Rhythm / UA


新神戸の駅に着いて改札を出るとすぐにアキラがやってきた。やあやあ。ヒサシブリ。

地下鉄に乗って三宮まで移動する。地上に出てから場末感の漂う繁華街を歩き、JRの駅側の地下街にある中華料理屋に入ってまずは乾杯。ちょっと痩せたんじゃないか?アキラ。

ワイワイと話をしながら中華をムシャムシャ。デザートの杏仁豆腐を注文するときのアキラの目が妙に輝いていておかしかった。がはは。

中華屋を出て喫茶店を求めて彷徨い歩く。ジュンク堂を見て感動したりする。目抜き通りなのに、8時になるともう殆どの店が閉まっている。閑散とした繁華街を歩くのはなんとも気持ちが良い。

結局元町まで歩き、「木馬」というジャズのかかる店に入る。地下に降りてドアを開けたときに、貸しスタジオのドアを開けたときのような、タバコとカビの混じったような、何ともいえない懐かしい匂いがして感激する。

コーヒーを飲もうと思っていたのに何時の間にかバーボンを注文していた。アキラはウォッカを頼みながら、酒を注文したことを僕のせいにしていた。なんじゃそりゃ。

これまでしばらく揚げ物とバーボンは控えていたのに、今日は中華屋で春巻きと唐揚げを食べてしまったし、バーボンも飲んでしまった。せっかく口のまわりのデキモノが小さくなっているのに、またぶり返さなければ良いけど。

なーんて反省したふりをして結局バーボンをダブルで3杯も飲んでしまった。うききき。

店の雰囲気もすごく良くて長居したかったのだが、ホテルが新大阪だったので後ろ髪を引かれつつ店を出る。

三宮の駅でアキラと別れ、僕は京都方面の新快速に乗り込む。車内はそれほど込んでいなかったのですぐに座れた。ちょっと酔っていたみたいで頭がクラクラしながら何とか新大阪まで辿り着き、ホテルを目指す。

駅から出るとすぐに目指すホテルの看板が見えているのに、何故か全然辿り着けない。駅前のロータリーを超えて行けば真っ直ぐのはずなのだが歩道がなくて横断できない。ぐるっと回ろうと思っても何故か途中で行き止まりになってしまいどうしてもホテルに辿り着けない。

結局あっちに行ったりこっちに行ったり、散々グルグル回ってしまい、目の前のホテルまで25分もかかって到着。げんなり。

チェックインを済ませて部屋に入る。げーっt、すげい汚い。これでシングル9,000円はないんじゃない。うううう。

ホテルにしては珍しく床がフローリングなのはまだ良いとして、どうして窓に障子が入っているのだ?、しかも遮光カーテンの代わりに、障子の内側にもう一段襖が入っている。うう。なんじゃこれ。

内壁もボロボロだしルームランプの蛍光灯(これ自体ちょっと許せない)も切れかかっていてチカチカしている。

とりあえずスーツを脱いでベッドに座り、ニナに電話する。

いい加減眠くなってきて電話を切ったのだが、いざ眠ろうと思うと何となく物足りなくてまだ眠りたくなくなってしまった。

仕方がないのでもう一度スーツを着込み、ちょっと夜の新大阪近辺を探検することにした。




ヒマワリ / UA

ホテルを出てデタラメに歩き始める。方角も良く分からないまま、適当に御堂筋線の高架沿いに歩いていく。人影は殆どなく、夜のビジネス街と言った感じ。夜になっても相変わらず猛烈な熱さで、アスファルトが昼の間に吸収した熱気を放出しているような気がする。

しばらく歩いて行くと左側に2件続けてコンビニがあった。両方の店とも酒を売っているらしい。ふむふむ。帰りにここでビールと明日の朝飯買って帰ろう。

ちょっと大きな交差点の角にモスバーガーがあった。店内にはまだ随分たくさんのお客がいて、何となく賑わっていた。この辺りからチラホラと居酒屋の看板等が現れ始めたので、どうやら真っ直ぐ進むと繁華街があるような感じ。元気を出してどんどん進む。

しばらく行くと地下鉄の「西中島南方駅」に着いた。地下鉄と言っても駅は高架の上。急に店の数が多くなり、人もワラワラと歩いている。高校生ぐらいの若い連中がうろうろと歩き回っていたり歩道でバイクをブイブイ言わせていたりして歩きにくい。

ブツブツ言いながら歩くとすぐに阪急電車の「南方駅」。飲み屋街からダバダバと人が出てきては駅の中に吸い込まれていく。電車の線路を越えると、歩いている大通りの1本裏の通りにどうやら店がたくさんあるらしい。そのまま大通りをしばらく歩くと、大きな交差点があり、もうそれよりも先には店は全然ない様子。

交差点に沿って角を曲がり、1本裏の道にどんどん入っていく。

一応何件かのお店があり、客引きも出ているようだ。のんびり歩いていると客引きに捕まりそうなので、ちょっとだけ早足で、真っ直ぐ正面を見て歩き続ける。

ちょっと行くともう繁華街はオシマイ。思ったよりも小さかったなあ、などと思いつつ、夜の散歩に満足して、コンビニに立ち寄り帰ることに。

コンビニで何故かまたバーボンのボトル(半)を買ってしまい、オニギリやサンドイッチとともに袋に入れてもらいそれを振り回しながら歩くのだが、どうもいつまで経ってもホテルに帰り着けない。

10分以上歩いたところで、僕はコンビニを出たときに間違った方向に歩き始めてしまったことに気付く。今更回れ右して今来た道を戻るのもバカバカしいので適当に歩いて行く。なんだか工場地帯みたいなところに出てしまい、妙に明かりが少なくなってきて怖がる。きゃー。襲われたらどうしよう。←お前を襲うヤツがいるのか。

デタラメに歩いていたら線路が走っていた。線路沿いにどんどん歩いて行ったら駅の灯が見えた。何駅なのか全然分からないままどんどん進んで行くと、「阪急南方駅」だって。

おいおい、結局ぐるーっと回って元の位置に戻っただけなんだー。ううううう。

何時の間にか夜中だと言うのに汗びっしょりになってしまっている自分を悲しみながら、今度こそホテルに向かってどんどん歩いて行く。

が、またしても何故かホテルに辿り着けない。一本道をずっと歩いてきたはずなのに何時の間にか別の道にそれてしまっている。看板は見えるのだが何故か行き着けない。結局夜中で車通りが少ないのを良いことに、車道を強引に渡って何とかホテルに辿り着いた。

部屋に辿り着くと何とも疲れきってしまい、スーツをハンガーに掛けるとすぐに眠気が襲ってきた。

結局買ってきたバーボンはほんの一口飲んだだけで、すぐにグーグー眠ってしまった。

ちかれたー。







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