あなたの温もり 思うこと  不明編



1997年4月30日(水)

Walter T. / Walter T. Smith


あなたのココロを僕にください。


あなたの温もりを僕にください。


あなたのすべてを僕にください。


この部屋の空気は澱んでいる。


明かりを灯せば目が眩み、


窓を開けば車の轟音に耳を塞ぎ、


酒を流し込めばカラダが拒絶し咽せ返す。


湿気を帯びた床の上に朽ち果てるように、


僕はあなたの温もりを求めて這いずり回る。


ラジオから流れてくるボウイの声は途切れるように、


アスファルト上を流れ落ちてゆき、


吸い殻の残り火はフィルターを焦し異臭を部屋に充たす。


受話器越しに繰り返される歪んだあなたの声を、


エンドレステープが擦りきれるまで繰り返し聴き、


ラジオのボリュームを上げて目を閉じカラダを壁にもたれさせる。


瞳からモニタまでの空間に、


くわえたままのタバコの煙が渦を巻いて立ち昇り、


聞こえないような小さな声で、


あなたの名前を呟いてみる。






あなたの優しさを僕にください。


あなたの儚さを僕にください。


あなたの唇を僕にください。


あなたの






 

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