思うこと


1997年6月17日(火)

やさしい気持ち / Chara

人間の能力を見極めることができるということが、上司であることの最低条件なのかも知れない。

部下の女の子と一緒に外出するようになってから半月たった。彼女の様子を見ていると、自分がシャチョウやブチョウに抵抗して彼女を残してもらったことが本当に良かったんだと嬉しくなる。

目を見張るような変化、というのはまさにこういうことを言うんだと思う。

彼女が着る洋服が変わった、毎日一生懸命精いっぱいのオシャレをして、きれいになろうとしているのが伝わってくる。

履いてくる靴が変わった。少しでも歩きやすい、カカトの低い靴を履いてくるようになった。

笑顔が変わった、今までは何となく周囲を見回すような感じだったのが、日に日に自信を持ち、あれだけ嫌っていたシャチョウやブチョウに対しても明るく受け答えしていて、時には冗談も言ったりしている。

シゴトに対する態度も変わった、先週彼女にNetscapeの使い方と、netへの繋ぎ方を教えた。新規開拓の資料探しとして、yellow pageを使って資料を集めることなのだが、今まではどんなに教えても「分からない」を繰り返した彼女が今日はもうスイスイとネットに繋いで自分で必要なページをブックマークしたり、プリントしたり、ファイルを保存したりしている。

ファイルメーカーでちょっとした住所録データベースの作り方を教えた。僕が見本で作ってあげたファイルを元に、何やら自分用の住所録をえんやこらと作っていた。

彼女の劇的変化に伴って男の子の部下の態度も急激に変わってきた。

今まで手書きだった報告書が突然プリントアウトで出てくるようになった。ファイルメーカーの勉強をしているという。

嬉しくなった僕は、彼ら二人に新たな宿題を出した。毎月一人あたり二社、これから新規開拓をしたいと思うカイシャを挙げること。ただ「ここに行きたい」ということではなくて、そのカイシャの業種、資本金、設立年等の基本データと、そのカイシャの商品の概略、さらに二人がどうしてそのカイシャに営業をしたいか、という理由を添えたものを提出する。

僕も同じものを提出するので、そうすると毎月6社、新規開拓の目標ができる。まず6社の基本データが揃ったら、続いて本当にそのカイシャに需要があるのか、あるとしたらどこの部署に需要があるのか、どうやってその部署にコンタクトすればいいのか、などの意見を出させ、一歩ずつ自分で開拓していくことを憶えていく。必要があれば部下の二人でそのカイシャに行かせ、お互いに助け合うことを憶えてもらえれば、などと目論む。

彼女達の成長を見ているとすごく嬉しいのだが、しかし一方で、一年間放り出したままにしてしまった自分の未熟さを反省する今日この頃。

反抗する部下の不満を聞くことが、まず第一歩なんでしょうかね。

まだまだ答えはでないので、とりあえずこの話しは多分ずっとつづく。






 

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