一級建築士であり設計事務所の社長でもある八納啓創さんの、「なぜ一流の人は自分の部屋にこだわるのか?」という本を読んだ。
僕はプロブロガーとして独立して以来、自宅を生活の拠点としてだけではなく、仕事の本拠地としても使うようになった。
つまり「通勤」がなくなったわけで、外出する用事がなければ、24時間自分の家にいることになった。
そうなってくると、「自宅」の環境というのは、猛烈に大切になってくる。
だから僕はサラリーマン時代と比べると、すごく自分の生活環境にこだわるようになった。
そんな僕だが、この「なぜ一流の人は自分の部屋にこだわるのか」は共感しまくり、頷きっぱなしの一冊だった。
自分で書いたんじゃないかと思うぐらい共感ポイントが多かった。
さっそく紹介しよう。
なぜ一流の人は自分の部屋にこだわるのか? by 八納啓創
「寝に帰るからどうでもいい」と部屋を決めてはいけない
僕が最初に実家を出て一人暮らしを始めたのは27歳のときだった。
当時の僕はサラリーマンの営業担当で残業も多く、1日の大半をオフィスと外出先で過ごしていた。
だから、自分の部屋を決めるときも、ほとんど何も考えていなかった。
家賃が安くて、最寄り駅が始発駅で、始発駅まで行くバスのバス停が近ければいい。
それしか考えていなかった。
ところが、その考え方で部屋選びをしていき、僕はとんでもない落とし穴にはまることになった。
2軒目の部屋は、青梅街道という片側4車線の大通りに面したマンションの1階だった。
家賃だけで決めた部屋は北東向きで、1日ほとんど陽が入らない。
窓を開けると青梅街道の騒音と振動、排気ガスが襲ってくる。
1階の北向きなので陽当たりが悪くてジメジメしていて、壁にカビが生える。
そんな部屋に住んでしまった。
夜中にも大形トラックがばんばん走り、振動でマンションが揺れ、慢性的な寝不足状態に。
カビとハウスダストでアレルギーになり、咳と鼻水が止まらなくなる。
最寄り駅までのバスが毎日ひどい渋滞にはまり、ぎゅうぎゅうのバスでイライラしっぱなしでストレスに。
どんどん身体も心の調子も悪くなってしまい、「こんなところに住んでいてはダメだ」という気持ちになった。
これが僕が最初に「家を適当に選ぶことの恐ろしさ」を知ったときだった。
家を選ぶ前に「住みたい街」を選ぶ
当時の僕は東京の市ケ谷にオフィスがある会社に勤務していた。
住む部屋を決めるときも、「乗り換えなしで市ケ谷に出られる場所」くらいしか、住む場所を考えていなかった。
だが、それも実際に住んでみて、選び方として根本的に間違っていたと分かった。
僕が住んだ部屋の近くにはスーパーがまったくなかった。
コンビニはあるのだが、唯一のスーパーまで片道20分以上かかるのだ。
その唯一のスーパーも品揃えはイマイチで、ちゃんと買い物をしようと思うと、バスに乗ってJRの隣駅まで行かなければならなかった。
しかも、このバスが致命的な渋滞にはまるのだ。
日常的な食料品の買い物をするだけでも強いストレスを感じる日々。
しかも住環境は最悪だし、同じマンションの住民も暗くてとげとげしている人ばかり(今思うと青梅街道沿いのそういうマンションに住んでいる人は、暮らしにこだわりがない人ばかりだったと思う)。
このとき僕は、「この街は僕が住むべき場所ではない」と認識した。
家賃が安いとか、駅からバスで何分とか、バス停から近いとか遠いとか、電車で一本で行けるとか、そういうことだけで家を選んではいけないのだと理解した。
一番大切なことは、「住んでいて気持ちがいい街」に住むこと。
まずはここだ。
そして、その「住んでいて気持ちがいい街」の中の、「住んでいて気持ちがいい部屋」に住むこと。
これが絶対的な第1優先なのだ。
ここから選びつつ、諸条件で妥協したりしていくのは仕方がない。
でも、住み処というのは僕たちの人生に非常に大きな影響を及ぼすものだ。
だからこそ、「損得」の通勤やら家賃やらの条件から選んでいくと、後で後悔することになりやすい。
その点を気をつけよう。
人生を飛躍させるために住み替える
僕は自分の人生のステージを上げたいとき、つまり飛躍したいときに、家を変える。つまり引っ越すのだ。
2013年5月に文京区小日向から港区元麻布に引っ越したときも、2015年5月に元麻布から六本木に引っ越したときも、飛躍を求めて住む場所を変えた。
これは、「住む街」を変えたという意味と、「住む部屋」を変えたという、両方の意味がある。
街も部屋も、上手く活用することで、僕たちに圧倒的なエネルギーを与えてくれる。
いっぽう、自分のサイズに合わなくなった街に住み続けることは、成長期の若者が、サイズの合わない小さな靴で無理やり走っているようなものだ。
街も部屋も、そのときそのときのライフステージによって、住むべき場所が変わっていく。
そして、住むべき場所が変わったから引っ越すということが「アリ」ならば、逆もまたアリなのだ。
