思うこと


1997年5月11日(日)


The Carnival / The Cardigans


昨夜明け方までネットで遊んでしまったせいで、今朝は妙に眠くてしかたがなかった。目が覚めた後も何となくアタマの中が覚醒しないような感じでボーッとしていた。寝起きに昨日の結婚式でもらったパウンドケーキを頬張る。さすがヒラマツのパウンドケーキだ、うまいうまいなどと言って調子に乗ってぱくぱく食べた結果、大いに胃がもたれる。ぐううう。

午前中はそんな調子でダラダラとテレビを見たりだとかビールを飲んだりだとかで終わってしまう。まあいつもの週末といえば、そんな感じなのかも知れないけど。

先週一週間かかっても読み終わらなかった夏目漱石の「門」をようやく読了。石橋さんが一カ月に15冊文庫を読むという言葉にすごくショックを受けたのだが、やはり僕には二日に一冊本を読むことは難しいらしい。通勤時間と営業で電車に乗っている時間をフルに活用すれば読めないこともないのだろうけど、どうしても日頃の寝不足を補うためにグーグー眠っていたりとか向かいに座った女子高生のスカートの裾に気を取られていたりとか、意味不明な妄想に突入していたりとかでなかなか全部の時間を読書にあてるのは難しいのだ。うーむ。

そうそう、この前から書こう書こうと思って忘れていたんだけど、僕は何故か春の盛りの頃から初夏にかけて、毎年無性に夏目漱石が読みたくなる。「三四郎」とか「行人」あたりなんだけど、どうしてなんだろう。冬の寒くてしょうがない気候だと全然夏目漱石なんて読みたいとも思わないし、夏から秋にかけては夏目漱石なんて忘れきっているのに、何故かこの時期になると彼の文章を読みたくてしょうがなくなってしまう。

断続的にネットに繋いで、検索エンジンで妙なものを探しだして喜んだり風で飛ばされそうになる洗濯物をハラハラしながら傍観したりして午後を過ごす。あ、そうそう、朝に食べたパウンドケーキの包み紙を適当に床の上に放り出しておいたら、そこにアリがウジャウジャとやってきていて非常にビビる。うぎゃー。すげえ数。しかもワラワラと放射状に散り散りに逃げていくので、このままでは部屋がアリ地獄になっていまう。あわててホウキを持ってきて哀れなアリ君達を全部表に掃き出した。でもまだ部屋の中に時々逃げ遅れたのろまがチロチロ歩いていて不気味。まさか部屋の中に巣があるんじゃないだろうな。うーんうーん。

そんなこんなしているうちにそろそろ支度をしなくてはならない時間になってきたので慌てて支度を始める。今日はオフの日でした。


Daddy's Car / The Cardigans


オフの待ち合わせは6時なんだけど、財布の中に2,000円も入っていない。今日は日曜日だから何とか銀行に5時までに行かないとおカネがおろせない。分かってるのにどーして僕はギリギリまで部屋でグズグズしてるかなあ、まったく。バタバタと風呂に入り随分のびた髪の毛を乾かす時間も惜しんで何とかバスに飛び乗る。吉祥寺行きのバスは週末にはいつも渋滞するのを覚悟の上、というか、まー大丈夫でしょうなんて思って乗ったのが大間違い。ああ、やっぱりはまったよ、渋滞だよ。時計の針は刻々とタイムリミット目指して過ぎて行くよ。ああ、2,000円じゃバーボンも飲めないよ。ああ、どうしようどうしよう。などと焦りながらも、バスの窓から入ってくる風がえらく気持ち良くて、こっそり鼻歌など口ずさみながらイライラするという不明な状態。

バスを降りた時、時計の針は4時55分。何とか間に合うなと思ったのに、さすが休日の吉祥寺、ヒトが多くてなかなかスムーズに前に進めないっす。一番近くにあった第一勧銀に入ろうと思ったら、ガーン、入口のドアがもう閉まっている。ああ。最悪の展開。

しばらく入口付近で地団駄を踏んでみて地割れなどを起こして見たのだが埒が開かないので仕方なくすぐ隣にあった住友銀行を目指す。ああ、開いてた開いてた。という訳で猛烈な勢いで金をおろす。どういうふうに猛烈なのかはここではあえて述べないでおこう。ふふふふっふふ。

