真夏の夜の夢 思うこと  Summer Edition


1997年8月13日(水)

Light My Fire / Jose Feliciano

今日から日曜日までシゴトが夏休み。ふふふふふ〜。

サラリーマンになってから初めてまともに夏休みがとれた。嬉しい〜。

せっかくのまとまった休みなんだから、どこか遠くにでも行きたいな、なんて思っていても、先立つものが全然ありません(泣)。引っ越し貧乏の後遺症が残っていて、夏のボーナスはあっという間にあちこちの支払いへと飛び立って行ったのでした。しくしく。

お金もないとホントに日曜日までずっと家でゴロゴロ過ごしかねないので、昨日の夜から自分に「早起きするぞ」、「早起きするぞ」、と唱えながら眠る。効果てきめんで、今朝は5時に目が覚めた。早すぎるって。

いくらなんでも早すぎるからってもう一度目をつぶって、次に目が覚めたのは6時。うーん、まだ早いような気もするけど、ここでもう一度眠るときっと起きなくなるなと気合を入れて、6時からごそごそと起き出してネットにつないで夜中更新組の日記を眺めたり、続々と届く空メイル達を呆然と眺めたり。

呆然とテレビのニュースを聞き流していると、もう7時20分。ニナを起こすが、今日もやっぱり非常に難儀する。結局7時30分になってよろよろと起き出したニナと一緒に家を出る。

水がないのと新聞が読みたいので、歩道橋のところでニナと別れてコンビニへ。

六甲のおいしい水だの飲むヨーグルトだのを購入。新聞はスポーツ新聞しか置いてなかったのでパス。どんよりと曇った空の下を家に逆戻りする。

カマンベールロールと飲むヨーグルトで朝食。テレビがニュースからワイドショーに変わった。今度は大阪でバラバラ殺人。うーむ。

暗惨たる気分になりつつも、ごそごそと支度して9時ちょっと前に家を出る。階段を降りたところでパジャマ姿の大家さんに会ってちょっと気まずかった。何も気まずいことはないのだが、何故だ。

のったりのったりとバス停に向かう。





Light My Fire / Jose Feliciano


青梅街道は下りが渋滞。やっぱり帰省ラッシュってことね。保谷駅行きのバスで保谷市役所へ。住民票をもらったり、売店でライターを購入したりして再びバスに乗って吉祥寺へ。

銀行で定期の契約を変更したりなどしたが、窓口のお姉ちゃんの態度がつっけんどんで腹が立つ。こっちは客だぞ。うらうら。すっかり不機嫌になってしまったのでそのまま帰ろうかとも思ったのだが、せっかくの休みなのだから、意味不明に糸の切れた凧になろうと思ってまずは中央線の下りに乗り込む。やっぱりサラリーマンの姿は少なめで、変わりに家族連れや老夫婦の姿が目立つ。特に行き先は決めてなかったんだけど、立川から奥多摩に行くか、八王子から茅ケ崎に出るか悩んだあげく、結局青梅線で奥多摩へ。

ひなびたローカル線気分を味わえると思ったのに、やっぱり夏休み真っただ中ってことで、家族連れやハイカー連中で車内は満員。いつもの通勤電車よりも混んでたような気がする。ちゃんと山あいに入ってから景色が見える位置に座っていたのに、早起きがたたって眠ってしまう。目が覚めたらもう御嶽だった。

御嶽を過ぎると切り立った山々が目前に迫ってくる。まだ太陽は出ていないけど、ずいぶん空が明るいグレーに変わってきた。針葉樹臨がもくもくと続いている。運転席のちっちゃな窓からは、架線が山あいを縫うように続いていくのが見える。

鳩ノ巣で車内はずいぶん閑散とし、終点の奥多摩に着いた時には立ってる人はいなくなった。10年ぐらい前までは中央線で殺人的ラッシュの中を酷使され続けてきた103系電車が老体に鞭打って急こう配を登っていく。カーブのたびに車体が軋むような音がする。

ホームに降り立つと、雲の間から太陽が顔を出した。陽射しは強いけど、風が心地よい。





やさしい気持ち / Chara


改札が自動改札だったらどうしようかと思ったけど、さすがに有人の改札でちょっと安心する。改札を出ると大量のハイカー共が右往左往している。いつもは閑散としている西東京バスの乗り場にも行列が出来ている。山梨の県境へと向かうバスは軒並み満員御礼。うーん。それにしても、ちょっと混み過ぎじゃないかい。

奥多摩湖まで行こうと思っていたが、あまりの行列の長さに呆れてしまい断念。バスで20分以上かかるから、歩いたら多分1時間半ぐらいはかかるのか。駅から青梅街道と日原街道の分岐の方に歩いていく。橋を渡るときに冷たい風が吹き付けていて思わず足を止める。何十メートルも下の渓谷を流れる多摩川の水がさらさらと輝いている。

しばらくそのまま歩いて行くとすでに山道状態に入ってきた。相変わらず下りはすごい渋滞。これは帰省客ではなくて、観光客だね。いい加減にしないと帰るのが大変だから、トンネルの手前でUターン。今来た道をせっせと戻る。また橋の上でしばらく涼んだ。タバコも吸った。

ソバが食いたいと思いフラフラ彷徨う。駅前に2件「名物奥多摩そば」の看板。汚い方の店に入る。狭い店内に僕の他に3組の客。僕が座ってめでたく満席。5分待っても10分待っても誰も出てこない。僕以外の席の人達のテーブルの上にもビール以外は何も出ていない。ぎしぎし言う木の床を歩いて厨房を覗き込むと、おばあちゃんとおばちゃんが、なんだか忙しそうにしていた。ビールとざるソバを注文して席に戻る。ビールはすぐに出てきた。ギンギンに冷えたキリンラガーの大瓶。のどがカラカラだったのでゴクゴク飲む。んまい。ビールと一緒に岩海苔の佃煮が出てきた。美味。

結局ざるソバが出てくるのに30分かかった。しかもまずい(泣)。これが名物じゃ奥多摩が泣くよ、おばあちゃん。いかにも茹で過ぎでぶよぶよ。うううう。まさか30分間ずっと茹でていたんじゃあるまいな。

ソバはまずかったけど、店の雰囲気とビールと岩海苔がおいしかったからそれなりによろこんで店を出る。お土産屋だのスーパーだのを冷やかして駅に戻る。武蔵五日市にも行ってみたかったので、とりあえず五日市までのキップを買ってホームに上がる。

ホームの奥には石灰石の採石工場があって、引き込み線が工場の中に続いている。ホームの向かい側には、石灰石を山盛りに積んだ貨車が静かに並んでいる。

ホームにはまだ人影まばらで、車の音も聞こえない。蝉時雨の中ボーッとしていたら、何となく酔いが回ってきた。

結局帰りの電車でグーグー眠ってしまい、五日市には行かずじまいだった。

明日はどこに行こう。





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