真夏の夜の夢 思うこと Summer Edition
1998年8月26日(水)
My Foolish Heart / Bill Evans Trio
たとえ言葉にしなくても、きっとこの海のどこかで、あなたの言葉とすれ違うことぐらいはできると夢見て。
Waltz for Debby / Bill Evans Trio
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このページを読んでくれているあなたは、今どこでなにをしている、どんな人なんだろうか。
webでこうして日記を書き始めてもう二年半にもなるけれど、やはりいつまでたってもとても不思議な気持ちにさせられる。あなたは、今、どこで、何を思いながら、この日記を読んでいるのですか?
あなたは男性ですか?、それとも女性ですか?若い方ですか?、それとも年配の方ですか?自宅から見ているのですか?、それとも職場から見ているのですか?いつも見に来てくれていますか?、それとも時々見に来てくれていますか?、今日が初めてですか?、それとも立花隆のページと間違えて来てしまったのですか?
姿の見えないあなたに僕は今日もこうして語りかけ続ける。そしてふと想像してみる。電話回線を通じて地球の反対側から僕の日記を読んでくれているあなたの日々の生活のことを。大学の研究室から読みに来てくれているあなたのことを。会社で仕事の合間に遊びに来てくれているあなたのことを。自宅のパソコンの前に座るあなたのことを。
アナタハ、ドコノ、ダレナンデスカ?
Beep! データブソク。アナタノコトヲ、モットオシエテクダサイ。
ボタンを押していってくれる人、日記猿人に投票してくれる人、メイルをくれる人、ボタンを押さない人、投票しない人、メイルをしない人、僕の前に現れる人、現れない人。
あなたの心の中に僕の言葉はどのように映り、そしてどのように心の中に入り込んでいくのだろうか。すぐに忘れてしまうような言葉、何かしらの印象をあなたの中に残すような言葉、知らずにあなたのことを深く傷つけてしまうような言葉、あなたを安心させるような言葉。
アナタハ、ナニヲオモイ、ボクノコトバヲヨンデイルノデスカ?
僕の知らない街のどこかで、今モニタに向かうあなたがいて、今こうしてモニタに向かう僕がいて、そしてあなたは僕が誰であるかを知らず、僕はあなたのことを夢見ることしかできずに、ふらふらと電脳の海を彷徨い続ける。
そして僕は、言葉を垂れ流す人間であると同時に、言葉を漁る人間でもある。
ふらりと辿り着いたページに書かれている見知らぬ人の言葉に思わず息をのみ、まだ見ぬあなたの言葉に僕は魅せられる。モニタ越しに表示されるテキストは、言葉と共に見知らぬあなたの心までを伝えるかのように、眩く輝いている。
そして僕はあなたの心に魅せられて、夜な夜なあなたの心のカケラを拾い集めるために眠れぬ夜をモニタの前で過ごす。
ナンノタメニ?
心の片隅に放置されたまま、ひからびて風化していく僕の中の固い芯のようなものが、乾ききってがちがちになってしまった僕の中の何かが、かさかさになったまま言葉を求めている。僕に向かって直接語りかける言葉はいらない。僕のことを気遣う言葉はいらない。ただ、語りかけるあなたの言葉に触れることで、僕の中でしこってしまった冷たい塊をゆっくりと溶かしていくことができる。
僕の言葉、あなたの言葉、暖かい言葉、儚い言葉。
電脳の海に漂うあなたの言葉を求めて、僕は今日も彷徨い続ける。
電脳の海の向こうは、きっと会うことのないあなたの言葉で満たされ、僕は今日もモニタ越しにあなたに触れ続けることができる。
閑話休題。
もうすぐカウンターが111,111ですねえ。
ゲットされたかた、どうぞ僕に教えてやって下さい。粗品謹呈致します、ハイ。
スクリーンショットにて申告下さいませ。