思うこと


1998年7月4日(土)


8:10, in the train, good morning nippon!

6時に起床。少し酒が残っている。やっぱり昨日の夜飲んだ日本のウィスキーが良くなかったらしい。

さくさくとシャワーを浴びて、支度をする。6時半過ぎにホテルをチェックアウト。外は細かい雨。時間がないのでタクシーに乗り込み、羽後本荘駅へ。

羽後本荘から酒田までは普通列車の旅。今日も鳥海山はまったく見えない。残念だ。晴れていれば左に鳥海山、右に紺碧の日本海という、完璧な眺望になるのだが、今日は霧も出ていて、ほとんど何も見えない状態。

線路の両側の夏草が伸び放題で、単線のレールの上を列車が走ると、まるで夏草のトンネルの中を走っているような錯覚を感じるほど。地味だけどとても美しい光景。しばし放心する。

駅に着くたびに高校生がどんどん乗り込んできて、車内は満員になってしまった。制服のズボンを下げて履いている一人の男子高校生が床にべったりとしゃがみ込んでいるのだが、しゃがむときにズボンとパンツがずり落ちてしまい、お尻が半分見えている。女子高校生達は、頬を赤くしながら全員で彼のお尻に注目している。

普通列車は酒田が終点。ここはもう山形県。酒田から特急「いなほ6号」に乗り換え、新潟を目指す。車内はガラガラ、大丈夫か、JR東日本。



10:20, Niigata, Asahi 312

 

僕を乗せた「いなほ6号」は駅に着くたびに乗客を呑み込み、終点の新潟に着くころにはほぼ満席になった。よかったね、JR東日本。

煙るように降り続いていた細かくて優しい感じの雨は、あつみ温泉を過ぎた辺りで止んだ。その後も列車が新潟に近づくにつれて、空は少しずつ明るくなっていく。

新潟で上越新幹線に乗り換える。シートに座って周りをぐるりと見回す。何かいつもの出張と景色が違うと思ったら、周りにやたらと若い女の子が多いのだ。平日だったら車内はスーツ姿の男が中心なのに、やはり休日だからなのだろう。そこら中に若い女の子が肌を露出させて談笑しているので、なんだか妙に緊張してしまう。出張帰りという雰囲気があまり感じられず、結構良いかも。

新幹線は確かに速くて便利だけど、周囲は高いフェンスに囲まれてしまっているし、在来線のように古びた家並みの間を走ることもないので、やはりちょっと物足りない感じを否めない。あまりにも合理主義を優先させると、旅の醍醐味というものはどんどん失われていってしまうのだろう。残念だ。

とは言え、今車窓に見えている越後平野に累々と続く見事な田園風景は、なかなかのもの。国境の長いトンネルに突入するまで、しばらくこの素晴らしい眺めを楽しもうと思う。今、丁度今日初めての太陽が顔を出し、田園がキラキラと輝き始めた。



@Tokyo station, intorelable, incredible hotness. Hot! Hot! Hot!


東京駅に降り立ち、思わずくらっとする。わずか2日間の間にすっかり忘れていた。東京は暑いのだ。

それにしても暑い、暑い暑い。恐らく秋田とは10度以上気温差があるのではないだろうか。天気が良いのはいいけど、この暑さには本当にくらっときてしまう。

携帯のバッテリーが切れてしまったので東京駅の公衆電話からニナに電話。三鷹で待ち合わせをして食事をすることに。今書いている分は、恐らく三鷹のグレ電からの更新となるだろう。

ああ、それにしても東京という街は、なんと騒々しいことだ。静寂に慣れつつあった耳に、喧騒がぐさぐさと突き刺さって、あまり良い気分ではない。



Along Comes a Woman / Chicago


ニナと三鷹の駅で待ち合わせ。ニナの到着を待つ間に駅前の公衆電話から日記を更新。ああ、すっかりモバイラーですなあ。でもホントにPowerBook日記は楽しいぞ。あちこち出歩く時には常に持って歩こう。

ニナと落ち合って駅前のモスバーガーで食事。てれてれ家に戻り、あとは一気に寛ぎモード。最初は六本木に遊びに行こーっ、などと元気なことを言ってた僕も、いつの間にかすっかりお疲れモード。のんびりさせてもらいました。

家に帰ってきてすっかりお疲れ様のPowerBookと家のMacを繋いでデータのSynchronize!をしていたら、ニナがぼそって言った。「昨日の日記、Not Foundだったよ」

慌てて調べてみたら、ぎゃー、やっちゃいました。バックアップを取らずに上書きを。うえーん、しくしく。思わず取り乱してしまい、あちこちに伝言板に書き込んでしまいました。でも、おかげさまでtaitoさんが消失ファイルのソースを送って下さったので、無事一件落着。ホントにありがとうございました。

でも本当にマズイな。日記上で呼びかけたって、このページを読んでくれた瞬間に、古いキャッシュのデータはなくなってしまう訳だしね。やはりちゃんとバックアップの確認は毎日しましょうね。

そんなこんなで、僕の28才最後の一日は終わっていくのであった。




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