ライフハック日常日記

惜しげなく10万文字を捨てる勇気 [日刊たちばな vol.27]

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昨年の4月から企画して、7月から書き始めた次の本の原稿(初稿)が今日完成した。

まだここから先の道のりが長いのだが、とりあえず一つの大きな区切りになったことは間違いない。

今回の原稿は、先日発売となった「サラリーマンだけが知らない 好きなことだけして食っていくための29の方法」と、ほとんどの期間重なって作業することになった。

もともとは重ならないように工夫していたつもりだったのだが、上手くいかなかったのだ。

書籍というのは膨大な量の原稿を書く必要がある。

ビジネス書の場合、1冊あたり10〜15万文字程度が必要となるのだが、良い本というのは、必要最低限の原稿を書けばできあがるものではないと僕は感じている。

これは僕がまだ著者として駆け出しでレベルが低いせいもあるのだろうが、僕の場合、書籍として完成する原稿の2倍〜3倍くらい書くことが多い。

書き始める前は、頭の中に全体像のイメージがあるだけで、まだ原稿は0文字だ。

そこから頭の中にあるものを片っ端から書いていくわけだが、正直言って書いている段階では、すごくいい原稿なのかイマイチなのか、良く分からないこともある。

だから、とにかく頭にあることは全部書いてしまって、後から取捨選択するのが良い。

だから初稿はだいたい20万文字くらいは書くことになる。

そして初稿が出来上がったあとで、「ここらいらないな」という部分をばっさり捨てるのだ。

さらに、初稿を読み返していると、書き落としていたことが結構出てきて、もっと書きたくなるので、その部分を追加で書きまくる。

するとまた15万文字とか20万文字くらいになるので、さらに取捨選択して、本当に良い原稿と確信できた部分だけを残すのだ。

このプロセスを正しく経た本は、だいたい良い仕上がりになるし、売れ行きも良い。

逆に必要な原稿量ぴったりぐらいだったり、ちょっと足りなかったりすると、その本は自分ではイマイチの満足度になるし、売れ行きもイマイチだったりする。

 

 

今日書き終えた原稿は、初稿の段階ですでに20万文字書いて、そのうちの約10万文字を捨てている。

書いていて編集者さんと「この章、ちょっと違うね」という話になり、ばっさり捨てて全部書き直したのだ。

10万文字といえば原稿用紙250枚分だ。

原稿用紙250枚分の原稿を捨てるなんて、勿体ないと思う人もいるだろう。

でも、10万文字を捨てて書き直した原稿は、僕も編集者さんも納得の出来映えでニッコリである。

納得できない原稿のまま妥協して出版し、売れない本になった場合の後悔は計り知れないだろう。

仮に売れ行きがイマイチでも、しっかりと自分の全勢力を注ぎ込んで出来た本なら、さっぱりした気分でいられるだろう。

いや、そんなことはない。全勢力を注ぎ込んだ本が売れなかったら死ぬほど悔しいに違いない。地団駄を踏むだろう。というか、全勢力を注ぎ込んだら売れない本にはきっとならないだろう。

だから、10万文字だろうが20万文字だろうが、出来が悪ければ惜しげなく捨てる勇気が必要なんだと思う。

50冊くらい書いた頃には、こんな無駄なプロセスを経ずとも、最初からピッタリのサイズで良い本が書けるようになるだろうか。

そうなっていたいような気もするし、そうはなりたくないような気もする。

とにもかくにも、初稿が出来上がった。

夏前くらいに書店に並ぶだろうか。

楽しみだ。

 

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