秋の夜長に 思うこと 自閉編
1998年9月26日(土)
Rain / The Beatles
休日。何をトチ狂ったか、5時50分に目覚める。意識はまだ朦朧としていたのだが、何故か再び眠ろうという気になれず、ずるずると居間に移動してマックの電源を入れる。さらにトチ狂って、冷蔵庫に行って缶ビールを持ってきていきなり飲む。ごきゅごきゅごきゅごきゅ。何やってるんだか。
しばらく呆然とモニタを見つめた後、おもむろに日記を書き始める。時折思考停止しつつ、何とか書き上げる。書き終わる頃になってようやく目が覚めてきた。
8時過ぎにはニナも起き出してきた。休日の我々としては驚異的な早起きだなあ。二人して朦朧としながらも、腹が減ったということでカップ麺など作成して食べる。
外はバシャバシャと冷たい雨が降っていて、いかにもやる気をそぐような気配。食事が終わってダラダラしているうちに、いつの間にか二人揃って寝室に移動して撃沈。無意味に早起きしても昼寝してちゃあ台無しですな。しくしく。
昼過ぎにみやちゃんから電話がかかり、ようやく目覚める。慌てて飛び起きて、近所のラーメン屋で食事を済まし、吉祥寺へと向かう。相変わらず外はひどい雨。
吉祥寺に着くと、まずは本屋へゴー。給料日後の、物欲開放の日です。サンロードの本屋に入ってまずは地下の文庫売り場へ。
京極夏彦を読むべし、と、複数の人から言われていたのでまず探す。講談社文庫のあたりをずっとウロウロしたんだけど全然見つからず。いい加減イヤになってきて諦めようかと思ったら、レジのすぐ脇のところに京極コーナーが作ってあって、「姑獲鳥の夏」が山積みに。文庫本なのに何故かビニールがかけてあったりする。なんだこれ。
他に買ったものは、
「十八歳、海へ」中上健次(集英社文庫)
「なんとなく、クリスタル」田中康夫(新潮文庫)
「虞美人草」夏目漱石(新潮文庫)
「三年坂」伊集院静(講談社文庫)
「われらの狂気を生き延びる道を教えよ」大江健三郎(新潮文庫)大江健三郎って、もう全然時代遅れだし文章も構え過ぎてて疲れるしなんか気負いみたいなものばかり感じられてゲンナリさせられるんだけど、それと同時に変な魅力もあって、時々ふと読みたくなってしまったりするんだよね。それにしても、「われらの狂気を生き延びる道を教えよ」って、もうタイトルからしてゲンナリだなあ。どうせ読むとさらにゲンナリするんだろうなあ。でもきっと最後まで読んじゃうんだよなあ。ううう。
中上健次の「十八歳、海へ」は、タイトルが気に入って中味を全然確認しないで買ったら、「十八歳」と「海へ」という短編が入っている作品集だった。ちょっとガッカリ。やっぱり中上健次は「灰色のコカコーラ」と「讃歌」がよいよなあ。
地下の文庫売り場を出て、今度は一階の文芸書コーナーへ移動。冷やかすだけで何も買わないつもりだったんだけど、パラパラと眺めているうちに衝動買いの欲望が。
結局3冊も買っちゃいましたよ。ハードカバーばっかり。とほほ。
「ユリシーズ」第一巻 ジェームズ ジョイス(丸谷才一、永川玲ニ、高松雄一訳)集英社
「Men at Work」山田詠美対談集 幻冬舎
「辺境・近境」村上春樹 新潮社どうでもいいけど、ジョイスの「ユリシーズ」は本当に高いなあ。一冊4,000円で三巻だから、12,000円もするのか。ずっと前から欲しいなと思いつつ、値段を見て我慢していたモノだから、まあ買っても後悔はしないけど、それにしても高い。
この「ユリシーズ」を翻訳している丸谷才一、永川玲ニ、高松雄一の三人は、30年以上前にも一度「ユリシーズ」の翻訳を出版していて(河出書房新社)、今回集英社から出たものは完全な新訳となる。パラパラとめくってみたけど、旧訳よりはずっとこなれていて読みやすいのだが、こなれ過ぎるとジョイスの難解さがうまく伝わらないような気もする。まあ、毎月1冊ずつと思って、じっくりと読ませて頂きましょう。
たっぷりと本を購入して上機嫌になり、スーパーで食材を購入。家の近所の酒屋で一カ月分のお酒類を買って配達してもらい、家に戻る。
一服してからニナは食事の支度。僕は部屋の掃除。今日もお客さんがやってくる。その名は我らが、石田さんである。
食事の支度も8割方完了した6時半過ぎに石田さん到着。お土産に大量のパンと、お団子等を頂く。
夕食のメニューについては石田さんの日記を参照のこと。今回は僕は料理には参加せず。最初はポテトサラダか豚の角煮でも作ろうかと言ってたんだけど、どうも品数が多すぎるのと、料理が似通ってしまうということもあってパスすることに。しかし、我々はここで重大なミスを犯していたのだ。
そう、石田さんは、すげく良く食う人なのだ。
ニナが作った超特大のロールキャベツがあっという間に石田さんのオナカの中に吸い込まれていく様子を見て、僕は自らの敗北を認めないわけにいかなかった。ここに角煮があろうと、ポテトサラダがあろうと、そんなものは大勢に影響はないのだ。最初にお会いした時、「サンタルチアの店」でスイスイと石田さんの胃の中に吸い込まれていく料理達を驚異と憧憬の念を以て眺めたことを忘れてはいけないのだ。うむ。
というわけで、石田さんは果たして満腹になったのだろうかと多少心配しつつもお食事タイムは無事(?)終了。後は完全リラックスムードの中でゆっくりとじっくりとお喋り。特に主題を定めるわけでなく、次から次へと思い付くままゆったりと。アロマオイルでもあれば、完璧だったな。照明を間接照明だけにして、ゴロゴロと寝転がりつつゆっくり流れる時間を満喫する。
いろいろとディープな話をしたけれど、特に印象に残っているのは仕事の話、物語の話、それからケダモノの本質の話などかな。
途中でmanamiさん(祝!日記開始!)が電話で乱入。近い将来の再会を誓う。
いやー、それにしても、ケダモノというのは、羨ましいようだけどやっぱりなかなかハードボイルドな人生だよなあ。僕なんかとてもできない。でも、ケダモノの道を歩もうと特定のパートナーと共に歩もうと、やっぱり一番重要なのは、自分の力で踏ん張るってことだよね。自分の力で歯を食いしばって踏ん張れない男になんて、魅力ないよね、ということを確認しあう。
どれだけ飲んだのか分からないぐらい飲んで、ソフトドリンクを石田さんがコンビニで補充してくれたりしているうちに小腹がすいてきて真夜中にお土産のパンを頬張る。これがメチャメチャうまい。カリカリの表面にふんわりとした中味のオニオンブレッド、香りが華やかなガーリック入りのフランスパン、ムチャクチャ密度の濃いイギリスパン風味の食パンなど。真夜中だっていうのに3人で黙々と食べまくる。
ニナがねむねむ状態に。僕もいい加減酔っ払って焦点が合わなくなってきた。よく考えたら、ニナと二人でビール2缶+赤ワイン1本+バーボン約1本空けている。これはいくら何でも飲み過ぎでしょう。酔っ払ったなあと思うことはあっても、目の焦点が合わなくなるなんてことは滅多にないのだ。これはもういい加減に眠らないと。
ニナが突然腰の異常をうったえて、寝室に移動して石田さんにマッサージを受ける。「ヨダレがーっ」と呻いていたのだが、本当に布団によだれを垂らしていた。うーむ。でも気持ちよさそうだったな、マッサージ。ケダモノだけに、やはり体のツボのポイントをおさえるのはプロの腕前という感じなのだろう。
ニナの腰痛もすぐになくなって、三人で眠る。今日は3人に布団3組だから、これは雑魚寝ではないな。散々飲んだ後だったので、あっという間に熟睡モードに。しかしここでまた問題が。そう、7月20日にイタクラさんとみやちゃんが泊まりに来た時に犯した、睡眠中パンツ脱ぎを、またしてもやってしまったのだ。
僕は基本的に眠る時は裸なので、ついその癖がついてしまい、誰かが泊まりに来ていて、眠る時には下着を履いていても、睡眠中に無意識のうちにパンツを脱いでしまうのだ。
ここのところ、山本Kさんやフナイアキラが泊まりに来たときは、何とか自分を制御してパンツ脱ぎをせずに済んでいたのだが、今回はもう全然記憶がない。明け方にニナが僕を起こして、「パンツ脱いでるよ」と教えてくれなければ、またしても醜態を晒すところだった。あぁ。
というわけで、どこまでが土曜日でどこからが日曜日かわからないのだが、このへんで土曜日の日記はオシマイ。
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