I think therefore I am

あなたの温もり　思うこと　不明編

1997年4月23日（水）

Alabama Song / David Bowie

逃げるんだ、逃げ出すんだ、

車を盗んで全速力でこの街から逃げ出すんだ、

金も名誉も地位もあの娘の笑顔も何もかも捨てて、

今すぐに逃げ出すんだ、

この街は澱んでいる、

喉を掻き毟られるように息が苦しい、

胃の中にコンクリがガチガチに詰まっている、

触るとゴリゴリしこっていてたまらない、

スーツを脱ぎ捨て髪を掻き毟り、

裸足のまま全速力で、

この街から逃げ出すんだ、

手足を思いきり動かすんだ、

力の限り跳びはねるんだ、

僕達を縛り付ける拘束帯を振りほどき、

閉じ込められたフェンスを飛び越えて、

海が見えるまで走り続けるんだ、

叫び声が聞こえるまで全速力で走り続けるんだ、

髪が逆立ちペニスが勃起し筋肉が痙攣するまで、

血液を逆流させ心臓を爆発させながら、

オレンジ色の太陽が僕達を呑み込むところまで、

青い月が夜空に乱反射して僕達を包み込むところまで、

ボウイの歌を高らかに叫びながら、

どこまでも走り続けるんだ、

かわいいあの娘の乳房の安らぎを忘れるんだ、

海に行くために全てを捨てるんだ、

ガチガチに縛り付けられた自分を捨てるんだ、

自分のこめかみに銃口を突き付けたまま、

大声で高らかに笑ったまま走り続けるんだ、

青い月の昇る海に辿り着いたなら、

腕を高く上げ祝砲を撃ち、

高らかに勝利の凱歌を歌いながら、

海に向かって射精しよう、

カラダを解放しココロを捧げ、

砂浜に接吻しよう、

自らの生を祝福しこの一瞬を謳歌し、

大声で、

声が嗄れるまで訳の分からないことを叫び続けよう、

大声で、

叫び続けよう、

だから、

とにかく今すぐに逃げ出すんだ、

荷物は何も持たず部屋のカギも掛けないまま、

裸足のまま、

コンクリ漬けの街から、

みんなで逃げ出すんだ、

全速力で、

走り続けるんだ。