君は僕に向かって歩いてくる。
コンクリートに囲まれた都会の夜が、
華やかに彩られた白銀の世界、
マフラーや髪の毛に雪の結晶が銀色に輝き、
白く色付いた銀杏並木の下で僕達は静かに抱合い、
ゆっくりと唇を重ねる。
僕達は靴が雪を噛みしめる音だけを聞きながら、
僕のコートのポケットに二つの手を突っ込んでゆっくりと歩く。
うん、すごく静か。
ほんの一瞬だけかき消されたような、
夢のような世界。
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Walter T. / Ambersunshower
舞い上がる雪の中、
車や電車の轟音から解放され、
静かだね。
歪んだ世界の汚さが、
雪を観ながらワインを飲もう。
束の間の静寂に乾杯して。