思うこと
1997年6月8日(日)
優しい気持ち / Chara--circle in my mind
感受性が強い日だ。こんな日は迂闊に行動してはいけない。いつもなら何気なくやり過ごす出来事に対して必要以上の衝撃を受けてしまい、なかなか立ち直れない。
僕は感受性が強まっている状態のことを、「開いている」と呼んでいる。最近はもう随分とこの状態には突入していなかったのだけれども、今日は朝から全開で開ききっている。こんな日に映画なんか見たりとか、強烈な音楽なんか聴いたりしたら大変なことになってしまう。おとなしく持ち帰りの仕事でもして過ごそうと思いつつ、朝っぱらからナリマツ君に不明なメイルを送り付ける。スマヌ。
鬱ではないのだけれども人と話したくない、音楽も小さめに穏やかなヤツじゃないとまずい。
眼が覚めた時には、すでに不発弾処理の為の交通規制が始まろうとしていた。そこら中に警官がうじゃうじゃ。
鉛色の空にヘルメット姿の警察官の群れ。何となく、正しい一日の始まりという感じがした。
優しい気持ち / Chara--circle in my mind
そうこうしているうちに時計が10時近くになる。役所の広報無線からサイレンが断続的に鳴り響き、家から良く見える青梅街道から完全に車の流れが消えた。
東京の郊外に突如出現した完全なる無人地帯。人の声も車の音も消えた街。窓を全開にして外を向いてベランダに乗りだすようにして座り、タバコを吸った。
風の音が聞こえる。木の葉が擦れあう音が聞こえてくる。ネコの鳴き声。隣の部屋のテレビの音。
いつもは全く聞こえない音がどんどん浮かび上がってくる。静寂に包まれた鉛色の空。
街道には何人ものヘルメット姿の警察官達。
鉛色の空。戒厳令。これで街道を戦車が続々と通り過ぎたらあまりにもピッタリすぎる光景だ。
冷蔵庫からビールを出してきて一本飲んだ。もう一本タバコを吸った。
遠くで拡声器から流れる声が聞こえてきた。
小鳥のさえずる声が聞こえている。
広報無線のアナウンスよりも先に、それまでの静寂を鈍く崩すように車の列が窓の外を通り始めた。ちょっとガッカリだったけれども、こんな日は表に出たら全開バリバリ妄想太郎になってしまうので、まあいいかと思い、午前中ずっとやっていた持ち帰りの仕事を続ける。
昨日PDFファイルに変換しておいたマニュアルをどんどんCD-Rに焼いていくテスト。クライアントから見積を要求されているのでどうしても今週末にテストしておかなければならなかった。
それにしてもPDFはすごく簡単で便利なものである。これが普及すれば、本格的なペーパーレスが実現されるかも知れない。でもこれだけ簡単だと単価は相当抑えないといけないだろう。
一人で部屋に篭っているとどうしても食事がどうでも良くなってしまう。表を歩き回ればそれなりに空腹感も出るだろうし、ニナがいればある程度ちゃんとしたものを作ろうという気にもなるのだが、一人でしかも何の予定もなく週末を過ごすと食生活がメチャメチャになる。
数日前からカレー用に肉と野菜を煮込んでいるのだが、カレールーを買いにスーパーに行く気力がないのでいつまで経っても完成しない。
もういい加減完成させないと野菜も肉も溶けきってしまうので、フラフラしながらコンビニへ。
コンビニに入るとまず意味もなくウェットジェルを買ってしまう。カレールーは中辛か甘口しかなかった。15分歩けばスーパーがあるのだが、全然行く気にならないので中辛で妥協。
普段は用件を済ましたらさっさと出ていくのに、今日は何故か店の中をグルグルと歩き回る。別に欲しいものがあった訳ではないのだが、ボーゼンとしたままあれこれ眺めていたら、BGMでCharaがかかった。
前からCharaのことは気になっていたのだが、せっかくそれまで何とか平衡を保っていた僕のアタマの中に一気に曲がなだれ込んできてしまい、ゾワゾワゾワゾワと鳥肌が立つ。
あーもうダメだ。という訳で帰ってきてからはずっと放心状態。
妄想全開の暴走バリバリ。
不明編を書こうかと思ったけど、妄想に体力を使い果たしてしまいギブアップ。
こんな日記になってしまった。
はー。何もしてないのにクタクタだ。
あ、何か食べなきゃ。
追記も何も、日記を書くだけ書いて、アップすることすら忘れていた。ダメだこりゃ。
結局カレーをぼやぼやしながらも何とか作って食べた。おいしかった。
昨日キャッシュに読み込んだ「私が見るもの」をまた読み続けていたら(去年の今ごろの)、少し意識がしっかりしてきた。
やっぱりせんべいさんの文章は好きだあ、などと感心していたらナリマツ君からメイルの返信。
どうやら彼も復活してきたらしく、メイルを読んでいたら大分気分が良くなってきた。結局栄養が足りなかっただけなのか、僕は。
困ったものだ。うー。
誕生日オメデト>え
328は健在です。一緒に行きます?>ね
で、誰?>???
きゃー。
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目が覚めてからしばらく茫然としていたが、故郷に帰っているニナからの昨夜の電話がずっとリピート状態になってしまう。半分予想はしていたがやはり彼女は泣きながら電話をしてきた。話していた昨夜は何ともなかったのに一晩大脳皮質で寝かせたらジワジワとアタマの中で発酵し初めて、ドーパミンの分泌を抑制しているらしい。
優しい気持ち / Chara--circle in my mind
車が一台も通らない青梅街道なんて生涯にそう何度も見られるものではないので、通りまで出ていってやろうと思いつつもカラダを動かすのがイヤでグズグズしていたら、不発弾処理は予定よりも4時間以上も早く、お昼前に終わってしまった。
追記:
以下私信: