春の麗らの 思うこと 繚乱編
1998年4月23日(木)
The Mayor of Simpleton / XTC
今日から1泊2日で秋田に出張。
いい加減通い慣れた道。時間もいつもと一緒。14時過ぎの上越新幹線に乗り込んでぼんやりと窓の外を眺める。そう言えばガーラ湯沢は暖冬で雪がさっさと溶けてしまって、当初予定していたゴールデンウィークを待たずして閉鎖されてしまったらしい。結局今年もスキーに行けなかったなあ。
国境の長いトンネルを抜けても雪は微塵もない。先々月は盛岡周りで行ったから、今年は1度しかここで雪を見なかったことになるな。
新潟は雨。乗り換えの間に携帯であちこちに電話。今回は新幹線に乗ってる間一度も携帯がならなかった。
16時38分の特急白鳥に乗り込む。指定席満員。それにしても、ほぼ一日かけて大阪から青森まで走り続けるこの「白鳥」って特急、何だか時代掛かってて僕は好きだな。何でも効率重視のJRで、長距離を走る列車がどんどん減らされて行く中、この白鳥の勇姿はなかなか優雅で素敵。ボンネット形の485系がまだ走ってるってことも驚きだよね。これで食堂車を連結してたら文句なしなんだけどなぁ。
日本海沿いの羽越本線を白鳥はゴトゴトと走り続ける。田植えが終わってるところと終わってないところ。日が暮れてくる。雨に曇る田園が薄暮に包まれる景色は何度見ても心が休まる。緑と青と濃いグレー。少しずつ窓の外で景色が溶けていき、やがて闇に包まれていく。ビールを飲みながらしばし景色に見入る。
鶴岡、余目、酒田。ほとんどの客が降りてしまう。車内は閑散として、終点の青森まで一体何人の人が乗っていくんだろうと心配になる。近い将来この特急も秋田止まりとかになってしまうのかも知れない。象潟、仁賀保、そして僕が降りる羽後本荘。羽後本荘で降りたのは僕だけ。ホームの上には学生がパラパラと。静かな雨が降り続いている。
最近ずっとバタバタしていたせいか、長距離移動が体にのし掛かる。のんびりと散策でもしながら歩いてホテルに、なんて思っていたんだけど、結局雨にも負けて、タクシーに乗り込む。
途中コンビニに寄ってもらい、食料と水と氷を買い込んで、ホテルに辿り着く。
ホテルの部屋は中途半端に広かった。先週末にあんなに<980418.html">豪華なホテルに泊まってしまったので、ビジネスホテルがうら悲しく見えてしまってどうもいけない。何をするともなくテレビを眺め、それにも飽きるとゆっくりと風呂に入り、読み掛けの本を読み耽る。
持参したバーボンをロックでちびちびやりつつ読む「愛と幻想のファシズム」、なかなかのものです。途中でニナに電話。体調が悪いらしい。やはりオフがあったり旅行に行ったりと何かと忙しい週末が続いていたから、ニナも疲れているのだろう。
スタンドの灯を消し、毛布にくるまると、静かな雨の音が聞こえて、僕は何だか妙に安心した気分で眠った。
(c) T. Tachibana. All Rights Reserved. 無断転載を禁じます。tachiba@gol.com
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