Teen Age Riot / Sonic Youth


僕が新幹線ホームに着いた時には、ブチョウがもう来ていた。

体調を崩していたブチョウはだるそうにホームの柱にもたれ掛かり、すでにホームに到着している「のぞみ」のドアが開くのを待っていた。

挨拶をしてブチョウの体調についてあれこれ話した。ホームの上は雑踏の生みだす熱と太陽光線がもたらす熱気と電車が吐き出す熱気とで大変な暑さ。スーツの上着を脱いでいても、ワイシャツの背中にじっとりと汗が噴き出すのが分かる。

ようやく飛行機の扉のような重厚なドアが開き、僕達は車内へと逃げるようになだれ込んでいく。ハンカチで首から額にかけて噴き出した汗を拭う。

車内でシャチョウにも合流。無事3人並んで席につく。3人とも喫煙者なので、今回の席は喫煙席。座ってすぐに3人並んで一服する。すぱー。

間もなく電車が動き始める。このメンバーでの出張というのはなかなか実現しないので、3人とも意味もなく若干テンションが上がっている。部下の女の子のことだとか、シゴトの内容のこと、神戸の殺人事件のことなどをワイワイと喋っているとあっという間に名古屋に着いてしまった。少しぐらいは眠れるかと思っていたのでちょっと残念。ホームに降りると再び熱波。今日は日本中が暑いのかも知れない。などとブツブツ言いながら名鉄の新名古屋駅へと向かう。




Eric's Trip / Sonic Youth

名鉄の新名古屋駅は、何度来てもいつも戸惑ってしまう。ひっきりなしにやってくる電車のうち、一体自分がどれに乗ればよいのだろうと、思わず悩んでしまう。

シャチョウもブチョウものんびりしているので、僕がピリピリしていないと乗り込む列車を間違えてしまいそうだ。

何とか予定どおり、新鵜沼行きの特急に乗り込む。車内はガラガラで、冷房が程よく効いていて非常に気分が良かった。ほんの10分ぐらいだが、うとうとすることができて、頭も随分すっきりしたような気がする。

犬山駅を過ぎると、名物?の鉄橋へ差し掛かる。自動車が走る鉄橋の上を、特急電車がまるで路面電車のようにゴトゴトと走っていく。乗っている分にはソレほど特別なことだとは感じないが、近くで見ていると、それまで自動車が走っていた鉄橋を突然電車が走るのだから、見ていてきっと面白いものだろう。

ほどなく終点の新鵜沼に到着。ここで今度は新岐阜行きの各駅停車に乗り換える。電車が着くまでの間ボーッとホームでタバコを吸う。人影もまばらで、なんともひなびた雰囲気。

しばらくして新岐阜行きの各駅停車到着。車内にはぽつりぽつりと人が乗っている程度。のんびりとのんびりと電車は走る。両側に緑はあるのだが、それほど目に飛び込んでくるようなものではなく、ところどころに建造物があったり、すぐ近くを国道が走ったりしているせいかも知れないなどと考えているうちに、三柿野に到着。

駅前に一件だけある定食屋で3人で昼食。時間になったので店を出て客先に入る。

今日の訪問先は川崎重工業株式会社。今年度から4年ぐらいかけて翻訳する、航空自衛隊に納入される航空機のマニュアルについての打ち合わせ。

打ち合わせはサクサクと終了し、とりあえず今日の僕のお仕事はオシマイ。3人で工場を出て、すぐ隣にある航空自衛隊の基地へと向かう。

基地の中で、空将補(昔で言う中将)の人とかに挨拶したりとか、時期支援戦闘機を見学させてもらったりして、三柿野駅まで送ってもらった。そこでシャチョウとブチョウと別れ、僕は一人大阪へと向かう。

名鉄で新岐阜まで出る。途中駅でのすれ違いで、反対側を突然路面電車が猛スピードで走って行ってびっくりする。なんだなんだ。

新岐阜駅前から新幹線の岐阜羽島まで向かうためタクシーに乗り込む。珍しく女性のドライバーだった。どれぐらいかかります?、て聞いたら、30〜40分と言われてビックリする。そんなに遠いんだ〜。タクシーに乗り込んですぐにアキラに電話。大体の到着時刻を告げる。一端ホテルに寄ってシャワーを浴びたかったが時間の余裕がなさそうなので断念。直接新神戸に向かうことにする。

女性ドライバーとあれこれ話しているうちに岐阜羽島の駅に到着。4,000円以上かかってしまい再度ビックリ。まあカイシャ持ちだからいいけどさ。なんでこんな不便なところに駅作ったんだろうか。

構内に入ると次の「こだま」までまだ40分も時間がある。再びアキラに電話して、到着時刻と待ち合わせ場所を決定。さっさとキップを購入して改札を抜け、ホーム上で呆然とする。

どうでも良いことだが、「のぞみ」は本当に早いんだなって思った。岐阜羽島は「のぞみ」は通過してしまうので、ホーム上にいると、猛然と爆音を立てながら通り過ぎる「のぞみ」を見ることができる。いつもは東京や名古屋からしか新幹線に乗らないので、全速力で走っている「のぞみ」を見るのは初めてだった。

電車というよりは、飛行機か何かが通り過ぎるようで、改めてビビる。あんなものに跳ね飛ばされたらきっと粉々に吹き飛んでしまうんだろう。

「こだま」の車内は客もそれほど多くなくて、ぼんやりと景色を眺めているうちにうとうとと眠ってしまった。

新大阪で広島行きの別の「こだま」に乗り換えて、新神戸を目指す。

まだ明るさが残る西の空が、鮮やかなオレンジ色に輝いていた。







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