真夏の夜の夢 思うこと Summer Edition


1998年7月8日(水)




Living for the City /Mai Yamane and Haruo Kubota Unit

静かに更けて行く夜。


夜はどこまで進んでいき、そしてどこからが朝なのだろうか。


夜はどこまで深まり、どこから、圧倒的な朝に向かって衰退を始めるのだろうか。


夜は深まりつつ、徐々に人々を親密にし、よりそうように囁き合う人々の心を暖めていく。


そして夜は、駸々と深まりつつ、少しずつ歩みを緩やかにし、


夜と朝が交錯する夜明け前のほんの一瞬に、


僕達の心と体に眩いほどのエネルギーを与えてくれる。


そしてその儚く眩いエネルギーの塊は、


容赦ない朝の陽光の前には、粉々に砕け散ってしまう。


静かに深まり行く夜に包まれ山根舞の歌声に耳を傾けていたら、


ふと、


自分が、水の中で生きているような、


そんな錯覚を覚え、









上を向いて歩こう / 山根舞&窪田晴男ユニット




透き通るようなあなたの横顔を見ていた。


瞼が軽く合わせられ、黒く強い瞳は黒い睫毛に隠れのぞき見ることができない。


静かに眠るあなたの横顔を、乳白色のスタンドの小さな灯が柔らかく照らし出している。


街道を走る車の排気音も今日は途切れがちで、


小さく規則的な寝息を立てて眠るあなたを邪魔しないよう、


僕はアンプのヴォリュームを、


少しだけ、絞った。


深まりゆく夜、静かな闇が僕達を覆い、


迫り来る夏が僕達を包み込んでゆく。





そんな夜。









(c) T. Tachibana. All Rights Reserved. 無断転載を禁じます。tachiba@gol.com