春の麗らの 思うこと 繚乱編
1998年4月18日(土)
Blow Up / George Hurrison
今日から二泊三日で横浜に旅行。
今更わざわざ泊まりで横浜なんて何しに行くんだと思う人も多いと思うけど、今回の僕達の旅行の主旨はゆっくりのんびりリラックスして、体の力を抜くってことだったので、遠距離をはるばる移動する必要はあんまりなかったってことで。
まあそんな訳で、二人でちびちびと貯金したお金で行ってきました、二泊三日の横浜の旅。まずは一日目。
After Midnight / Eric Crapton
朝はいつも通り、8時過ぎに目覚める。まだ動き始めるまでにはずいぶんと余裕があったので、溜まっていた未返信メイルをある程度片付ける。でもまだまだ書簡箱の中には未返信のメイルの山が(泣)。
そうこうしているうちにニナも起き出してきて、作戦会議。結局食事はしないで途中でとるということにして、さくさくと家を出る。三鷹のモスバーガーで軽く食事。ニナは薬局で酔い止めを購入、僕は何故か万歩計を衝動買い。JRの中央線に乗り込んで東京へ。東京から山手線に乗り換えて新橋へ。
新橋から「ゆりかもめ」に乗り換える。てくてくと歩く歩く。歩いても歩いてもなかなかホームに辿り着かないぞ。こりゃ毎日通ってる某氏は大変だ〜、などと言いつつもゆりかもめのちっちゃな電車に乗り込む。車内は休日だけにわさわさと若者だの家族連れだの。
ゆりかもめはビルの間を縫うように走る。ホントはもっと乗っていたかったけど、二つ目の「日の出桟橋」で降りる。
日の出桟橋から横浜行きの船に乗るのだよ。ふふふふふ。ということで、桟橋のベンチに腰掛けて船が来るのを待つ。目の前にやたらと小汚い男二人。ラップトップに携帯を繋いで何やらこそこそやっている。どうやら小規模のオフミを開催しているらしいのだが、それにしても汚らしい。
さらに何やらヤクザっぽい集団が。40前後のオヤジさん、スキンヘッドに金色のピアスはちょっと怖すぎ。一緒の船だったらどうしようと思ったら、団体さんは浅草行きの船に。ちょっとほっとする。
横浜行きの船がやってくる。二階建てで内装はかなり豪華だ。ソファーもふかふかだったし、乗船してくる人数もそれほど多くないのでかなりのんびりという感じ。それにしても乗ってくる人の平均年齢がかなり高め。恐らく僕とニナは最年少組だったんじゃないだろか。料金の一人片道2,600円というのが原因なんだろうか、などと思っているとさっさと船は出航。思ったより揺れる。
船はのんびりと名所巡りをしながら東京湾を進む。レインボーブリッジ、大井埠頭、羽田空港などなど。羽田を過ぎたあたりから船は一気にスピードを上げる。徐々に岸が見えなくなり、やがて365度水平線になる。東京湾の中にいるのに、まるで太平洋の真中に放り出されたような錯覚を覚える。きゃー。
それにしても東京湾には船が多い。あっちにもこっちにも、大きいのから小さいのまで、やたらとぷかぷかと浮かんでいて、時々ぶつかるんじゃないかと心配するほど近くを通り過ぎていく。天気は薄曇、波がキラキラと輝いて美しい。
ばりばりと船は進み、やがて「アクアライン」の下をまたぐ。海蛍はまるで大きな戦艦のように、海の真中にあまりにも巨大で無機質で、ちょっと不気味な感じがする。橋の上を通る車の数は少ない。
海蛍を過ぎると再び365度の水平線。喫煙室でタバコを吸ったりしていると徐々に鶴見のコンビナートや横浜のコンテナ埠頭が浮かび上がってくる。やがて船はベイブリッジの下をくぐり、みなとみらいに到着。僕達はここで下船。所要時間は約1時間半。たかが横浜と言うなかれ、なかなかの船旅で、ちょっと遠くまで来たような気がしますよ、いや、ホントに。
