1997年4月12日（土）

All Tomorrow's Party / The Velvet Underground and Nico

ヒマワリの種はもう蒔きましたか？

街道の歩道沿いに広がる空き地一面に生えた雑草を引き抜き、

都会のスモッグと排気ガスでカチカチに固まってしまった地面を掘り返し、

南向きに、

ヒマワリの種を、一列に蒔こうよ。

もうすぐまたあのナツがやってくる、

またあの熱い夜がやってくるよ、

あなたは窓を開け放ち、

翼を羽ばたかせ、

あのナツの記憶の中心に舞い降りる、

ちりばめられた記憶の断片を無警告削除したあの日から、

止まってしまった時計をもう一度動かすように、

また、

あのナツがやってくる。

汗が弾けココロが溶ける328のブルースハープの音色と共に、

きっと君は、

Fast Car / Tracy Chapman

何カ月かぶりであの店のドアを開く。

何も変わっていない。あの日あなたが壁から外して弾いた白いギターもそのまま壁に掛かっている。

あの日僕達を暖かく迎えてくれた人々は今日もにこやかに僕達を迎えてくれた。

太平洋を越えて通じた思いが集結したあの夜のことが、

昨日のことのように思えて、

閑散とした店で、

今日は誰も座っていないあの店の椅子達を眺めていて、

ふと、あなたのことを思いだした。

僕達の間には太平洋が横たわり、

タンポポの綿毛の微かな振動が、

あなたのもとに届くころ、

この街はきっと、

二回目のナツを迎える。

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