真夏の夜の夢 思うこと  Summer Edition



1997年8月11日(月)

Deity / Ministry


どす黒い放射熱を放ち続ける真夜中のアスファルトの熱気に魘されるように、


男達が壊れていく。


男達はふらふらと真夜中の街道に這い出してはマンホールの中へとその姿を消していく。


閉鎖され監禁されたコンクリ漬けの街で、


うだるような熱帯夜のアスファルトに縛り付けられた男達は腐臭の漂うマンホールの中で汚水にまみれ、金色の目をして星の見えない夜空を見上げながら、


男達が壊れていく。


こきざみに膝を痙攣させている。


マンホールで汚水に腰まで浸かった男達は、


街では女の性が暴発し、


俯いたまま小さく頷き続けると、


男達は自らの性を矮小化させ性欲を封じ込め自閉しオナニーを繰り返しながら自らの精神を破壊し始める。


小さく喘いで汚水の中に射精し、


鏡に映る自分の姿を見つめながら自慰に耽り、


落ち着かない金色の目を曇った月に反射させながら、


ゴミ袋を漁り隣の住人の生理用品の匂いを嗅ぐ。


ずるずると陸上に這い上がると、


自らが妄想の中で陵辱し尽くした女の妄想を飼い殺しし、


手に持った角材で自らの頭を殴り始める。


リセットボタンを押すと再び女は目の前に現れ思い通りに動き回る。


白木の角材の白さが迸る鮮血の赤さを際立たせるように、


女は性器を商品として街角に陳列し、


スモッグの間からぼんやりとえび茶色の月が顔を出している。


男達は女達のおまんこから流れ続ける白い精液を食い入るように見つめながら、


頭蓋骨を陥没させたまま両耳から血を流し、


ひきつるような裏声の慟哭と共に自らの手の中で果てていく。


男達は引きつるように笑いながら、


ひきつるような裏声の慟哭と共に自らの手の中で果てていく。


自らを殴打し続ける。

女達の軽薄なばか笑いが夜の街に響き渡る時、



迸り続ける鮮血がやがて赤い川となり、


男達はまるでゲームをリセットするかのように、


星のない空がコンクリで覆い尽されるとき、


角材を手に取り女めがけて襲い掛かる。


男達の目からは涙が溢れ出し、


男達が壊れていく。


乾いたアスファルトの上にぽたりと落ちると、


男達の性がどんどん壊れていく。


すぐにジュッと音をたて、


女の性が街角で気軽に手に入る世の中がやってきたこの世紀末に


涙は赤い霧となり、


男は必死にマスターベーションに励み女を創りだしそして女を殺す。


コンクリに埋め尽された夜の街を染め、


商品棚にキレイに並んだおまんこの列を、


男達の慟哭はやがて闇に消える。


片端から金属バットでぶっ潰して行く。






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