船を降りるともう目の前に僕達が泊まるホテルが。いえーい、そうです、今回は我々奮発して「ヨコハマグランド・インターコンチネンタルホテル」に予約を入れたのでした。きゃーきゃーきゃー。
意味もなく騒ぎながらフロントへと向かう我々であった。ほとんどお上りさん状態だな、こりゃ。
Wonderful Tonight / Eric Crapton
丁度チェックインのラッシュアワーだったので、チェックインに意外と待たされる。予想していたよりも従業員の接客はカジュアルで、ちょっと意外な感じがする。もっとカチっとしたサービスを予想していたのだが。
ポーターも満員で出払っているということで、自分で荷物を持って部屋へと向かう。我々の部屋は26階、スイート以外では最上階ですな。これはラッキーでした、ええ。
カードキーを差し込んで部屋に入る。広さはまあまあだけど、すごく綺麗な部屋だ。とりあえず荷物をアンパックしてからちょっとタバコを一服。今夜の予定を立てる。
とりあえず中華街で食事をしようということになり、そそくさとホテルを出る。まだ工事中の地域が多いみなとみらいをてくてくと歩く。途中例の赤レンガの倉庫の横を通る。僕が高校生の頃とかはこの辺りは無法地帯みたいになってて、よく夜中に倉庫街にしのびこんで遊んだなーなどと思い出し、すっかりキレイに落書きも落とされ、公園の一部のような感じで整備されつつある倉庫を見つめてちょっとだけ寂しい気がした。
ニナが猛烈な空腹を訴えるので、山下公園はパスして中華街へ直行。いつも僕が行く裏通りの某店へと向かう。
中華街の表通りの店は最近どこもやたらと豪華絢爛で、ちょっと庶民的じゃなくなってしまったけど、裏通りはなかなかの雰囲気を維持していると思う。我々が入った店も作りは地味だしちょっと汚い感じだけど、味はかなりのものです。チャーシュー、バンバンジー、春巻、酢豚、チャーハンでお腹一杯。ビールと紹興酒も少しばかり。
空腹にまかせて食べまくったのはいいのだが、店を出るとまだ日が暮れていない(笑)。それってちょっとあんまりじゃないかということで、腹ごなしに散歩を。
山下公園を適当に闊歩する。ベンチに腰掛けると突然ニナがすーすー眠ってしまう。しばらく放っておいたんだけど、これ以上眠らせると明日の朝まで起きないんじゃないかと不安になって途中で叩き起こす。
再びてくてくと歩いてホテルに辿り着く。お風呂に入ってのんびりして、カーテンを開けると素晴らしい夜景が。
部屋の電気を暗くして、ルームサービスで氷とグラスとクラブソーダを持ってきてもらい、持ち込みのバーボンをソーダ割りでゆっくり飲む。途中でクラブハウスサンドイッチも注文。おいしかった。
26階のガラス越しに動く小さな光はあまりにも無機的で、まるで時間の流れが止まってしまったかのような錯覚を覚える。ネットも電話も何もない状態で、普段はなかなか考えられないようなことをあれこれと考え、ニナとゆっくりと酒を飲む。ふあー、極楽ですよ、これは。
ルームサービスのホテルマンが部屋に入ってくる時って、ちょっと異様な雰囲気だよな。完全にプライベートな空間に突然赤の他人が入ってきて、やたらとかしこまった感じで業務をこなし、ふっと静かに出ていく。あの感じ、なかなか好きかも知れない。
そんな感じでゆっくりと時間をかけてちびちびと酒を飲み、たくさん話しをして、いい加減眠くなった頃にベッドに潜り込んだ。カーテンを開けたままにしておいたので、夜景がすごくキレイだった。
(c) T. Tachibana. All Rights Reserved. 無断転載を禁じます。tachiba@gol.com
(c) T. Tachibana. All Rights Reserved. 無断転載を禁じます。tachiba@gol.com