真夏の夜の夢 思うこと  Summer Edition



1997年7月7日(月)


Light my Fire / Jose Feliciano

狭いコンクリートの階段を降りるとそこにはステンレスの安っぽいドア。



事務所のドアを彷彿とさせるような安っぽいドアを開くと、そこには分厚い音楽に包まれた世界があった。



汗とたばこと酒の匂いに満ちた、濃厚な空気が急速冷房で冷やされ、人の熱気で再び熱せられる。



ペルノの揮発性の香りが重低音の中に溶けて行き、渦になる音の中心にはココロを解き放った僕達が踊り続けている。



Joseの透き通る声が直接脳に響き渡る中、僕達はぶつかり合うように踊り続ける。



ココロとカラダが火花を散らしながら、暴発するように煌めき続けている。



夜の声、夏の夜。





Autumn Leaves / Hank Jones Trio


部屋の灯を消してジャズをかけてみる。



ボリュームを上げて眼を閉じる。



あの部屋で聞いた時のように目の前に演奏者の姿が浮かび上がってくる。



高音を抑えて低音を少し強くして、スピーカーのカバーを外す。



スコッチを注ぐ。



音に向かってココロを解放してみる。



自分の言葉を解放してみる。



ちょっとだけ、自閉的な気分になってくる。



夜がまだ半分以上残っていることに、



感謝してみる。





Someone to Watch over me / Hank Jones Trio


どうも皆さんこんばんは。立花です。


また夏がやってきました。昨日から「思うこと」Summer Editionです。


誰にでも理解してもらえるように、分かりやすく、淡々と、そういう風に書くことに集中していた最近の僕の日記でしたが、どうやら僕自身がそういうスタイルにまた飽きてきてしまったようです。


Summer Editionのコンセプトは、読まれたあなたがどんどん想像してあなただけの風景を描いて欲しいということ。



ただ、不明編のように全く意味不明ではなく、どちらかというと「書き殴り」に近いような、そんな雰囲気で行きたいと思います。



僕はもちろん思い入れバリバリで書いていきます。行間はちょっと広めにね(笑)。



意味不明なことも多いとは思いますが、僕にメイルして解決したりせず、あなたの中で僕の文章から見えてくる世界を感じてもらえれば、と思います。



ちなみに僕は一行目に載っている音楽を聴きながら書いていますので、お持ちでしたらその曲を聴きながら読んで頂けたりすると、一層よろしいかと、思います。



ではでは、皆さま、電脳の海でお会いしましょう。立花でした。







Public Image / Public Image Ltd.


どんどんココロが沈みこんでいくのを何とか食い止めようと思ってPublic Image Ltd.を掛けてみた。



人に読まれるために書くことに僕は疲れてしまったのだろうか。



こうしてボリュームを上げて音の中にカラダを置くことで自然と言葉が湧きだしてくる。



しばらく読まれるということを意識せずに書いてみたいと思う。



でも、僕はあなたを排除しようとしているのではない。



あなたのココロに触れていたい。



僕は寂しがり屋でどうしようもないヤツだから。



もし僕が書き散らしたものから何かを感じたとしたら、



そのときには僕に何か話しかけてやって欲しい。



バランスを失った夜の軌道を追いかけるように、



僕は今日もこうして書き続けようと思う。







My Way / Sid Vicious


ぞうさんギターを掻きむしりながら踊り狂うオヤヂに想いを馳せながら、



部屋の窓を全開に開いて夜の空を身を乗り出すようにして眺めてみる。



「やあ、君の顔が見えるよ」



アレックスは届かぬ思いを電話線に託してそう呟いた。



琴座のヴェガの届かぬ思い、アルタイルにしっかりと届いたのだろうか。



3年前の今日の夜、



僕は焦がれる思いを抱えて市ケ谷の外堀沿いの公園にあの娘と並んで座り、



水銀灯の向こうに彼女の僕の永遠に続く未来を見つめていた。



そして今夜、



僕はここでこうしてあの日と同じ夜空を見上げながらあなたへと想いが伝わることを祈りつつ、



一人こうしてキーボードを叩き続ける。




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