秋の夜長に 思うこと 自閉編
1997年9月7日(日)
Both YenS / Yutaka Fukuoka
せんべいさんの愛のフォローのおかげかどうかは不明(きゃー)だが、大分回復してきたようなので、今回僕がガクンと落ち込んだ原因について書いてみようかと思う。途中で嫌になっちゃうかも知れないので、手短にね。カイシャの部下の女の子が退社した。正しく言うと解雇された。先々週の金曜日に彼女に最後通告があり、先週の月曜日には翌日より出社に及ばずの社長命令が下り、火曜日には解雇が決定した。あまりのスピード処理に僕は精神を立て直す暇もなかった。
春先から何度か彼女について日記に書いてきたが、その後彼女の状態は一進一退を繰り返しつつも徐々に良くなっていると僕は感じていた。しかし、やはり経営陣は僕ほど甘くなかった。
シャチョウとブチョウの考え方は、彼女は入社して一年半経っても自立して仕事をこなす事ができず、立花の仕事の効率を下げている、というものだった。加えて彼女が他の部署の女の子やアルバイトにも悪影響を与えているとも判断されていた。
僕がカイシャにいる間には何とか彼女をかばうこともできたが、シャチョウとブチョウは僕が出張で不在の時に彼女の出来の悪さに対しての決定的な決断を行ってしまった。出張から戻るとシャチョウとブチョウは僕に、僕の不在中彼女の行状がいかにひどいものであったかを延々と並べ立てた。二人の言うことについては僕は大体想像はできたが、自分がいない間のことを決断の材料とされたことが非常に悔しかった。僕はシャチョウとブチョウに抵抗しようと思ったが、僕は彼女をかばうには余りにも疲れきっていた。
いつの間にか僕の仕事の何分の一かは彼女の仕事を作る為に浪費されるようになっていた。僕と彼女は感情的な軋轢こそなかったが、彼女の成長の遅さには正直言って対処の方法が見つからなかった。責任のある仕事を与えると責任逃れをし、簡単な仕事を与えると手を抜いた。間違いを指摘するとふて腐れて新入社員を捕まえて悪口を言う。他人が何か間違えると鬼の首を獲ったかのように猛烈に攻撃をする。悪い噂がぐるっとまわって僕の耳に戻ってくる。彼女の態度は再び悪化し始め、僕は熱意を失い始めた。
「社員教育」と言うには余りにも稚拙な問題が山積して僕は疲れてしまった。シャチョウとブチョウが決断という言葉を口にしたとき、僕は猛烈な怒りとともに、ココロの中にどこか安堵に似た感覚を得たのも事実だった。
カイシャは当初形式的には円満退社をと言う方針だったのだが、彼女の母親がシャチョウ宛てに非常に無礼な電話をしてきた揚げ句、解雇にしてくれと申し入れた。シャチョウはその電話の後、すぐに解雇の手続きをとった。
僕は矛盾した二つの感情の板挟みになり、何も考えられない状態が続いていた。彼女をきちんと育てられなかったということに対する怒りと、やっと解放されたという安堵感と。
今日、東京は高温多湿でひどい雷雨だった。僕はその中をずっと営業で歩き回っていた。アタマの中が真っ白になっていくぐらい、いつもよりもずっと歩調を速くして歩いた。客先で自分に勢いを感じた。不安がなくなり、自信を持って話をしていた。お客さん達は僕の話をしっかりと聴いてくれた。僕はカイシャで彼女がボーッとしているのではないかとか、ブチョウが何か彼女のミスを見つけているのではないか、と言ったことを何も考えずに歩けることに感謝していた。
へとへとになった帰り道、僕は彼女がいなくなったことによってようやく営業としての本来の攻撃的姿勢を取り戻しつつあることに気付いた。僕は良い上司になろうという努力にばかり目が行っていて、営業という仕事の本質を忘れかけていた。
僕の仕事は営業であり、走り回って客先と仲良くなり、仕事と情報を獲ってくることが僕の務めだ。
久し振りに全開で動いた一日の後には、心地よい肉体の疲労が待っていた。キリキリと胃が痛むことはなく、ビールが美味しかった。
今回の件で、僕はシャチョウとブチョウに対して敵意も持ったが同時に非常に尊敬もした。僕は自分自身で自分が疲れていることにちっとも気付いていなかった。シャチョウとブチョウは僕が疲れていることにしっかり気付いていて、僕の限界点の手前で迅速に処理を行った。迅速な処理から一週間で、僕は本来の営業の使命を再認識し、行動力を取り戻した。うーん。さすが経営陣、良く見ていらっしゃる。
まあ、そんな感じで、ようやくココロの整理がついてきたらしいです。彼女について書いた日記には、ずいぶんたくさんの応援や激励のメイルを頂きました。結局こういう残念な形になってしまい、応援してくれた皆さんにも申し訳なかったと思います。
彼女がいつか自らの欠点に気付き、再びビジネスの世界で出会えることを、僕は願って止みません。
Hey Lula / Yen Chang
桂子さんの日記が休止になってしまった。
ぎゃー。
彼女は日記猿人にもReadMe!にもFeelMe!にも(←せんべいツッコミ用)登録していない、完全独立系の人で、ホームページも日記主体ではないのだが、僕は彼女の日記が大好きで、Webに繋いだ時には必ず読みに行っていたので非常に残念でならない。
彼女には彼女の都合があるというのは百も承知だが、ここは勝手なファン心理だけを前面に押し出して暴走してしまおう。
桂子さん、日記止めないでね〜。
フッカツをお待ちしております。しくしくしくしく。
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ぎゃー。