思うこと


1998年7月2日(木)


14:50, in the Shinkansen

新潟に向かう上越新幹線の車内にいる。おどろくほどガラガラの車内。ようしゃなく照り付ける太陽が僕の左の頬だけを火照らせ、空の青みの深さを久し振りにじっくりと眺める時間を有したことを嬉しく思う。

延々と続く青い田園風景をしばし眺めた後、読みかけの三島由紀夫の小説に戻ろう。

また後で更新することでしょう。


Niigata, Shibata, Swany Train Go Go!

新潟駅のプラットフォームに降り立ち、あまりの涼しさに驚く。東京は明らかに真夏日。新潟の風は東京のそれよりも遥かに乾いていて、スーツ越しに僕の体を冷やしてくれるような気がした。

新潟駅から特急「白鳥」に乗り換える。一日掛かりで大阪から青森に向けて走る、何とも気の長い、そして前時代的な列車だ。そういえば白鳥のヘッドマークは、とても気品ある風貌をしているような気がするのだが、どうだろう。なんでもかんでもスピード優先で顔を持たない特急ばかりが増えている時代に、一日一往復、大阪青森ロングランというのは、どうか後世にも残して欲しいものだ。

新潟を出てしばらくすると電車区が延々と続いている区間がある。

すでに廃車となったEF81や165系などが雨ざらしになっている。窓は全て破れ、塗装も所々剥げ落ちた鉄の塊に、夏の夕陽が強く当たり、ガラスの破片がキラキラと輝いている。ただの鉄の塊のはずなのに、ふと使い古された機関車や電車に強く愛着を感じてしまうのは、僕だけなのだろうか。

夏至から一週間ちょっとしか経っていないせいで、まだまだ日が長い。いつもなら新発田を出るころには日も暮れてくるのだが、今日はまだ夕方の入口と言った程度。あと半時間も走れば、羽越本線は日本海を臨むことになる。うまくいけば、見事な夕暮れを拝むことができるかも知れない。



Tsuruoka, Amarume, Sakata, Kisakata....Sunset shore goes on


僕を乗せた白鳥号は今酒田を発車し、象潟へと向かっている。さっき鶴岡を通過した。感傷的妹様2号の住む町、親父さんの生まれた町。

日本海に沈みゆく巨大な太陽を期待していたのだが、残念ながら分厚い雲に阻まれてしまい、果たせず。外は粛々と続く蒼い田園風景。暮れ行く景色の中に緑と青の世界が少しずつ溶けていき、その上から空の碧と雲の灰色が覆い被さり、やがて一つになってしまうのだろう。

途切れることなく続く田園を見つめながら、ゆっくりと日が暮れていく。夕暮れが長い。



@22:40、Honjo Grand Hotel, Akita


羽後本荘の駅は、いつも通り、高校生達であふれていた。灼熱の東京からやってくると、頬に当たる風はひんやりとして、季節を一カ月半ぐらい戻ったような気分。

今日は外食する気になれないので、途中でコンビニに寄って食べ物と氷を買い込み、ホテルにチェックイン。のんびりシャワーを浴びて、バーボン飲んで、リラックス、リラックス。ふと、秋田県から僕の日記を読んでくれてる人は、果たしてどれぐらいいるのだろうか、などと思いを馳せてみたり。

PowerBookを持っての初めての旅。なかなか楽しいものだと実感。明日は一日会議と接待。途中で更新できるだろうか。




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