まあ、そんなこんなでとりあえず現金を手に出来たので、あとは約束の6時を待つのみ。さーて、買い物買い物。


Only Shallow / My Bloody Valentine


まずはコーヒーが切れてしまったので「コーヒーファーム」の雑踏の中に突入していく。相変わらずすごい人込み。でも確かに圧倒的に安いし品揃えも豊富だから込むのも当然と言えば当然か。

目的のMJBの1キロ缶、980円を抱えてレジに並ぶ。どこででも売っているコーヒーだけど、きちんと手間を掛けて入れればすごく美味しい。僕の信念としては、コーヒーの味を決めるのは、一に入れかた二に挽き方、三が豆で四が愛情。きゃー。

コンビニで売っているようなUCCの挽き売りの豆でも、きちんと時間をかけていれてあげればそこらへんの挽き立ての豆よりも絶対に美味しいコーヒーが出来上がる。逆に、いくらいい豆を挽きたてで使っても、十分に沸騰していないお湯を一気にドバドバ入れてしまってはとても美味しいコーヒーなんて出きるはずがないのだ。うんうん。嘘だと思う人は僕の家までコーヒー、飲みに来てくださいな。委細面談。メイルにて。

しかしどーでもいいけどどうして「コーヒーファーム」で働いているお姉ちゃん達は言葉の語尾を意味もなくやたらと伸ばすんだろう。聞いていてすごく鬱陶しい。

「こちらのレジがあいておりまーーーーす。」

「ありがとうございまーーーーーす。」

「お2階のレジのほうがすいておりまーーーーす。」

があああ、どうして全員が同じように語尾を伸ばすんだ。しかも全然接客してないようなお姉ちゃんまでが唐突にでっかい声で「ありがとうございまーーーーーーーす。」などと張り上げるから、こっちはビックリしてしまうのだ。明るく笑顔でというマニュアルなのかも知れないけど、あれは明らかにやりすぎ。普通に会話してくれれば良いのだよ、普通に。

などとブツブツ言いながら今度は本屋に向かう。

あんまり精神を圧迫しないような、軽いものを選ぼうなどと思いながらも何故か島崎藤村の「破戒」、夏目漱石「明暗」、安部公房「箱男」などといった、いかにも疲れそうなものばかり買ってしまう。「明暗」はずっと前から気になっていたんだけど、絶筆になってしまっているために何となく結論が出ていないような気がして今まで手が出なかった。ずらっと我孫子武丸さんの本が並んでいて、改めて驚く。北杜夫も一冊読みたかったんだけど今回はパス。この三冊、一体どれぐらいで読み終えられるんだろうか。うーん。

うろうろ本屋をうろついていると携帯が鳴った。バッグの中に埋もれている携帯をまさぐっている間に留守電になってしまった。ちょっと時間を置いてから留守録を確認。今日初めてお会いするはずだったそうたさんがシゴトの都合で来れないとのこと。うーむ、そうかー。何だか自分だけ遊んでいて申し訳ないような気分。

あーだこーだしているうちに時間になったので待ち合わせ場所へと急ぐ。いそいそ。



Hey Lula / Yutaka Fukuoka


カリメロと、今日の主役であるももさん登場。きゃー。なんだかすらっとしていてカッコ良いじゃあないですか。ファンになりそう。

どんどん店に移動してどんどん話をして、どんどん飲んだ。

全然違う生活をした人達が日記を通じて知り合って、日記を読んだりメイルを書いたりして、ちょっと会ってみましょうかなんて、ホントに貴重な時間。今までに自分の価値観の中には全然なかったような空気をさりげなく吹き込んでくれる。あれこれ聞くのが楽しくてあっという間に時間が過ぎる。

明日がカイシャじゃなければもっと腰を落ち着けて飲めたけど。ま、しょうがないでしょう。

家に帰ってきて、龍成君に貰ったリザーブ10年でずびずびしながら日記など書いている。

なんてことない一日、でも貴重な一日、楽しかった一日。

あなたにも、是非とも良い夢を。

でわでわ。





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