グレッグ・マキューン氏著、「エッセンシャル思考 最小の時間で成果を最大にする」を読了したのでご紹介。
だから、より大くのものを手に入れることが良いこととされてきた。
企業も個人も「多角化、拡大」が素晴らしいことと称賛され、多くの人がそのような生き方を追求してきた。
でも、すでにたくさんの人が、その生き方の限界に気づき、路線変更をし始めている。
時代は21世紀。
量より質の時代になってきたのだ。
そんな時代にぴったりの良書だった。
さっそく紹介しよう。
エッセンシャル思考 最小の時間で成果を最大にする by グレッグ・マキューン 〜 「より少なく、しかしより良く」こそが成功のキーワード!!
より少なく、しかしより良く
この本のテーマをひとことで言えば、「より少なく、しかしより良く」であろう。
本の中でも頻繁に登場するこのキーワードこそが、「エッセンシャル思考」を体現するための言葉である。
やること、行く場所、目指すこと、とにかくなんでも拡大して増やしていくのではなく、余分なものをどんどん削ぎ落としていく。
しかし、たた減らすのではなく、結果として手許に残したものを、徹底的に磨く。
余計なことを削ぎ落とした分、残した大切なものを磨く時間も集中力もたっぷりある。
だからこそ、「より少なく、しかしより良く」が実現可能となるのだ。
20世紀は、我々は常に「より多く、そして全部をより良く」を目指してきた。
しかし、それは幻想であり、実現不可能だと、多くの人がすでに気づいている。
だからこそ、「より少なく、しかしより良く」を目指す「エッセンシャル思考」という考え方が生まれてきたのだろう。
この考え方は、やましたひでこさんの「断捨離」に通ずる考え方だが、その考え方をビジネスやライフスタイルにまで拡大しているのが、このエッセンシャル思考の特徴だ。
以下に、エッセンシャル思考を体得していくためのキーワードを幾つか紹介したい。
トレードオフ 〜 何かを選ぶとは何かを捨てること
人間の時間、体力、集中力にはいずれも限界がある。
「最優先のプロジェクト」というのは、「もっとも優先」という意味で、本来は1つしか存在してはいけない。
そして、スタッフは全員一丸となって、最優先のプロジェクトに最大限の時間と能力を投入する。
それが本来の姿だ。
ところが現実世界では、「最優先プロジェクト」が同時並行で5つ走っていたりする。
そんな状況では、プロジェクトメンバーは、どの仕事に自分の時間と労力を投入していいか分からず、すべてのプロジェクトが中途半端になる。
二つのうち一つ、もしくは5つから1つ。
「より速く」なのか「より良く」なのか。
「もっとも安く」なのか「もっとも良く」なのか。
非エッセンシャル思考の人は、トレードオフが必要な状況で、「どうすれば両方、全部できるか」を考える。
しかし、エッセンシャル思考の人は、「どの問題を引き受けるか」と考える。
著者のグレッグ・マキューン氏はこう書いている。
「これはタフな問いであると同時に、より大きな自由につながる問いだ」
「エッセンシャル思考の人は、トレードオフを当たり前の現実として受け入れている。そんなものがなければいいのに、とは考えない。「何をあきらめなくてはならないか?」と問う代わりに、「何に全力を注ごうか?」と考える。小さな違いだが、積み重なると人生に大きな差がついてくる」
「両方手に入れたい」「全部なんとかしたい」と考えるのは、すべてを失うことになる。
自分は何を本当に手に入れたいのか。
それを考えることが、エッセンシャル思考の入口だ。
睡眠 〜 1時間の眠りが数時間分の成果を生む
睡眠は仕事のパフォーマンスに大きな影響を与える。
睡眠不足の人は、重要な意思決定を誤ったり、大きな間違いをしたりするうえ、仕事の効率は上がらず、時間を無駄にしてしまう。
ほとんどの人が睡眠の重要性について、何かしら見聞きしているだろうし、表面的にはその重要性を理解しているように見える。
それなのに、現実世界では、多くの人が仕事が終わらないからと夜更かしをして睡眠を削り、さらに自分の仕事の状況を悪化させてしまう。
仕事が忙しく、重要な仕事をしている人こそ、最優先すべきは良質の睡眠をしっかり取り続け、脳のパフォーマンスを最高にキープすることだ。
