Alive and Kickin' / Simple Minds

東京は曇りだったようだが、日本海側は快晴だったのが昨日の天気。

鳥海山は山頂付近にまだ若干の雪が残り、象潟駅前の商店街で入った食堂では、まだ石油ストーブを焚いていた。空は抜けるように青く、一人黒いコウモリ傘を持って歩く自分がちょっとばかり恥ずかしいほどだった。

和服に白の前掛けをしたおばあちゃん、髪を結い上げてニコニコと笑っていた。皴の多い顔から完全に遊離している真っ赤な唇が妙になまめかしく動くので、ちょっとドキドキしてしまった。

駅から15分ぐらい歩くと海岸に出られるはずなのだが、いつもタイミングが悪くてまだ象潟の海は一度も見ていない。駅前までは潮風は届かないらしく、頭上高くトンビがピロロローと鳴きながら数羽旋回を続けているのを見て、今度こそは海岸まで辿り着きたいと、切に願った。

そうそう、例の弁当屋のオヤジ、やっぱり酒田で出くわした。今回もいつもと同じ青いジャージにキャップ姿で、ホームの上をうろうろ歩き回りながら弁当売ってた。僕は車内にいたので今回は声を聴くことができなかった。

日本海を南下する特急の、海側の席に座っていたので、快晴の青い空の上に白い雲がぽかん、ぽかんと乗っかっているように見えていた。濃度の異なる蒼い水が幾重にも織り重ねられ、塗りこめられて日本海を形成しているかのように見える。太陽光線の反射が銀色と金色の中間色から彩度を落としたような色で目に飛び込んでくる。 海水が太陽光線を反射して、水の流れが車内の天井にキラキラと映っているのをじっと眺めていた。

いつの間にか眠ってしまったらしい。







(c) T. Tachibana. All Rights Reserved. 無断転載を禁じます。tachiba@gol.com