた書いた、こんなこともあんなことも書いたよ、という項目がたくさん出てきた。

僕は本を出すのはまだ5冊目だが、実感として、書きたいことが山のようにあって、膨大なボリュームを書いて、あとから削りまくった本は、満足度が高い。

書いている途中で、「もう書くことがないよ、どうしよう」となったりする本は、満足度が低く、結果的に売れ行きもイマイチだったりする。

そういう意味では、今回の原稿は、とにかく書きまくり、校正しまくったので、とても中身は濃いし、満足度も高い。

昨年9月7日に「初稿を書き終えた」とブログに書いていた。

この時点で15万文字書いているのだから、恐らく合計では25万文字くらいになっているのではないだろうか?

 

5冊目の本の原稿を書き上げました! | No Second Life

 

作家がせっかく書いた原稿を大量に捨てる、という話を初めて知ったのは、村上龍さんのエッセイ集を読んでいたときのこと。僕がまだ20代後半だった頃だ。

村上龍さんは、初期代表作の一つ「コインロッカーベイビーズ」の原稿を、2,400枚くらい書いたそうだ。

それを最終的には900枚程度にまで圧縮した結果が、あの名作なのだ。

エッセイを読んだ当時の僕は、「へー、そんなもんなのかねえ」と思っただけだった。

「せっかく書いたんだから全部使えばいいのに」くらいにも思った。

 

 

でも、自分で本を書くようになって痛感する。

原稿は、削って良くなるのだ。

とにかく自分の中にある「書きたいこと」を全部片っ端から初稿で書いてしまう。

そしてそれをどんどん削っていくのだ。

書き足りないことを2稿でまたがんがん書き足していく。

そして初稿の生き残りと天秤にかけ、再び削って一番レベルの高い原稿だけを残す。

今回は結局テキストでは4稿まで書き足しては削り、を繰り返した。ゲラは誤字脱字チェックくらいでほとんど変更は入らない。

このプロセスを経ると、一番尖っていて一番伝えたい部分だけが必然的に残っていくので、ぎゅーっと濃縮された良い本になる。

僕の本が売れるかどうかは分からないが、構成して書いた本人としては、5冊目にして、今までで最高レベルの満足度と充実感がある。

僕のここまでの集大成といえる本に仕上がった。

村上龍さんと僕ではレベルが違いすぎて、同列に語るのは大変おこがましい話だが、自分が作家になって実感しているので書いてみた。

皆さんに読んでいただき、感想を聞かせてもらうのが今から楽しみだ(^-^)。

 

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