それが、「飛躍した自分が住むべき場所に先に住んでしまう」ことで、自分のライフステージも飛躍させるという方法だ。
元麻布に引っ越すときも、六本木に引っ越すときも、僕はこのことを考えていた。
飛躍したから引っ越ししたのではなく、飛躍するために引っ越しをしたのだ。飛躍したあとの自分が住むのに相応しいと思われる場所へ。
その場合、家賃も高くなるしライフスタイルも「背伸び」をしたものになる。
引っ越した当初しばらくは、お金に余裕がなくなったりライフスタイルがしっくりこなかったりと、色々問題も起こる。
だが、必死にもがいていると、徐々にその家の「格」に本人がフィットするようになり、気づけばライフステージの上昇が起きている、ということになる。
「お金が儲かるようになったら引っ越す」のでないのだ。
「引っ越したからお金が儲かるようになる」のだ。
さらにいえば、「お金が儲かるようになりたいから、引っ越す」のだ。
住む街と住む部屋は、それぐらい大きな力を持っているのだ。
念のため付け加えるが、僕ら夫婦にとっては、たまたま望む場所が都心だっただけで、都心に住むことが偉いわけでも優れたことというわけでもない。
海沿いの街に住みたいと、都心から鎌倉や葉山に移住する人もいる。
山が見えるところにと信州に拠点を移す人もいる。
住みたい場所、住みたい土地、居心地の良い場所は人それぞれなのだ。
自分にとっての理想の街と家を見つけることが大切なのだ。
機能性よりも美しさを追求し、モノとノイズを減らす
部屋にたくさんのモノがあると、便利にはなるかもしれない。
だが、モノが多い部屋は、それだけさまざまな情報が溢れることになる。
ぎっしりモノが詰まった収納が並ぶ部屋は、情報量が多くなりすぎ、空間が減り、結果として、それらの情報はノイズになってしまう。
モノを減らすことは部屋の中の利便性を失うことになる。
たとえばギッシリモノが詰まった戸棚をクローゼットの中に隠すと、見た目はスッキリする。
しかし、その分戸棚のモノを取りに行くためには、毎回クローゼットまでいってドアを開けなければならなくなるので、不便になる。
僕は住居の快適さは、利便性、機能性よりも美しさを追求することだと思っている。
そして美しさを追求するためには、ギリギリまでモノを減らし、ノイズをなくしていくことだ。
我が家を訪れた多くの人は、家のモノの少なさにビックリする。
だが実際にはモノは決して少なくない。
減らしているのは「露出しているモノ」を減らすことだ。
現代は情報まみれ、情報過多の世の中だ。
家の中を快適にリラックスして過ごせるようにするためには、とにかくノイズを減らしていくことが大切だ。
快適な住環境をキープするためには労力を惜しまない
人間が生活をすれば家は必ず汚れる。
我が家には二匹のネコがいるので、なおさら汚れていくスピードが速い。
せっかく快適な家も、掃除や手入れを怠ると、どんどん汚くなっていくものだ。
気に入った空間を気に入った状態で維持するためには、メンテナンスが欠かせない。
それは日常的な掃除であったり、季節ごとの大掃除だったり、家具や道具の手入れだったりする。
僕は人生のステージが上がり、住まいが快適になるに連れて、掃除やメンテに使う時間が増えてきている。
せっかくの快適な家がゴミだらけ、ほこりだらけでは、気持ち良く生活も仕事もできない。
家が広くなればそれだけ掃除も大変になる。
ルンバなどの機械を活用したりしつつ、それでも家中をピカピカに維持することが、この部屋が持つ強いエネルギーを最大限に発揮させるポイントなのだと僕は分かっている。
なので、毎日コツコツとせっせと、見えるところも見えないところも掃除をしていくのである。
昔からそうだったわけではない。
きれい好きな奥さんと一緒に生活をするようになって、ちょっとずつ学び、ちょっとずつ影響を受け、そして自分もきれい好きになっていったのだと思う。
まとめ
自分の部屋、そして自分が住む街にこだわることは良いことだ。
この二つにこだわるようになって、悪いことは一つも起きていない。
街と部屋にこだわるようになると、いろいろな街が持っているエネルギーが見えるようになる。
元気の良い街、クリエイティブな街、荒んでいる街、陰湿な街、いろいろ見えるようになる。
そしてその街に住んでいる人たちの表情も、どこか似通っているのである。
だからこそ、「こんな人になりたい」と思う人がたくさん住んでいる街に住むと良い。
僕はそう思っている。
自分の住む場所にこだわることは、自分のライフスタイルにこだわることだ。
自分のライフスタイルにこだわることは、自分の生き様にこだわること。
だからこそ、自分の部屋には徹底的にこだわりたいものだ。
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著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。