真夏の夜の夢 思うこと Summer Edition
1997年8月9日(土)
学生時代には合計7年間もバーテンとして働いていたせいもあって、ちょっと一杯飲むというとすぐにカウンターバーに出かけて行ったものだが、サラリーマンになってからはすっかり居酒屋が定番になってしまい、バーなんかからは非常に縁遠くなってしまった。
学生時代はだいたいシゴトが終わってから飲むか、あとは休みの日に飲むぐらいなので、酒量はたかが知れていたのだが、サラリーマンになってからは夜が長い分、飲む量が大幅に増えてしまい、バーで飲んだら破産してしまう。
基本的に日本酒と焼酎は飲まないので、居酒屋に行くとだいたい安いウィスキーかバーボンになる。居酒屋だとバーボンなんて何種類も置いてないから、ずっと同じものを飲み続けることになる。いつの間にかその飲み方がすっかり定着してしまったのは、家で飲むことが非常に多くなったせいもあると思う。
学生時代にはかなり異常なペースで論文を書いたりしていたので、家で酒を飲むという発想がなかったのと、酒は職場に行けばいくらでもタダで飲めるのだから、わざわざ家で飲むという気にならなかったというのもあったと思う。
変な話だが、当時は今よりも大分収入が多かったので、多少高い店に飲みに行ってもそれほど響かなかった。あの頃は昼間は特許庁の書類の仕分けのバイトをしたり翻訳のシゴトをしたりして、合間を縫うように大学や専門学校の授業を受けて、夜はバーテンやって、帰ってきてからずっと勉強していた。自分で考えてもすごい生活だったと思う。
あのころは大体一日3時間ぐらいしか眠ってなかったはずで、その生活を少なくとも1年半ぐらいは続けていた。家で酒を飲む暇がなかったというのが正しい言い方なのかも知れない。そうそう、あの頃は毎日1日4食食べていたな。それでも全然太らなかったのは、若かったせいだけではないような気がする。
話が逸れちゃった。そうそう、昨夜は吉祥寺の静かなカウンターバーで週末祝い(!?)の乾杯をしたんだった。やっぱり整然と並ぶボトルの中から自分がそのとき飲みたいものを選ぶのは楽しい作業だ。
Love...Thy Will be Done / Martika
僕とニナが店に着いた時にはお客が僕達しかいなかった。僕達の注文を出すと、彼らは自分たちの体の前で手を組んだまま微動だにしない。飲んでいて何となく気になるな〜。ちょっとぐらいリラックスしてくれても良いのに。
でも店の雰囲気はすごく好きだな。暗くて静かで。週末って感じがして良い。
昨日飲んだのは、Heaven Hill(バーボン)のロック、Manhattan(Jim BeamのRyeで作られていた)、カルバドス(銘柄は忘れちゃった、一番安いのと言って頼んだ)、ウォッカギムレット。
ニナはコアントローのソーダ割り、Mint Jurep(これもJim BeamのRyeだったな)、Singapore Sling。レッドチェリーを何かに浸してから出てきたと言って喜んでいた。
前の店で二人でビール2杯と赤ワインを一本飲んでから来たのだから、さすがにこれだけ強いものを飲むとクラクラになる。昨夜は何時の間にか日記を書いて(笑)、すぐに撃沈してしまった。
あー、でもたまにはカウンターバーで飲むのも良いな。一杯ずつ自分の好きなものを飲めるのも嬉しいし、ボトルでは高くてとても手の出ないようなものも味わうことができる。学生の頃にめちゃくちゃカッコつけて通っていたのに比べると、すごくリラックスして、雰囲気と味を両方楽しめるようになったような気がする。
でも、癖にならないように気をつけないと、ヤバイかも。
Midnight Theater / Marchosias Vamp
Deity / Ministry
「愛すべき人」という定義は僕にとっては難解すぎて、とうてい理解できない。
僕にはいまだに「愛」という言葉すら定義できないのだから。
Merry-go-round / Psychedelix
Iron Man / Black Sabbath
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Love...Thy Will be Done / Martika
昨日はカウンターバーで飲んだ。
昨日行った店のバーテンさん二人は、これでもかと言うほど話しかけてこない。ちょっと慇懃無礼と言ってもいいぐらい、オーバーアクションでなんだかカクカク動いていてちょっとおかしい。
混乱すること、イヤな思いをすること、逃げること。
そこからいかに立ち直り、傷を昇華させることができるかが、ポイントなのではないかと思う。
僕にはまだ分からない。
何かが足りない、
どうにかこうにか暴発しないようにこらえているけど、
どこかに、何かが欠けているんだ。
僕達は今日も夜中になるのを待ってごそごそと行動を開始せずにはいられない。
大急ぎでこの世界から抜け出さなくちゃならない。
熱気を孕み膨張したままのアスファルトを裸足で踏み締めながら、
夜の熱風を浴びながら、
みんなでこの街から逃げ出すんだ。
月の明かりに照らし出されると、
きっと僕達はすぐに見つかってしまう。
だから月が雲に隠れている間に、
今すぐに逃げ出すんだ。
1996.8.9