名前 たけし
19961223 thu. 141th.
scary monsters / david bowie
お葬式のように思っていた、
人間の生命の終焉の宴としての儀式ではなく、
接触や共感や充足や進歩が停止していき、
ずっと見えていたものが見えなくなる、
つるつると染み込んでいき、
もう見えないと思っていても、
ふと力を抜いたときに湧きだしてくる、
停止してるみたいで、
抵抗してみたくなる、
−
お鍋を囲んでいた、
初めて遊びにきた部屋の空気はすごく暖かく、
自分の部屋かと錯覚するほどだった、
コタツの魔力をまざまざとみせつけられた、
もぐってしまうと体が吸い込まれてしまって出てこれなくなる、
ジタバタしてもコタツの心地よさに負けてうだうだしてしまう、
かあさん鍋おいしかったよ、
まめな母さん太郎、
−
鉛色の空だった、飛び交う鳥達は黒いシルエットになって頭上を行き交うから思わず頭を手で押さえて体を硬直させてしまった、轟音が鳥達を追い払うように響き渡り高速道路の上を次々と戦車が通り過ぎていくからわたしの手に持ったままのチューリップの小さな花束が踏みつぶされてしまうのではないかと心配になったけど次々とわたしの方に向かって逃げてくる汚ならしい洋服の人達の体がどんどん私にぶつかってくるからチューリップの小さな花束をコートの中に隠して歩いたら、ぼさぼさの髪をして鳥達に引き裂かれた洋服を引きずった男に見つかってしまいコートを剥ぎ取られてしまったからわたしは必死にチューリップの花束を抱きしめようとしたけれども男の指の動きに力が入らなくなってしまい鉛色の空の下で鳥達が降ってくるようなクリスマスイブの午後にチューリップの花びらが散っていくのを戦闘機の爆音と戦車の地響きの中で聞いた、
−