思うこと



1997年6月29日(日)


Living for the City / Mai Yamane and Haruo Kubota Unit

携帯電話が壊れてしまった。

金曜日の夜に、出張から帰ってきて、駅から乗ったタクシーの中では全く普通どおり使えていたのに、昨日になったら全然相手の声が聞こえない。

相手の声が聞こえないだけじゃなくて、ボタンを押したときの音も、話し中の音も、受話器を上げた状態の最初の「つー」という音も、何にも聞こえない。昨夜2回続けて携帯が鳴って、相手の声が全然聞こえなかった時にやっと気付いた。

部屋の電話から携帯に掛けてみる。携帯で話している声は、ちゃんと部屋の電話に通じているのだが、携帯側のスピーカーはしーんと静まり返ったままぴくりともしない。

うううう〜、なんというタイミングの悪さだろう。明日(月曜日)はどうしても携帯を使わなければならない用事があるのに〜〜。恨恨。

今日になったら直ってるかな、などと前近代的なことを考えていたのだが、今朝目が覚めてもやはり何も状況は変わらない。バッテリーを予備のものに替えてもダメ、あれこれ設定をいじってもダメ、もうどうしようもないので、新宿のDoCoMoのテクニカルセンターまで修理を頼みに行くことに。受付が4時までだというのを、午後2時頃に知り、慌てて外出の準備をした。



Sympathy for the Devil / Mai Yamane and Haruo Kubota Unit


ニナもくっついてくると言うので、二人で慌ててバスに飛び乗るのだが、いきなり大渋滞。普段なら吉祥寺駅までは15分ぐらいで着くのに、途中でピタリと止まってしまったバスは延々と動かず、結局吉祥寺まで35分もかかってしまった。しくしくしくしく。

受付終了の15分前に何とかテクニカルセンターに滑り込む。カウンターの女性に昨日からの症状を説明し、申し込み用紙に住所氏名等を記入する。一時間ほどで完成するということで、時間を潰しに行こうとセンターを出ようとした時に男性社員に呼び止められた。

何でも購入してから1年以上経過しているため保証が効かないので、有償での修理になるとのこと。もともと無料でやってもらおうとは思っていなかったので、ふんふんと説明を聞き、「いいですよ〜」などと明るく答えていたら、修理に2万以上かかると言われてびっくり。

ゑゑ〜、どうして2万もかかるの〜、と本気で訊いてしまった。お姉さんが言うには、何でも内部を殆ど全部とっかえることになるので、それぐらいかかると言う。

「それじゃあ新しく買ったほうが安いじゃない」と言う僕の目の前に、さっと新作のカタログが並ぶ。くそ、これも作戦か。正規の価格でなんか買ったらそれこそ4万も5万もかかってしまうじゃないか。ううう〜。

運良く(悪く?)、財布の中には3万入っている。春からちょこちょこと空き瓶に貯めてきた小銭が3万円になったため、その浮いたお金でデジカメを買おうと思って財布に入れていたんだよね、これがまた。

ううう、なんて何から何まで見透かしたような対応なんだ、と悔しがりつつも、どうにもならないので有償での修理をお願いし、周囲に聞こえるような大きな声で、思いきりぶつぶつ言いながら店を出た。



Aquarius / Mai Yamane and Haruo Kubota Unit


時間を潰すために高層ビルの最上階に登り、二人で遅めのお昼。そば屋で注文をしてからも、僕は納得が行かずにブツブツ言い続けていた。だって全然中を開けても見ないうちに、部品を全部取り換えなきゃいけないから、ハイ2万円ってのは、どうにも納得が行かないんだよね〜。

せめてなんか茶色のチョッキに白い髭を生やした職人風のオヤジさんかなにかが出てきて中を全部開けて、「ああ〜、こりゃダメだな、●●が完全にイカレとるよ。こりゃ部品を全部とっかえなきゃ直らんよ」、などと低い声で呟いてくれればまだ納得も出来るのだろうけれども、どうもカモにされているような気がして仕方がない。

でもどっちにしても、他の店に持っていっても、どうせDoCoMoの工場じゃないと直せないからって言われて工場に送るから2週間かかるとか言われて結局同じ料金をとられるんだろうと思ってブツブツを止めることにした。

結局デジカメの物色もすっかりやる気がなくなってしまったので(資金もなくなってしまったし)、展望台で景色を眺めて時間を潰していた。昨日の台風がスモッグをみんな持って行ってくれたので、やたらと景色が良くて、随分と機嫌が直る。だって東京湾越しに、房総半島までが見えていたんだよ。



上を向いて歩こう / Mai Yamane and Haruo Kubota Unit


時間になって携帯を受取に行く。さっき僕を呼び止めた男性社員がわざとらしく「修理のお受取でございますか」などと尋ねてくるのでまたちょっと頭にくる。つい一時間前にもめた客の顔を忘れるのかお前は、まったく。

まあ何とか携帯も使えるようになったのでとりあえず一安心。せっかくだからいつもとは違う帰り方をしようと言うことで、丸の内線とバスを乗り継いで、途中でスーパーで買い物して帰宅。ニナ作の豚の生姜焼きともやしの酢の物で夕食。何となく今ホッと一息という感じ。

今ごろもうせんべいさんは飛行機の中なんだろうか、今ごろ飛行機の窓の外を眺めつつ、一体彼は何を考えているんだろうか、などと考えてみる。

明日は成田までせんべいさんを迎えに行ってきます。空港内での待ち合わせ場所は、明日僕の携帯で決めることになっているので、何がなんでも携帯が必要だったのでした。

うーん、それにしても、せんべいさんのために有給を取った揚げ句、携帯まで修理に出してしまうとは、何たることだろうか。修理代を半分出して貰わなきゃね。あ、デジカメ現物支給ってのもいいかも。でもPowerBookを売ったうえにデジカメまで手放したら、せんべいさん死んじゃうかも。。。きゃー。

まあ、そんなこんなで、明日が平和な6月30日でありますように。






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