著者は、多くのアメリカのエクゼクティブたちが睡眠の重要性に気づき、実践を始めているといい、以下のウォール・ストレート・ジャーナル誌の記事を紹介している。
「もはや疑問の余地はない。多忙なストレス社会のアメリカでは、睡眠が新たなステータスシンボルとなっているのだ。かつては根性なしと罵られたものだが ーー 80年代には『ランチは負け犬のもの』『睡眠は子供のもの』と叫ばれていた ーー 今では睡眠こそが優秀さの証であり、クリエイティブな経営者の必須アイテムなのである」
著者グレッグ・マキューン氏の以下の言葉に、僕は全面的に同意する。
「現代人の最優先課題は、優先順位づけの能力をキープすることだ」
睡眠不足の最大の問題は、「行動力」と「判断力」、それに「課題解決能力」が著しく低下することだ。
ぼんやりした頭を抱えて問題を先送りして、間違った判断をしているなら、その人はいっそオフィスから自宅に帰り眠った方がいい。
他のすべてを削ったとしても、睡眠は削らない。
それこそが、エッセンシャル思考の人の考え方なのだ。
拒否 〜 断固として上手に断る
エッセンシャル思考で生きようとすると、自分が大切にすることを貫いて生きる必要が生じてくる。
そのときに他人の要請や期待を優先してしまっていては、本来の自分の最優先課題にじっくり取り組むことができなくなる。
だからこそ、エッセンシャル思考の人は、「断る」スキルを磨く必要がある。
グレッグ・マキューン氏は以下のように書いている。
非エッセンシャル思考の人は、周囲の期待やプレッシャーに負けて、不本意なイエスを言ってしまう。よく考えもせず、相手を喜ばせるためだけに仕事を引き受ける。単純に、そのほうが気分がいいからだ。
一方、エッセンシャル思考の人は、そうした気分のよさが長続きしないことを知っている。一瞬の満足のあとでやってくるのは、深い後悔だ。なぜこんなことをやらねばならないのかと、相手を恨み、自分を責める。もっと重要な仕事が犠牲になったことに気づき、ショックを受ける。
他人の要請を断るのには、一瞬の勇気と、気まずさをやり過ごす覚悟が必要だ。
しかし、しっかりと自分のメッセージを伝えつつ断ることで、「好印象よりも敬意を手に入れる」ことができる。
本当のプロは、しっかり断ることか出来る人だ。
前進 〜 小さな一歩を積み続ける
大きな成果を目指すとき、非エッセンシャル思考の人は、がむしゃらに頑張ろうとするが、その努力を継続することができない。
多くを求めて努力すれば、手に入れられるものも多いと思っているのだが、1日だけ頑張っても、前に進むことはできない。
いっぽうエッセンシャル思考の人は、小さな努力をコツコツと毎日続けることの破壊力を知っている。
コツコツと小さな努力を続けることは、まったく派手でないし、最初のころの一歩一歩は面白みもない。
だが、エッセンシャル思考の人は、その小さな努力を1ヶ月、3ヶ月、1年、3年と続けることによる、大きな成果が出る未来を信じることができる。
大きな夢を実現したいとき、エッセンシャル思考の人は、「小さく早く」始める。
余計な準備をしたり、状況が整うのを待つよりも、とにかく小さく始めてしまえばいい。
「今日もできた」という小さな達成を繰り返せば、遠いと思っていた目標への道のりも、楽しく充実した気持で進んでいくことができる。
まとめ
本書「エッセンシャル思考」では、全部で20の切り口で、「非エッセンシャル思考」な人と「エッセンシャル思考」な人の行動や思考の違いを立体的に説明している。
余計なものを削ぎ落とし、本当に大切なことにすべてのパワーを注ぎ込むという考え方が、僕は大好きだ。
なので、この本に書かれていることには同意するばかりで、さらに自分のライフスタイルを磨いていこうと決意させられた。
全方位で総花を目指すと、すべてが中途半端になってしまう。
とにかく余分なものを減らし、思考をクリアにし、一番大切なことを一番大切にすることを一番大切にする。
本書から学ぶことは非常に多かった。
エッセンシャル思考、オススメです!!
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著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。