真夏の夜の夢 思うこと Summer Edition
1997年7月8日(火)
Under Pressure / David Bowie and Queen
足音を忍ばせて歩み寄るかのように、Under Pressureは突然僕の視界を閃光で眩ませてしまう。
Freddieの中性的な声にBowieの透き通る声が絡み、ハーモニーが生まれていく。
複雑に交叉しあう旋律に充たされるように、黄金のステージの幕が開き、
必死に手を差し伸べる僕に向かってあなたはそっと微笑みかける。
また夜が始まろうとしている。
The Carnival / The Cardigans
Merry-go-round / Psychedelix
Play that Funky Music / Wild Cherry
My Funny Valentine / Bill Evans and Jim Hall
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「お前はあと3回失恋するときっといい男になる。」
まだ学生だったころ、あるカイシャの人事部長さんに酒の席で言われた。
あれから僕は3回失恋したけど、少しはいい男になっているのだろうか。
自分ではあまり自信がない。
鏡を見ても自分がどんな目をしているのかを知ることはできない。
目がキラキラと輝くとか、まっすぐと見つめる目とか、
濁った目とか、彷徨う目とか、
自分では自分の視線を客観的に見ることはなかなかできない。
鏡で自分を写せばどうしても写っていることを意識してしまう。
思わずポーズをとってみたりして。
Cardigansの曲はどれも失恋の曲だって教えてもらった。
彼の目はやはりギラギラと輝いていて、
何か獲物を狙っているかのように見えたりもする。
力を持った目。
悪くない。
僕にとって本気で惚れるというのは比較的簡単なことだが、
本気で信頼するというのは非常に難しいことらしい。
ココロの隙間の寂しい部分、
全部さらけ出して、
それでも甘く微笑む、
いい女。
ちょっとだけお洒落してキメて、
好きな格好してタバコくわえて、
一緒に踊りに行こうよ。
最初はタルイ曲ばっかりだからちょっと語ってみたりして、
タバコとハシシの煙が安っぽいミラーボールに絡み付き、
冷めた顔して次の曲選んでるあいつをその気にさせようよ、
少しずつ右足がその気になってくる。
いつの間にかリズムをとってる。
まだまだ飛び出してたまるもんか、
ああ、
もう我慢できないよ、
一緒に踊ろう、Play that funky music!
スタイルなんて気にしなくていいんだからさ、
誰も見ちゃいないから、
思いきり手と脚と腰を動かして、
一緒に踊ろう、Play that funky music!
両手を上げて照明掴んで、
押されて押し返して汗かいて笑って、
手をつないで一緒に踊ろう。
ブラックライトに浮かび上がる君の白い歯、
結構カワイイよ。
18才の頃働いていた六本木のPlantationという店。
照明をギリギリまで絞った薄暗い店内に、ふわりと灯るテーブルの上のキャンドルの明かり。
まだ客の少ない午後6時。
この店の一日はいつもこのアルバムから始まる。Undercurrent。
あんまり毎日掛けるものだから、
レコードの溝が磨り減ってしまいプチプチと音を立てながら、
最初のゲストがやってくるのを、
いつも静かに待っていた。
あの店はもうなくなってしまったけれど、
もしお暇なら、ちょっと飲んで行きませんか?