春の麗らの 思うこと  繚乱編


1998年5月4日(月)

Bohemian Rhapsody / Queen


昨日のカレーパーティの報告はこちらに。



朝は9時過ぎに目覚める。13時間以上飲み続けた割りにアルコールは残っていない。ただ胃が重くて、そろそろアルコールを抜いてあげないと可哀相かも知れん。

体同様頭も重い。はしゃぎ過ぎた翌日特有のまったり感に包まれて午前中は日記を書くこと以外は全く生産的なことをしないで過ごす。

昼過ぎに家を出て、3カ月振りに実家へと向かう。いつもは吉祥寺〜下北沢〜代々木上原〜乃木坂というルートで帰るのだが、何となく六本木駅を使いたくて、吉祥寺〜新宿〜霞が関〜六本木ルートを使う。昼間に六本木の街をうろつくなんて本当に1年以上ぶりだ。

驚いたことに、今回六本木の街を歩いていて、僕はあれだけ嫌いだと言い続けてきた六本木の街に好感を抱いていることに気付いた。今のところまだ頭の中が整理できていないのだが、今までひたすら違和感を感じ続けてきた街が、僕にようやく「おかえり」と言ってくれたような、不思議で暖かい雰囲気を感じてしまったのだ。

実家に帰ってまずはお互いの近況報告。弟のバンドが出したCDを聞かせてもらったり、ばあちゃんが来月開くコンサートのちらしを受け取ったり。相変わらず派手なばあちゃんである。母もこの不況の中ほぼ毎晩演奏のシゴトが入っているようで、まずは何より。

去年バタバタ騒ぎの中で引っ越したため、ほとんど手付かずで置き去りにされていた僕の私物を整理する。整理すると言ってもあまりにも膨大な本やカセットテープの類は全部持ち帰ったら寝る場所がなくなるので、本当に必要と思われるものだけをピックアップして持ってきた。あとは写真だの手紙だのも。このまま実家に置いておくと、いつの間にか紛失してしまいそうだったから。

母が最近使っているWindowsのマシンをいじりつつ、あれこれと質問を受ける。Wordは何とかマトモに使えるようになってきたようで、少々驚く。なせばなる。

クリとマリの二匹のネコは両方とも元気元気。ただ二人揃って皮膚病を患っていて、軟膏を塗られて変な髪型(!?)になっておった。トサカがついたネコって感じで、しばしウケる。

弟もようやく自分のやってきた音楽が認められつつあるってことで、随分と自信を持ってきたようだ。僕の勝手な予想としては、彼の音は陰惨でボーッとしたダークサイケみたいなものを想像していたんだけど、意外や意外、結構爽やか系でしたよ。もう一息頑張れば、いよいよプロのミュージシャンになれるぞ。頑張れ。

弟と文学談議を交わし、ビールとワインを飲みつつ一家四人で食事。途中父親の話になる。15年以上前に音楽活動を止めてしまっていた父親が、どうやら最近やたらと活発に音楽活動を行っているらしい。うーむ、今更テナーサックスかついで何をやるつもりなんだ、親父。

母が買った新車に荷物を詰め込み、車で送ってもらう。まだ800キロしか走っていない。今度貸してくれ、と言ったら「ダメ」とのこと。しくしくしくしく。

あー、でも引っ越しして1年4カ月目にして、初めて実家に帰って心の底から楽しいと思えたな、うん。良かった。



One / Metallica


今日母に、ひょっとしたら結婚しちゃうかもよーなんて話をしてみた。母はそういうことに干渉するタイプではないので、「ああ、そう」という感じだった。

僕が「結婚式は阿呆臭いしお金も掛かるからやらないかもよ」と言ったところ、「何にもやらないのは寂しいから工夫して何か楽しくやりなさいよ」とのこと。なるほど。

僕の理想としては、ジャズ系のライブハウスを借り切って、親父や母親やばあちゃんや弟なんかと一緒にステージで唄ったりしながら、仲間内だけでワイワイとやれればいいなーなどと思っているんだけどね。

どっちにしても結婚式場だのホテルだのに何百万円も払うつもりは毛頭ないので、アイディアを出しあって楽しい式に出来るのなら、まあ、やってもいいかな。

おいおい、ちょっと気が早すぎだよ。



Love will Never Do Without You / Janet Jackson


古くから僕の日記を読んでくれてる人は知ってると思うけど、僕の両親は僕が小学生の時に離婚して、僕はそれ以来殆ど父親とは会ったことがない。

絶対に許さないという憎悪みたいなものは全然ないんだけど、逆にどうしても会いたいという渇望のようなものもなくて、どちらかというと、どうでもいいや、という感じの無関心が僕の心を占めていたんだけれども、どうも最近親父に会いたい。

去年の夏に、先日亡くなったせんべいさんの親父さんと出会ってからこの傾向が強まったんだと思うんだけど、昭和10年に生まれて敗戦後のアメリカ占領軍のカマボコ兵舎をテナーサックスを抱えて歩き回り、あっという間にプロのミュージシャンになったなんて、いきさつの話を詳しく聞かせてもらったらすごく楽しそうだからさ。

まあ、15年も放ったらかしにしたんだから、メシぐらい奢ってもらったってバチはあたらないでしょ。

今度電話をしてみようと思うのだ。ふふふ。



 

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